J OKAYAMA ~岡山スポーツの桃源郷へ

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南から攻め上がる鹿児島ユナイテッド5

2021-08-13 00:21:21 | サッカー(J3以下・外国・他カテゴリ)

 リスペクトコラムです。
 いろいろな事があり、評価が別れて当ブログでは選手は応援するが、運営側に対してはネガティブな立場を貫いた東京五輪も終わりました。期間中はひたすら代表ネタが続きましたが、最近やっと通常の記事ネタ構成に戻ってきました。先月キープしていたFOOT×BRAINの留守録を観直して、記事にまとめました。
 Jリーグクラブの新しい稼ぎ方というテーマで、コロナ禍で苦悩するJクラブの中で、新しいアイディアで新たな収益を獲得する方策の事例です。今回はユニレプ販売などアパレル事業での物販部門の話です。鹿児島さんが紹介され、徳重社長が登場されていますが、実は当ブログでは2016年の記事で同じくFOOT×BRAINのリスペクト記事で紹介しており、「付加価値が高い公共財Jクラブ」のうちの「カテゴリ4:三本槍」として、昔から高い評価をしております。
   
【逆境をチャンスに変えたJリーグクラブの新しい稼ぎ方:J3鹿児島】
 長引くコロナ禍を打ち破る「逆境をチャンスに変えたJリーグクラブの新しい稼ぎ方」がテーマ。J3鹿児島では、ユニフォームが史上最高売上を記録。その仕掛け人はJ3鹿児島の徳重社長。成功を生んだ常識外のアイディアとは。新しい稼ぎ方に活路を見出す地方クラブの奮闘を追う。
 コロナ禍で2020シーズンでJクラブは大幅減収。J3鹿児島も1億円の減収と厳しい1年を過ごした。時間的余裕があった事もあり、クラブとしてもう1回収益構造、Jクラブの運営についてしっかり考えたと徳重社長。
   
〔ユニフォーム改革〕
 その際注目したのがユニフォームなどの物販収入。J3鹿児島の営業収入は約7億円。そのうち物販収入はわずか6.4%の4,500万円だった。実はJクラブ全体(平均)を見ても、物販収入は全体の9%。まだまだ稼ぐチャンスがあるのではと考え、徳重社長が手を付けたのがユニフォームの改革。結果、多くのサポーターに愛用されるようになった。
   

 他のクラブとの決定的な違いはユニフォームサプライヤーが無くなった事。昨季までのプーマのロゴが無くなっている。今季初めに「特定のブランドとのサプライヤー契約はいたしません」と表明。通常、サプライヤーはクラブにユニフォーム・用具などを提供するスポーツメーカーだが、徳重社長はサプライヤーに頼らず、クラブが自前で制作しようと考えた。代わりに胸に入れたマークは、オリジナルブランドで、このプロジェクトのシンボルマーク「ANGUA」。
 自前で作るのは無茶苦茶大変だった。作る時も自分達で生地から作る訳で、取引先にお願いした。これまでサプライヤーに支えてもらったが、これまでの常識を変える、自分達でやったらどうなるのかなと考えたのがきっかけ。
 これまでのJクラブに無かった前代未聞のプロジェクト。それをJリーグと、衣料品の開発製造を手掛ける商社(三菱商事ファッション)が協同事業としてサポートする事になった。
 
  
 この取り組みについてJリーグ(㈱Jリーグ小西執行役員)は、「Jリーグはクラブを地域に広げていく地域密着の理念があるので、地域の人たちに地元クラブのユニフォームを着て欲しいという1つの大きなテーマで、クラブ独自のデザインやクラブが希望するオリジナルなものを臨機応変に作りたい。そういうところを一緒にできればいいなという事で、ノウハウを生かして、クラブにとってメリットを享受できるような提案をしている」とコメント。日本中にサッカー文化を定着させる、その足掛かりになるJ3鹿児島の挑戦。

 個人的には衝撃を受けましたね。Jクラブの胸にはサプライヤーが付いているものと思い込んできたので、鹿児島さんの冒険は素晴らしいと思います。これが仮に他のクラブも同じことをしたら、Jリーグも賑やかになりますね。地元岡山で言うと・・・、そうそうトライフープが地元古墳の文様を取り入れていました。そう考えたらトライフープはすごいと思います。もう一つはJリーグの立ち位置。サプライヤーに気を使うところで、逆に商社との協同事業として率先するというのはサプライズです。「三菱ファッション㈱と㈱Jリーグが展開する新事業に参画します」というスタイルは、他のクラブも追従しやすいですね。
 ブランド名の「ANGUA(アングア)」は「A never give up attitude」の頭文字で構成されており、「決して諦めない、不屈の精神」というアスリートの勝利に対する気持ちと、ファンのチームや選手を信じる気持ちをイメージしているとの事です。「KUFC design plus.」は地元のデザイナー集団なのかな。
J3鹿児島公式HP該当ページ:https://kufc.co.jp/angua/
   
