many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

もうおうちへかえりましょう

2011-02-13 22:30:52 | 穂村弘
穂村弘 2010年 小学館文庫版
私の好きな歌人・穂村弘の「世界音痴」に次ぐ第二エッセイ集なんだけど、今回はじめて読んだ。
巻末の初出一覧をみると、2002,3年にいろんな雑誌に出されたものらしいけど。
三部構成で、第一部はわりといつもの穂村弘のエッセイにありがちな、自分はこの現実世界に馴染めない!みたいなことを、たとえばボウリングでストライクを出してしまったら喜んでハイタッチしなきゃいけないんだろーか?みたいな感じで書いている。
そーなんだよ、俺もフツーのひとができる世間のつきあいに、自然と合わせることできないんだよ、って同意すること多い。
第二部は文芸批評っつーか、そんな感じの文章多くて、80年代の文学について触れてる箇所があり、そのなかで村上春樹の書いたものを誉めてるのが、ちょっとドキッとした。
「カンガルー日和」の初版持ってて、「なんでこんなにも素敵にうまく書けるんだ」って驚いてるとこが、素直でいい。
80年代ってーのは、「イメージと自意識の拡大洗練乱反射の時代」って言ってんだけど、その時代において、誰もが自意識を守りつつ誰も傷つかないで「素敵」「気持ちいい」を描写できるテクニックを称賛してる。
それ読んで、うーん、そうかぁ、そうだったのかぁ、って思っちゃうよね、私なんか。
ほかにも80年代の短歌シーンにおけるノー天気さの解説とかあるのも注目すべきところ。
第三部における、古本屋で古本を買うことへの情熱とか、マンガの「いいところ」や「凄さ」に対する感性とかを読んでると、すっごく気持ちよくて、「そうなんだよなぁ!」って言いたくなるエッセイ集ではあります、これ。
コメント
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