震災からの復興策の提案

2011-03-23 16:23:35 | Weblog
観光復興策の提言

(1) 序文
この度の東日本大震災の社会的・経済的分野に対する甚大な悪影響は、とりわけ観光やメディカルツーリズム関連分野においては、一説によれば、数年どころか10年以上も回復不可能な巨大なものと考えられています。
実際、諸外国に与えた我が国のイメージダウンは、単なる地震や津波災害の激甚な国と言うばかりではなく、福島原発の損傷による放射能汚染の懸念が覆いかぶさり、致命的な悪印象を与えてしまったと言わざるを得ません。放射能汚染の危険性についての諸外国の誤解は、正確な科学的事実に基づいたものではなく、多分にセンショ-ナルなものではありますが、この風評を打ち消すことは容易ではありません。打ち消そうと焦れば焦る程に誤解を大きくしかねない厄介なものです。
それにしても、「人の噂も75日」というわが国古来の諺もあるように、今から3ヶ月後の7月頃には、海外諸国の人々の見方も落ち着いてくるものと予測します。
この点は、とりわけ、メディカルツーリズム誕生の母国ともいわれるタイランドにおけるあの津波災害(総数で22万人以上もの犠牲者の中で、欧州からの犠牲者数は6,600名も数えたと言われる)を思い起こしてもらえれば明らかです。
即ち、タイランドで新しい観光スタイルであるメディカルツーリズムが、当時の通貨安の経済危機克服策として、タイ政府の支援で誕生したのが、1997年と言われていますが、その7年後の2004年12月末に、そのインドシナ大津波被害が発生したのです。それでも、その数年後、タイのメディカルツーリズムは、度重なった自然災害や政治的社会的混乱状況などを克服して、昨年(2010年)での顧客獲得目標数を、遂に200万人もの多数に設定できた程にまで成長しています。
我が国での津波大災害の場合、原子力発電所事故という特殊な災難を原因にしての諸外国での風評被害がとりわけ大きかったとはいえ、外国人観光客での犠牲者の実在それ自体は全くと言っていい程に報じられていません。
その理由としては、震災中心地の東北エリア全体が、観光シーズン中ではなかったことや、一年を通じてとりわけ訪れる外国人も少なくない日本三大景観地の一つに数えられる仙台・松島エリアでの(居住する日本人自体の)被災者数も、湾内ある松島自身が防波堤の役割を果たして最小限であったことが幸いしました。
かくて、タイランドでの津波大災害と我が国での場合とは、実際の現象と被害の内容が異なるため正確な比較はできませんが、結果的には、メディカルツーリズムの将来について致命的な出来事とは思えません。
そこで、先ずは、今回の出来事による多くの国民の縮み志向を、被災地復興へ向けての明るい希望へと転換させ、日々の営みに精力と活気とを取り戻させるメッセージを発することが必要です。
そのメッセージの発信には、政府やマス・メディアの論説委員などを始め、多くの民間企業や団体・組織のリーダーも協力して行うべきです。
福島原発の損傷修復に、命懸けで献身した多くの救援隊や作業員とその家族の心情を思えば、苦難の淵に沈んだこの国の救済に、我々も、ただ単に手をこまねいて傍観するだけではおられません。
一日も早く元気を取り戻して、この国の社会や経済の復活と更なる成長へと渾身の力を発揮するべきでしょう。