〔ユニフォームの自社制作 3大メリット〕
①低価格を実現
 「安くなったので家族全員で買いやすくなった」「ユニフォームを着ているサポーターが増えた」とサポーターの声。鹿児島という地方は所得水準が都会より低いが、それでも都会のクラブと同じ価格帯で販売したら高いと思うし、特にライト層には手が出しづらい、ここに何とか手を付けられないかと思った。
 安く作れた理由は、ブランド料が省ける点。基本的にこれまで外注していたものを内製化した事でコストを下げる事ができた。コスト削減の成果としてJ1平均値と比較すると、オーセンティックタイプは19,776円に対して13,200円、レプリカは14,702円に対して6,600円とお手頃価格を実現できた。更に徳重社長は低価格以外に品質にも本当にこだわった。軽さや吸水速乾性など、クラブ史上最高の品質となった。
 販売数は、これまでの最高は2019年の1,910枚を超えて史上最高売上枚数となった。販売価格以上に原価も下げられたため、売れるほど利益率は上がっていくので、やって良かったなと実感した。
   
 低コストの意外な効果は他にもあり鹿児島市内の駅(鹿児島中央駅)の駅員全員がユニフォームを着用。ホーム試合の前日から当日にかけて実施される、ユニフォーム着用イベント「UNITED FRIDAY」の効果。スポンサー企業や公共施設でユニフォームを着てもらい、クラブをPRする試み。今までは値段が高かったので、それをプレゼントするのは勇気が必要だった。原価が下がったという事でプレゼントしやすくなった。安く作れるという事で、様々な可能性が広がった。

 価格が下がるというのはいい事だと思います。どこのクラブのコアサポーターさんも、毎年ユニレプを購入される方が多いと思いますが、結構な負担だと思います。ファン・サポーター目線で考えたらいい取り組みになりました。一つ目に留まったのが、「ユニフォームのプレゼント」。どこかの事例で耳にしていましたが、てっきり期間中の貸し出しだと思っていました。コストが下がるから無償提供しやすくなる、そりゃ地域に広がりますね。
   
②好きなデザインで作れる
 従来はサプライヤーがユニフォームをデザインしてくれたが、自分達のアピールしたいデザインはなかなか反映しづらかった事があった。自分達が手掛ける事でできるようになった。現在の菱形の模様は、鹿児島県の伝統工芸の薩摩切子のデザインにしている。サポーターの反応も「デザインが薩摩切子の柄でテンションが上がる」「鹿児島を背負っている感じがして良い」「来年はどんなデザインになるか楽しみ」と好評。
 サポーターのハートをつかんだ地元愛溢れるデザインの誕生のウラにあった仕掛けとして、地元のデザイナー集団でデザイン案を出してもらった事がある。コストは少しはかかるが、地元デザイナーの活躍の場を提供する事に意味があった。鹿児島らしさって何だろう?と桜島、黒豚、焼酎などの案も出てきたとか。地元を愛する者達が手掛けたかつてないデザイン、しかしゼロから作り上げる作業はまさに試行錯誤の連続だった。クラブスタッフ、デザイナー、製造担当者が一堂に会したデザイン会議。デザイナーは「技術的な部分は1回無視してデザインしている」という事で桜島やさつまいもなど、まずは自由な発想で、鹿児島をイメージさせるものでデザインを作成。それに対して製造担当者は「着用感がスゴく悪くなると思う。あとはコストが相当高くなってしまう」とそのデザインで製品化できるのか、技術的な視点からアドバイス。更にクラブスタッフが「動きづらさはないかもしれないが、脱ぐ時に面倒くさそう。卸値が変わるなら優先順位として、クラブの粗利(売上総利益)を下げる方を選ぶ」「定価を変えることは考えていない、特に値上げは」と、低価格の維持、選手の着心地をチェック。そうした膨大な量の擦り合わせを行なった。
 フロント社員は本当に大変だが、「自由度が上がっているので、自分達がイチから手掛けて、それを選手・サポーターが着てくれて、鹿児島がその色に染まるのはうれしいので、よりいいものを考えてやらせていただきたい」と充実感に溢れていた。ノウハウが無いという事で、このデザインが本当に受けるのか、わざわざ自分達でする意味はあるのかと最初は悩んだ。また、サプライヤーにお世話になっていたユニフォーム以外の練習着なども自分達で、デザイン・製作する苦労もあった。昨季はコロナ禍で試合が無かったからできた面もあった。

