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司馬さんの「城塞」 千年生きてもこんな作品は書けない

2018年11月26日 | ドラマ
考えてみると司馬さんの小説を「読み直す」のは久しぶりです。

特に「城塞」は数回しか読んでいない本で、本当に久々に読み直しました。

なんと書けばいいのだろう。サリエリがモーツァルトに感じたのはこんな感覚なんだろうなと思います。

全ての凡庸なるもの(私とかです)は、この作品の前に「ひれ伏すしかない」と思います。

誤解して欲しくないのですが、「全てが史実だ」なんて考えていませんし、小説なんだからフィクションです。

そのフィクションのリアリティの前に、少なくとも私は「ひれ伏すしかない」と思います。

司馬さんらしく色々な古書からの引用があります。多くは知らない本です。司馬さんの面白さは、こういう資料すら「ウソ」であることもないわけではない点です。

例えば「十一番目の志士」には「天堂晋助年譜」というのが登場しますが、そんなものはありません。あるわけないのです、天堂晋助という人物そのものが架空の存在だからです。

「ひれ伏す」などと書くと、司馬オタク、司馬マニアと言われるかもしれないし、それは事実かも知れません。

ただこの本の「濃密さ」を別の表現で言うことはできません。

千年生きても、こんな作品は書けません。


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