なぜ監督決定を急ぐのか?
昨夕、ちょうど6時だった。ひと仕事終えてシャワーを浴び、ゆっくりコーヒーを飲むためにお湯を沸かし始めた。併行してインターネットの最新の記事を確認した。その瞬間、あまりの “衝撃的なニュース” に、危うく “つんのめり” そうになった。
<サッカー日本代表>新監督にアギレ氏…元メキシコ代表監督
ニュースソースは、「毎日新聞7月24日18:07」となっていた。そのまま引用してみよう。
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《日本サッカー協会は24日、日本代表の次期監督に、元メキシコ代表監督のハビエル・アギレ氏(55)が決まったと発表した。
アギレ氏は2002年ワールドカップ(W杯)日韓大会と10年W杯南アフリカ大会で、母国メキシコを率い、いずれもベスト16に導いた。13~14年シーズンにはスペイン1部リーグのエスパニョールを指揮した。
日本はW杯ブラジル大会の1次リーグで1分け2敗のC組最下位に終わり、決勝トーナメント進出を逃した。敗退後、イタリア人のアルベルト・ザッケローニ監督(61)が退任を表明。後任監督選びを一任された原専務理事が、水面下で交渉を進めていた。》
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敗因分析と4年間の検証こそ急ぐべき
何と言うことだろうか。「W杯ブラジル大会」での “一次リーグ敗退” の敗因分析をはじめ、4年間の「ザックJAPAN」の “総合的な検証” こそ急ぐべきではないだろうか?
そのことは、前回の記事で紹介した「JFA」(日本サッカー協会)の大任邦彌会長の言葉(6月26日)にも、『敗退理由はこれから技術委員会にしっかりと分析評価してもらいたいと思っています……』とあったではないか。しかも、その「技術委員会」の「委員長」は、今回の監督選びを一任された原博美専務理事という。
原専務理事兼技術委員長は、大任会長と同じように、ザッケローニ監督の退任時にこう言っていたのだ――。
『本当に皆さんの期待に応えられず申し訳ない気持ちでいっぱいです。ザッケローニ監督とイタリア人スタッフと4年間やってきて、彼らと今いる選手たちの力があれば、この大会でもっと日本の良さをだせるとずっと思っていました。(中略)この結果を冷静に分析しなくてはいけないと思います。』
「赤い太字」に注目されたし。正直言って、大任会長も原専務理事も “正当な判断” を下したとはとても思えない。繰り返し言うが、何はさておき「W杯一次リーグ敗退の敗因分析」と「ザックJAPAN4年間」の「総合的な検証」をなぜしないのだろうか?
[SAMURAI BLUE」の「監督」という、これだけ国民的関心の高い「人事」を、「敗因分析」も「総合的検証」もしないまま、「たった一人の人間に一任して簡単に決定する」など、“まともな組織” のすることだろうか? 筆者の心は、“驚き” から “憤り” へと変わっていった。
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この前回(中)の記事の「最後の一節」はこうだった――。
「日本の男子サッカー」すなわち「サムライ・ブルー」は、譬え100年いや1000年待ったにしても、「優勝」はおろか「FIFAランクのベスト10」すら絶対になりえない。
筆者に “以上のような絶望的な確信を与えた” のは、「JFA」の「事業報告書」と「事業計画書」だった。
そこで、まず今年2014年度の「事業計画」を見ていただこう。
――本田君? 圭佑君? 見たかね? 1ページ目の「Ⅰ 日本代表関連事業」の「1-(5)」に、「SAMURAI BLUE」の「2014FIFAワールドカップブラジル」という部分。書いてあるのは「活動期間」に「大会期間」、それに「試合」つまり「一次ステージ(予選)」と「決勝ステージ」の日程だけだね。 これって何だろう? 計画? 僕にはどう見ても単なる「行事予定」としか思えないんだけど……。
圭佑君、ちょっと心配だから、ついでにW杯「ドイツ大会」と「南アフリカ大会」が行われた「2006年」と「2010年」の「事業計画」も見てみようね。
……ああ。残念ながら同じだね。「計画」って言うからには、何か目指そうとしている「目標」……たとえば、“一次リーグ突破!” とか……あるのかなって思ったんだけど、何にもないようだね。
圭佑君。僕は思うんだけど、君一人が “しゃかりきに” なって、やれ優勝しなければ……なんて思い詰める必要はないんだよ。「優勝する」とか「しないとか」……といったことは、おそらく一人の選手や一人の監督云々には馴染まないことだからね。
僕は思うよ。今回の「新監督決定」という “不透明な人事” の意味するものが何であるか……。圭佑君! 僕は君のためにも、次のように言わなければならない――。
現在の「日本サッカー協会」の体質が劇的に変化しない限り、日本男子サッカーには、夢も希望も、未来も栄光も絶対にあり得ない。
まともな「事業計画」(明確な目標設定)も「事業報告」(検証と反省)もない組織に、何が期待できるというのだろうか……。(続く) ※次回「最終回」