碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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日刊ゲンダイで、大塚寧々「かつらCM」について解説

2018年09月23日 | メディアでのコメント・論評


自然体で好感度アップも…
大塚寧々“かつらCM”の残念な部分

「ねえねえ、前髪変えたでしょう?」

「えっ」

「うん、かわいいよね」

一見どこにでもありそうな女子トークだが、かつらメーカーのCMで人気女優のせりふともなれば、話は違う。8月からアートネイチャーの新CMキャラクターに起用された大塚寧々(50)。女性用ヘアエクステ「ビューティアップ」という生え際や気になる箇所にチョイ足しする増毛商品で、なんと大塚自らが体験する画像まで流れるのだ。

つい最近まで石野真子(57)が起用されていたことを考えると若返りを図った格好だが、「弊社の主力であるオーダーメードのウィッグとは異なり、40代後半から50代のより若い世代のユーザーが多い商品。同年代の大塚さんの起用はこれまで以上に共感と認知度が高まることを期待してのものです」(アートネイチャー広報部)。

ちなみに同社のオーダーメードウィッグのCMに出演する風吹ジュン(66)のように、実際に使用しているかどうかは未確認だというが、「商品に対する理解度の高さ」(同)が起用の決め手だという。

■商品情報の連呼は逆効果

かつてこの手の商品CMは高齢者向けのイメージが強く、“あの人は今”といったタレントが起用されていたが、それも昔。上智大学教授(メディア文化論)の碓井広義氏はこう言う。

「過度なアンチエイジングブームの揺り戻しもあるなかで、使い手の魅力を引き出すためのおしゃれグッズというポジティブなイメージが広く定着しつつある。しかも、女優がごく自然に体験するシーンは視聴者の共感を誘うものであり、大塚さん自身の看板に傷がつくようなことにもならないでしょう。むしろ、自然体の女優として好感度も上がると思います」

ただし、いただけない点があるという。

「CMの演出方法です。女友達と話していたのに突然、カメラ目線で視聴者に向かって『とかいいつつ』というせりふを1分程度の尺で4回も言わせるのはなかなか鬱陶しい。友達への発言は建前だけれど、視聴者には本音を漏らすという作り手の狙いでしょうが、続けて商品情報を連呼させるのは逆効果になりかねません」(前出の碓井氏)


大塚の毛量は増えて、好感度も上がったが、何でも盛ればいいってもんじゃない、か。

(日刊ゲンダイ 2018年9月20日)