冬場、母の手はよくひび割れていた。
赤くはれて、血がにじんでいることもあった。
2階の物干し場に洗濯物を干しに、家族がテレビを見ている部屋を横切り
濡れた、重い洗濯物を運んで行った。
誰も手伝おうとしなかった。
それは「母の仕事」と当たり前に思っていた。
私は、1度でも手を貸すことはなかった。
何故?何故なのか・・・、
「母の仕事」は無限にあった、子供心に「母親って忙しいなー」
そう思うぐらいが精一杯だった。
母の後ろ姿に「これは私の仕事」と言う強い意志を、いつも感じた。
そうなのだ、言い訳ではなく、誰も寄せ付けない何かがあった。
勝手な言い草だが、もっと「仕事」を振ってほしかった。
あのひび割れた手を見て、何かを感じていたはずなのに、
何もできなかった、何もしなかった。
子供は育てたようにしか育たない。
自分の弱点を、いい歳をして親の責任のように言うのは気が引けるが、
「教えて」欲しかった。
イヤ、私はその程度の子供だった、ということです。
「ゴメンンなさい・・・」思わずつぶやく。
娘の家で回るドラム式の洗濯機を見ていて胸が痛んだ。
汚れ物を放り込めば、洗濯から乾燥まで全自動でやってくれるあれだ
夢のような洗濯機、その内、乾いた洗濯物はしつかり折りたたんで
出てくる日も時間の問題でしょう。
私は自分の手を見た。少し艶を失い、よく見ると小さなシミもある。
でも、ひび割れてはいない、というよりひび割れた経験などない。
冬の日の母の、あの赤く腫れあがった血のにじんだ手の記憶は、
私の中から生涯消えることはない。
、
赤くはれて、血がにじんでいることもあった。
2階の物干し場に洗濯物を干しに、家族がテレビを見ている部屋を横切り
濡れた、重い洗濯物を運んで行った。
誰も手伝おうとしなかった。
それは「母の仕事」と当たり前に思っていた。
私は、1度でも手を貸すことはなかった。
何故?何故なのか・・・、
「母の仕事」は無限にあった、子供心に「母親って忙しいなー」
そう思うぐらいが精一杯だった。
母の後ろ姿に「これは私の仕事」と言う強い意志を、いつも感じた。
そうなのだ、言い訳ではなく、誰も寄せ付けない何かがあった。
勝手な言い草だが、もっと「仕事」を振ってほしかった。
あのひび割れた手を見て、何かを感じていたはずなのに、
何もできなかった、何もしなかった。
子供は育てたようにしか育たない。
自分の弱点を、いい歳をして親の責任のように言うのは気が引けるが、
「教えて」欲しかった。
イヤ、私はその程度の子供だった、ということです。
「ゴメンンなさい・・・」思わずつぶやく。
娘の家で回るドラム式の洗濯機を見ていて胸が痛んだ。
汚れ物を放り込めば、洗濯から乾燥まで全自動でやってくれるあれだ
夢のような洗濯機、その内、乾いた洗濯物はしつかり折りたたんで
出てくる日も時間の問題でしょう。
私は自分の手を見た。少し艶を失い、よく見ると小さなシミもある。
でも、ひび割れてはいない、というよりひび割れた経験などない。
冬の日の母の、あの赤く腫れあがった血のにじんだ手の記憶は、
私の中から生涯消えることはない。
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