自燈明

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四十番 平兼盛

2014年04月27日 | 百人一首
しのぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで

私の恋は、包み隠そうとするけれども、物思いをしているのかと人が尋ねるほど、表に現れてしまったのであったよ。

しのぶれど 「しのぶれ」は、バ行上二段の動詞「しのぶ」の已然形で、人目につかないようにする・他人に気づかれないようにするという意。「ど」は、逆接の確定条件を表す接続助詞。
色に出でにけり 「色」は、顔色。「出で」は、ダ行下二段の動詞「出づ」の連用形。「色に出づ」で恋愛感情が顔色に出ることを表す。「けり」は、今初めて気づいたことを表す詠嘆の助動詞。この場合、他人から「恋の物思いをしているのか」と質問されたことで、恋心が顔色に出てしまっていることに初めて気づいたことを表す。
物や思ふと 「や」と「思ふ」は、係り結び。「物思ふ」は、恋の物思いをすること。「や」は、疑問の係助詞。「思ふ」は、ハ行四段の動詞「思ふ」の連体形で、「や」の結び。「物や思ふ」で、「物思いしているのですか」という意の他人からの質問を表す。「と」は、引用を表す格助詞。
人の問ふまで 「人」は、自分と恋愛の対象女性以外の第三者。ただし、この歌は、技巧を競う歌合で詠まれたものであり、恋愛対象も第三者も架空の人物。「の」は、主格の格助詞。「まで」は、程度を表す副助詞で、「~ほど・くらい」の意。「色に出にけり」にかかる倒置法。
※ 二句切れ・倒置法
※ 天暦の御時の歌合(天徳内裏歌合)で、ともに「恋」を題に詠まれた歌として、壬生忠見(41番)の歌を参照

たいらのかねもり (?~990)
平安中期の歌人。三十六歌仙の一人。光孝天皇の玄孫。家柄に比べて官位は低かったが、後撰集時代を代表する歌人となった。
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