(2) 具体策提案
① 元気を取り戻す多くのメッセージの発信・・・まずは、世論・言論の活性化
② 被災者救済と同時的な傷んだ経済諸活動の正常化・日常化への邁進
③ 電力の復旧
④ 帰国した【知人・友人の】外国人の呼び戻し・声かけ
⑤ スポーツ・音楽・芸能演劇・娯楽等の復活・活性化【日本が元気になりつつあることの証明と海外への発信活動の強化】
⑥ 観光・メディカルツーリズム関連業者における外国人向けの誘致・訪日推進、情報発信強化
⑦ 被災規模が甚大であることに合わせ、復興需要も巨大になること長期化することが予想されるため、それを国力強化や国全体の経済成長のきっかけへと転換できる可能性を理論化し、具体化するプログラムやプロジェクトを多く立ち上げること
⑧ この度、東京通訳アカデミーでは、微力ながらも東日本大震災・ボランティア救援隊・通訳チームを立ち上げましたが、そこに震災後の僅か1週間ほどの短期間に500~600名ものボランティア応募者がありました。その中の2~3割は、欧米人主体の海外在住の外国人です。この事実は、如何に日本の被災者救援と復興に関心を持って下さる外国人が多いかを物語っています。
これを思えば、日本の社会や経済、歴史や文明、観光にと多面的な興味と関心を持って下さる人々が如何に多いかについて、我が国・国民自身がもっともっと自信を持ちましょう。
この自信を基礎に、メディカルツーリズムや医療の国際化推進には、近隣の中国やロシア方面への呼びかけだけではなく、欧米人の呼び込みにも一層の努力を行うべきです。
⑨ ところで、事実を正確かつ詳細に知らないがために、一時的に、放射線被ばくを恐れて海外母国に避難した多くの外国人の事を思えば、日本人の外国語下手や交流不足が或る程度に影響して、彼らに今回の福島原発の事故レベルや内容等が根本的にチェルノブイリ事故とは異なることを十分に知らしめることができなかったのかもしれません。
そのために、外国メディアの抱いた不安や誤信を初期の段階で鎮静化することに成功しなかったためかも知れません。
この事を考えれば、日本人は、在日外国人を含め、海外在住の外国人と、日頃からもっと積極的に交流し合う機会を増やし、日頃からの意思疎通を密にする方策を講じるべきです。
即ち、今後、そういう方策があらゆる場面や職場、生活の隅々に至るまで具体的に進められ、平素から外国人との十分な協働・共同生活が促進されれば、今回のような「母国への一斉避難」と言った現象を無くすことができるでしょう。
⑩ 外国人留学生を増やし、外国人の科学・技術上のエキスパートを活用する機会を促進するなど、日常生活上で、多面的に日本人との間での社会的・文化的交流機会を増大させるという、一見すれば地道で基礎的な改善策こそが、やがては、観光客を増やす土台となり、メディカルツーリズムを活性化させ、政府が提唱する2000万人観光客獲得の目標達成に大きく近づく最善の要因となるでしょう。

平成23年3月23日 水曜日
特定非営利活動法人 日本通訳案内士連合 理事長 岡村寛三郎
一般社団法人日本教育者セミナー・理事長
東京通訳アカデミー・学院長
〒101-0052東京都千代田区神田小川町2丁目6番12号 東観小川町ビル8階
☎03-3233-7518 Fax.03-3294-7410 Email:okamura3@oksemi.co.jp
JGC&TIA事務局・藤上理奈、Email Address:fujigami@coolworldexpo.co.jp

東日本大震災・ボランティア救援隊・通訳チーム、現況(23日、午前11:30現在)

2011-03-23 11:32:18 | Weblog
東日本大震災・ボランティア救援隊・通訳チーム活動の現況

皆様のご清栄をお慶び致します。
ところで、東日本大震災・ボランティア救援隊・通訳チームでは、本日23日からの先遣隊派遣を予定していましたが、諸準備になお数日を要するかと思われます。
一つは、資金的な面での充足が不足している懸念があります。他の一つは、往復ルートで福島県内を経由する為、携帯型の放射線量計測機の所持は不可欠であり、その入手が極めて困難であることによります。
たまたま、震災規模が大きく復興活動にも長期間かかる見込みであることと、多くの国々からの救援隊がまだまだ来日予定と報道されているため、先遣隊の派遣にも多少の日程的余裕があるために、出発を翌週に延期する予定です。
但し、その他に関しての準備は整っているため、政府からのご指示があれば、上記の日程に変更も生じ得ます。本日、政府窓口からのご連絡では、今夜又は明日中には、ご指示があるとのことですので期待しています。

********************************
ところで、東京の都心部には、福島原発損傷被害への懸念も大きく薄らいできたことから、活気が戻ってきました。今朝は、久しぶりに、激しい交通量と人波の多さとを目にしました。
社会的・経済的な復興の動きに、迅速性と勢いがあることを推測できます。
では、今後ともよろしくお願いします。

平成23年3月23日 水曜日
東京通訳アカデミー・学院長・岡村寛三郎
boran@coolworldexpo.co.jp
事務・藤上理奈Email Address:fujigami@coolworldexpo.co.jp