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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

人類最古の哲学

2013-12-13 19:47:28 | 中沢新一
中沢新一 2002年 講談社選書メチエ
「カイエ・ソバージュ I」ってことで、シリーズはこのあと第5巻まで続くらしいんだが、私はこれしか持ってない。
どうしてだろう? 最初に読んだとき、おもしろくなかったのかな。
いま読み返したら、すっごくおもしろかったのに。続編あるなら、探して読むかって思ってる。
タイトルの人類最古の哲学ってのは、神話のことを言っている。
>国家や一神教が発生する以前の人類は(旧石器時代の後期から)、この神話という様式を用いて、宇宙の中における自分たちの位置や、自然の秩序や人生の意味などについて、深い哲学的思考をおこなってきたのである。
ということで、神話ってのは、とかく飛躍が多かったり、突拍子もない展開を見せたりして、科学的というには程遠い、荒唐無稽なお話っていうふうに見られてるかもしれないけど、どーしてどうして、そんなにいい加減なもんぢゃありませんよって話である。
具体的に本書でとりあげられているのは、主に「シンデレラ」の物語である。
ユーラシア大陸に古くから広く伝えられているこの物語の分析が、とてもおもしろい。
んー、なんでだろ、大学での講義録って形式が、読みやすいからかな。
どうでもいいけど、神話とか民話では、最も高い地位にあるものと最も低い地位にあるものが、結びつけられたり、転換するようなジャンプを起こしたりってのは、現代思想の本とか読めばよくある話なんだけど、
>現実の世界では解決できない矛盾を、はなやかなしつらえを通して幻想的に解決してみせるようとする、さまざまな機構が発達しています。かつては民話が、その役目を果たしていました。
>現代では同じ機能を、極端に発達した「芸能界」が担おうとしています。
ってのは、なんか急にわかりやすくなったとこだと言える。
コメント
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