外国人受け入れのための基盤づくり
平成22年2月17日 水曜日
東京通訳アカデミー・学院長・岡村寛三郎
最近では、東南アジアで始まって世界中に広まって大きな人気を博している観光と医療をセットにしてのメディカルツーリズムを、わが国でも始めたいと言う声が、民間においても官庁に於いても盛んに聞えてくるようになりました。
とりわけ観光資源に恵まれているタイランドでは、年間で百数十万人もの外国人たちが、安くて良質の医療サービスと観光をセットにして安らぎと楽しみとを求めて訪れていると言われています。
タイランドやシンガポールなどと同様に医療水準も高く観光資源も豊かな日本で、そのようなメディカルツーリズムを推進したいと願うのは、多くの人たちの偽らざる心情です。
ましてや、医療費抑制の国家政策が長きにわたり、疲弊の色を濃くしている日本の医療界では、そのような苦境からの脱出策の一つとして、外国人の訪日を歓迎する向きも少なからずあるかと推測します。
とはいえ、現在の日本の医療業界の医師不足や過労の問題は根深く、ここに外国人患者等の受け入れが始まれば、医師不足に拍車がかかり、日本人患者の受診機会の減少や妨げとなって大変に困ると言う意見も出される可能性があります。
そこで、この予想される「メディカルツーリズム迷惑論」に対するメディカルツーリズム推進論者側からの弁明が求められているでしょうか・・・
★外国人受け入れ策を推進した方が良い理由説明
(1) 日本の社会おける少子高齢化の傾向の定着は、下記の資料(1)にもあるように深刻な問題を提起しています。
そこでは、国民皆保険制度や益々高騰予想の老人医療サービスの持続的な確保のためにも、国や国民からの財政支援を期待するのみならず、医療分野側においても医療サービスに伴う収入増大や利益確保のために、勇敢かつ叡智ある工夫や努力を行うことが望まれます。
そのような努力の一環として、多数の外国人患者等における日本の優れた医療サービスを是非とも利用したいと言う強い要望を率直に受け入れていくことは、既に人や情報の交流のみならず、財貨や金融サービスの交易などの面でも国際化が著しく進んでいる今日では、国境を越えての人道主義や博愛・友愛精神の積極的発露として、国際社会に於いて名誉ある地位を占めたいと願う日本国憲法の高邁な精神にも添う極めて妥当な姿勢と言えるでしょう。
しかも、外国人受け入れのサービス提供は、彼らの命を救い健康を増進するために最大限の努力を惜しまない日本の病院や医師・医療スタッフ等に対する、患者やその家族側からの深い敬意と厚い感謝の気持ちを誘うことになるのみならず、病院にとっては治療費等の形での収入増加の機会ともなり得て、正に一石二鳥の良い効果を生む基になるのではないでしょうか?
(2) フランスに発した「国境なき医師団」の活躍については知らない人がいない有名な話ですが、ここでは、フランス国内での医師不足などが心配されるのではなく、むしろ、地の果て天の果ての遠方であっても、最も医療を必要とする人々をできる限り多く救おうとする無償の友愛や奉仕の活動が行われているのではないでしょうか?⇒⇒⇒資料(2)
資料(1)
「日本の人口構成」
2050年には日本は2.5人に1人が65歳以上という超高齢社会。社会保障制度の崩壊の危機も。 総務省発表の08年10月1日現在の都道府県別,年齢別の推定人口によると,総人口は1億2777万1千人となりほぼ横ばい,自然増減は初めて自然減少に転じるとしています。
日本は世界で最も少子高齢化の進んだ国となった。国立社会保障・人口問題研究所が2006(平成18)年に発表数値によると,総人口は現在の約1億2770万人から,2055年には8993万人へと減少の見込み。50年弱で3割もの人口減となる。そして100年後の2105年には4459万人にまで落ち込む。
人口の著しい減少は,経済の縮小を招き,さらには年金など社会システムへの影響も避けられない。まさに,「国家存亡の危機」が懸念される。
資料(2)
この2つの病院では、アフガン人および外国人スタッフからなるMSFの医療チームが活動している。その目的は産科、小児科、外科、救急医療のすべての分野で、質の高い、命をつなぐ、完全に無償の医療を、有効な薬とともに提供することである。