 番組では採用されなかったデザイン案が登場しましたが、斬新で面白いデザインでした。ふと、他のクラブだったらどんなデザイン案が出てくるのか、ものすごく想像しました。確かに手間はかかりそうですが、それも生みの苦しみで楽しそうに感じました。
   
③スピーディーに何でも作れる
 J3鹿児島では従来の場合、ユニフォームデザインの権利は基本的にサプライヤーが保有しているので、例えばユニフォーム柄のマスクを作る場合も、サプライヤーの許可が無いと作れなかったが可能になった。「世界中が苦しい中で、次に進む勇気はすごい事だと思う」と勝村氏。お客さんがコロナ前に戻るか不安なのが正直なところ。まずはクラブが地域に必要とされて、勇気を届けられる存在になりたいと思っている。

 自由にクラブ主導で作れるというのはいいですね。公式HPのニュースページも「薩摩切子(キリコ ダイヤモンド)」のデザインが入っていましたね。ユニフォームの地域性豊かなデザインといえば、JFL奈良さんが筆頭ですね。親会社がそういう部分に長けたところなので、あそこまでのデザインが可能なのでしょう。どこだったか、1回だけ何かこだわりの模様を入れたが、やはり単発事業になった事例を思い出しますが、やはり地域性がないと「ふ~ん、それで?」という反応で終わってしまうでしょう。まぁその事例のところも、サプライヤーの制限があったのかもしれませんが。何でしたら鹿児島さんのようにやったら、話題性を高められるかもです。アパレル関係で、その他のクラブの事例も放送されていたので下に記します。
J2鹿児島関連⑦:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20191230
  〃     ⑥:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20181202
  〃     ⑤:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20170827
  〃     ④:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20160319

  〃     ③:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20130813
  〃     ②:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20080922
  〃     ①:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20051012

・J2金沢:
 アパレル路線のはしりの存在。ユヴェントスなどがエンブレムを簡素化して、グッズ展開しやすいデザインにリニューアルしているのを知り、街で着られるユニフォームを作ろうとしたのがきっかけ。地元のデザイナーにエンブレムの別バージョンの作成を依頼。今年初めに期間限定ショップを繁華街にオープン。1カ月の売上が約400万円を記録。
・J3富山:
 既存のサポーターにターゲットを絞ったブランド「K.B. kon te」を展開。サポーターにとってサッカーが日常だったことに気付いた。そこで日常生活にクラブを残したり身に着けたり、感じてもらったりできる事をしなければいけないと思ったのがスタート。サポーターの日常使いを見据えながら、ライト層も手に取りやすいシンプルなデザインにこだわった。選手をモデルに起用し、サポーターの親近感を獲得。正直まだまだダイレクトに売上に影響があるわけではないが、今は新しいチャレンジを見てもらい、ポジティブなイメージを持ってもらう段階。
・J1鹿島:
 ブランド名「F.D.」はクラブの哲学(スローガン)「Football Dream」の頭文字。クラブに携わる人間は自分達をビッグクラブと定義する人間は1人もいない。本当の意味でのビッグクラブのポテンシャルを持つ皆さんと競うためには、どんどん新しい事にチャレンジしていかなければならない。象徴的なエンブレムやカラーを排除。クラブカラーを前面に出して普段着の中に組み込んでいくのはハードルが高い。お客様視点で見た時にいかに使いやすいかが一番のポイント。ブランド立ち上げもお客様目線。経営陣とサポーターのオンライン交流会でアンケートを実施して、直接聞き取りした。
 いかにクラブとしてライフスタイルを提供していくかが重要なポイント。サッカーが日常になるまで走り続けなければならないと思う。

 これらの3クラブについては、金沢さんはリスペクト記事にできていました。鹿島さんのも前から知っている情報でリスペクト記事にしていたと思っていましたが、残念できていませんでした。富山さんの事例は初耳です。なので、鹿島さんと富山さんは、改めてリスペクト記事にしたいと思います。今回の続きという事で。今風で言うとスピンオフですか。
#がんばろう日本 #ThankYouHealthcareWorkers #ThankYouCaregivers 

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