この3日間、WOWOWで、「戦争と人間」三部作を全部見た。
監督は山本薩夫。
全体で9時間を超えるこの大作を、初めて見たのは大学生になってからだ。
「人間の條件」や「若者たち」などと同様、映画館での三部作“一挙上映”イベントだった。
五味川純平の同名大河小説『戦争と人間』の映画化作品で、日本映画としては同じく五味川の小説を映画化した『人間の條件』の9時間31分に次ぐ9時間23分の長さを誇る、日活配給による戦争大河超大作である。
全三部で構成され、第三部『完結篇』ではソ連国内で当時のソ連モスフィルムの協力の下撮影が行われた。ノモンハン事変の大規模な戦闘シーンはソ連軍の協力で撮影されており、ソ連ロケ・ソ連軍全面協力の戦闘シーンという日本映画としては異例の大規模映画となっている。1970年から1973年にかけて公開。
WOWOWだからCMがない。
3本とも3時間以上だが、途中で「インターミッション 休憩」が入って、助かった(笑)。
この映画、この内容、何度見てもメガトン級の破壊力だ。
また、役者の層の厚さにも感心、というか、ため息が出る。
財閥のトップが滝沢修で、その娘に浅丘ルリ子と吉永小百合だもんなあ(笑)。
メインキャストから脇役にいたるまで“錚々たる”メンバーが並んでいるのは壮観。
あ、それから、第3部「完結編」に出てきた夏純子、よかったなあ。
東北の貧しい農家の娘で、親に売られるところを、財閥の次男坊(北大路欣也)に助けられて東京へ。そして彼が満州に行くと、娼婦にまでなって後を追ってくるのだ。
そうそう、財閥の次男坊は、青年時代以降が北大路欣也で、その前の少年時代は、昨年12月に亡くなった中村勘三郎(映画当時は勘九郎)が演じていた。
これだけのスケールの作品、テレビドラマとして作るのはかなり難しいが、この映画も、セリフやシーンなど、このまま民放地上波では流せないと思う。
今回は高校生の息子も一緒に見たが、彼には昭和史のいい勉強になったはず(笑)。
WOWOWに感謝です。
荼毘にふされる軍人たちの映像にエンドロールが流れる