1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「活きる」(チャン・イーモウ監督)

2008-11-16 20:33:40 | 映画
 今日は、あいにくの雨。というわけで、本と音楽とDVDの一日でした。昨日に
続いてチャン・イーモウ監督の「活きる」を見ました。

  

 国共内戦の戦場でのおびただしい死者の数。革命後の熱狂の中で地主階級として
処刑される旧地主たち。文化大革命の中で、走資派として自己批判を迫られ自殺に
追い込まれる人たち。1940年代から70年までの激動の中国で、政治に翻弄されなが
らも、ひたすらに活きぬいていった夫婦の物語です。革命中国の姿が、リアルにえ
がかれていて、とてもおもしろかったです。

 50年代の大躍進時代の共同食堂での、革命に忠実であろうとする人々の姿。
村人の鍋などを集めて、製鉄し、銃弾をつくる姿。村の学校で製鉄式というのがあ
るのですが、主人公の長男は、この時の事故で命を落とします。

 文革時代。三代続いた労働者階級の家庭が、見合いの席で高く評価されたこと。
結婚式の贈り物は毛沢東語録と毛沢東の肖像画。毛沢東の写真の前で、人民服を
着た新婚夫婦が記念写真を撮る姿。産婦人科の医師が反動分子として捕えられた
ために、紅衛兵の看護学生がお産を取り仕切っている病院。主人公の娘も、産後の
出血をとめるすべを知る者が誰もいなかったために、命を落とします。

 映画のラストシーン。主人公夫婦が、娘の忘れ形見の孫に次のように語ります。
「大きくなるころには、今よりもっといい時代になってるよ。」
命ある限り、日常生活をひたむきに活きていくという静かな決意の表明が、とても
身にしみる一作でした。