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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

トラウマの国 ニッポン

2016-01-14 20:01:57 | 読んだ本
橋秀実 平成21年 新潮文庫版
去年の12月、土日の仕事で関西に行ってたときのこと。
夕方5時半からの飲み会まで中途半端に30分弱の時間が余った。
駅の周辺でぶらぶらするくらいしかないんだけど、古本屋をのぞいてみることにした。
そしたら、この文庫を見つけた。たぶん絶版ではないかと。即買った。
まったく、これだから、どこに行こうと、古本屋を見かけたら、入ってみないわけにはいかない。
飲み会の開始には数分遅れちゃったけど。
さて、本書のなかみはというと、なんかタイトルからすると日本論とか日本人論みたいな響きあるけど、そういうものでもない。
ヒデミネさん得意の体当たり取材集、対象はいつものとおり、本人たちは大マジメなんだけど一歩引いて見ると、ちょっと困っちゃった人たち。
第一章では、トラウマのグループセラピーに参加、みんなが自分のことを語る輪に入ってジッと聴く。
そして著者は、自分にはトラウマなんか無いなあと思うんだけど、ほかの参加者は「あるはず」というひとばっか。
はっきり言って、「トラウマ好き」なひとたちなんである。
なかには、「治ったらどうしようかと今、真剣に悩んでいます」なんてヘンなひともいる。
>克服するために克服する材料を見つける。トラウマセラピーは最初からそういう心構えで、臨まなくてはならなかったのである。
と著者は見抜く。
ほかにも冷静にみると奇妙なことって多く、その現場を取材していくんだが。
ときどき当事者たちから身も蓋もない言葉がとびだしたりするとこがおもしろい。
実は何の役にも立たないと薄々知りながら、いろんな資格を取ることを奨励されてる会社では、
>不公平な制度です。ヒマなほうが有利なんて。言ってみれば、資格はヒマの証しなんです
だとか。
老後は都会を離れ、のんびり自然の中で田舎暮らしをと思い、実行してみたものの、
>のんびり“田舎暮らし”というのは、絶対ウソです。田舎で暮らすと、皆さん情緒不安定に陥ります。精神面がとにかくキツいんです
だとか。
#1 トラウマへの道
#2 ふつうの人になりたい
#3 ゆとりの勉強
#4 生きる資格
#5 ユーモアを身につける
#6 Simple & Clear?
#7 お金の気持ち
#8 妻の殺意
#9 愛の技法
#10 生きざま革命
#11 せわしないスローライフ
#12 自分とは何か?
コメント
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