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・優勝国ドイツに学ぶ高速パスまわし/眠れる森の「日本サッカー協会」:下-2(最終回)

2014年08月01日 00時01分10秒 | スポーツ

 

 ※初めて本稿をご覧になる方へ

 本シリーズ[上](7月2日)、[中](7月13日)[下-1](7月25日)を先にご覧ください。

 

   事業の「計画」と「報告」の重要性

  前回(下-1)、「事業計画書」に触れたので、今回は「事業報告書」を見てみたい。つまりは、「事業計画」として “立案された1年間の事業” が、“どのような推移を辿りながら、1年間でいかなる成果をもたらしたのか” あるいは “もたらさなかったのか” の検証である。

 そこで「ワールドカップW杯)」の「2006年ドイツ大会」と「2010年南アフリカ大会」の「報告書」を見てみよう。まず「2006年」――。以下は「W杯ドイツ大会」に関する「事業報告」の記述から、原文のまま「その部分」を以下に掲出。その全文「A4判6行」をじっくりご覧あれ。

 

  3大会連続の本大会出場となった2006FIFAワールドカップドイツ2007 へ臨んだジーコ監督率いる日本代表は、残念ながらグループリーグ突破を果たすことができなかった。第1戦はオーストラリアに対し、先制点を挙げながらも、終盤に失点を重ね敗戦。第2戦のクロアチア戦は互いに決定力を欠き、無得点の引き分け。僅かながらもグループリーグ突破の可能性を残してブラジルと第3戦を戦い、第1戦と同じく、先制点を挙げたものの、逆転され、1分2敗のグループ4位で大会を終えた。

 

  記述は、「一次リーグ(予選)」3試合の「結果」と、「リーグ敗退」の事実をそのまま淡々と伝えている。しかし残念ながら、「W杯ドイツ大会」の「敗因分析」や「ジーコJAPAN」の「4年間の総合的な検証」は、「報告書」のどこを探しても見当たらない

   驚くことに、「ベスト16」になった2010年の「事業報告書」にいたっては、「W杯南アフリカ大会」の行事日程の列記はあるものの、その他の記述は一切ない

   思うに、以上のような「事業計画書」や「事業報告書」に見られる「日本サッカー協会(JFA)」の “不明瞭な部分” すなわち “何をどのようにしようとしているのか” について、正直言って “何も見えてこない”。つまりは、その「哲学」も「ビジョン」も伝わっては来ない。それは言いかえれば、「日本サッカーそのもの」ことに男子の “脆弱さ” を象徴しているように思えてならない。

       ☆

 

   早いパス回しが支えたドイツの優勝

  モヤモヤした気持ちのそのとき、筆者に一つのヒントと希望をもたらしたのは、今回、見事24年ぶりに優勝した「ドイツ」だった。圧巻は完膚無きままにブラジルを撃破したことだろう。

   そのドイツも「2006年」の「ドイツ大会」では「3位」に留まっている。そしてこの大会後に「ヘッドコーチ」から「ドイツ代表監督」に就任した「ヨアヒム・レーヴ」氏の下、徹底した「ポゼッション・サッカー」を進めて行く。同監督は、2010年の南アフリカ大会と今回と、2大会の「代表監督」を務めたことになる。

   なおポゼッション」とは、日本語では「支配率」と訳される。「自チーム」がボールを持っている状態を「ボールポゼッション」と呼び、自チームがボールを持っている限り、相手に得点を奪われる可能性は無いという考え方が元になっている。チーム全体でパスを回し、自チームが常にボールキープすることで試合の主導権を握ろうという戦術。(Wikipedia)。   

   レーヴ監督は、「選手のボール保持時間を最小化する」というシンプルな目標を掲げた。つまり、「マイボール」(=自チームのボール)になったら、できるだけ早く味方選手にパスし、網の目を縫うようにボールを動かしながらチャンスを作るという「パスサッカー」だ。

  この方針に沿ったプレーの分析が行われた。そのためのデータ収集、分析において強力なパートナーとなったのが、ドイツを代表するIT企業の「SAP」。

 

  3分の1に短縮されたボール保持時間

   レーヴ監督の方針を受け、SAPはドイツ代表チームの試合を分析し、ボール保持時間のデータを提供した。その結果、2006年当時の一人平均のボール保持時間は「約2.8秒」。この数値減少のためのトレーニングや選手同士の連携を進めた結果、2008年には「約1.8秒」、2010年の南アフリカ大会の時は「約1.1秒」、そして今大会前には「1秒を切る」までになったという。

   ブラジルを翻弄した世界最強の「超高速パスサッカー」は、8年前からドイツのサッカー界全体が取り組んだ研究と努力の賜物だったのだ。

  もちろん、ボール「保持時間」の短縮だけが優勝をもたらした要因というつもりはない。しかし、「明確な数値目標」があったことは、「選手個人の能力」や「そのときどきの体調」云々に左右されにくいものであり、また「努力目標」としてもはっきりしているのではないだろうか……。少なくとも、特定の選手が、自分自身の責任でもあるかのように『優勝するしかない!』と言うのとは大いに異なる。ゲームはあくまでも「チームプレイ」なのだから。

 

 ――ああ、圭佑君! 2018年の「ワールドカップ・ロシア大会」は、「超高速パス」の勝負になるだろうね。つまり、特定個人選手の超絶技巧的な “何人抜き” といった「ドリブル」よりも、チームとしての「パス回し」の方が、かなり有利な展開となるように思うんだ。

 ん? JAPAN? ああ、悪いけど、この国のサッカーについて云々することはもうやめたんだ。反省も分析も検証もなく、特定個人に一任して簡単に……ってゆうか、安易に代表監督を決めてしまうなんて……。しかも、そのことについて何らマスコミも問題にしないという感覚……。とてもついていけなくて。先も読めないし……。

 ……君は、読める? 僕は、もう疲れちゃった! ……おやすみ。しばらくの間、この件についてはSILENCEを保ちたいんだ。第一、この国の代表チームだって、《眠れる森の何とか》みたいに、ずっと眠っていたいようだし……もう、そっとしておいてあげようと思うんだ。だから本田君、君もゆっくりしたら……………。[完]

   

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