碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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ちょっと不条理劇みたいな、WOWOWのCM

2017年10月31日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム



日経MJ(日経流通新聞)に連載しているコラム「CM裏表」。

今回は、WOWOW「出会い」篇を取り上げました。


WOWOW「出会い」篇
不条理劇のよう
2人のかけあい

駅のホーム。5つ並んだ椅子の両端に若い男女(柳楽優弥さんと有村架純さん)が腰かけている。ただし2人の離れ具合からすると恋人などではなさそうだ。

突然、男が「幸せなら手をたたこう」のメロディで、「♪フフフフン(鼻歌)に入ろかな。やっぱり、やめよかな」と歌い出す。女は怪訝な表情で「すみません、そのフフフフンって何ですか?」と訊ねる。確かに「フフフフン」の部分が気になるが、少し変わった娘だ。

すると男は「逆になんだと思う?」と聞き返し、「俺にも分からないんだよ」と真顔で言う。こちらも相当変わっている。“とらえどころのない若者”を演じさせたら抜群の柳楽さん、まさに面目躍如である。

2人が待つ列車はまだ来ない。いや、本当に列車が来るのかどうかも分からない。今日は来ないが、明日は来るのかもしれない。そして、「フフフフン=WOWOW」で正しいのか。まるで不条理劇の一場面を見ているようだ。

(日経MJ 2017.10.30)


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