以上
平成22年2月17日 水曜日
東京通訳アカデミー・学院長・岡村寛三郎
最近では、東南アジアで始まって世界中に広まって大きな人気を博している観光と医療をセットにしてのメディカルツーリズムを、わが国でも始めたいと言う声が、民間においても官庁に於いても盛んに聞えてくるようになりました。
とりわけ観光資源に恵まれているタイランドでは、年間で百数十万人もの外国人たちが、安くて良質の医療サービスと観光をセットにして安らぎと楽しみとを求めて訪れていると言われています。
タイランドやシンガポールなどと同様に医療水準も高く観光資源も豊かな日本で、そのようなメディカルツーリズムを推進したいと願うのは、多くの人たちの偽らざる心情です。
ましてや、医療費抑制の国家政策が長きにわたり、疲弊の色を濃くしている日本の医療界では、そのような苦境からの脱出策の一つとして、外国人の訪日を歓迎する向きも少なからずあるかと推測します。
とはいえ、現在の日本の医療業界の医師不足や過労の問題は根深く、ここに外国人患者等の受け入れが始まれば、医師不足に拍車がかかり、日本人患者の受診機会の減少や妨げとなって大変に困ると言う意見も出される可能性があります。
そこで、この予想される「メディカルツーリズム迷惑論」に対するメディカルツーリズム推進論者側からの弁明が求められているでしょうか・・・
★外国人受け入れ策を推進した方が良い理由説明
(1) 日本の社会おける少子高齢化の傾向の定着は、下記の資料(1)にもあるように深刻な問題を提起しています。
そこでは、国民皆保険制度や益々高騰予想の老人医療サービスの持続的な確保のためにも、国や国民からの財政支援を期待するのみならず、医療分野側においても医療サービスに伴う収入増大や利益確保のために、勇敢かつ叡智ある工夫や努力を行うことが望まれます。
そのような努力の一環として、多数の外国人患者等における日本の優れた医療サービスを是非とも利用したいと言う強い要望を率直に受け入れていくことは、既に人や情報の交流のみならず、財貨や金融サービスの交易などの面でも国際化が著しく進んでいる今日では、国境を越えての人道主義や博愛・友愛精神の積極的発露として、国際社会に於いて名誉ある地位を占めたいと願う日本国憲法の高邁な精神にも添う極めて妥当な姿勢と言えるでしょう。
しかも、外国人受け入れのサービス提供は、彼らの命を救い健康を増進するために最大限の努力を惜しまない日本の病院や医師・医療スタッフ等に対する、患者やその家族側からの深い敬意と厚い感謝の気持ちを誘うことになるのみならず、病院にとっては治療費等の形での収入増加の機会ともなり得て、正に一石二鳥の良い効果を生む基になるのではないでしょうか?
(2) フランスに発した「国境なき医師団」の活躍については知らない人がいない有名な話ですが、ここでは、フランス国内での医師不足などが心配されるのではなく、むしろ、地の果て天の果ての遠方であっても、最も医療を必要とする人々をできる限り多く救おうとする無償の友愛や奉仕の活動が行われているのではないでしょうか?⇒⇒⇒資料(2)
資料(1)
「日本の人口構成」
2050年には日本は2.5人に1人が65歳以上という超高齢社会。社会保障制度の崩壊の危機も。 総務省発表の08年10月1日現在の都道府県別,年齢別の推定人口によると,総人口は1億2777万1千人となりほぼ横ばい,自然増減は初めて自然減少に転じるとしています。
日本は世界で最も少子高齢化の進んだ国となった。国立社会保障・人口問題研究所が2006(平成18)年に発表数値によると,総人口は現在の約1億2770万人から,2055年には8993万人へと減少の見込み。50年弱で3割もの人口減となる。そして100年後の2105年には4459万人にまで落ち込む。
人口の著しい減少は,経済の縮小を招き,さらには年金など社会システムへの影響も避けられない。まさに,「国家存亡の危機」が懸念される。
資料(2)
この2つの病院では、アフガン人および外国人スタッフからなるMSFの医療チームが活動している。その目的は産科、小児科、外科、救急医療のすべての分野で、質の高い、命をつなぐ、完全に無償の医療を、有効な薬とともに提供することである。
以上