散文的で抒情的な、わたくしの意見

大河ドラマ、歴史小説、戦国時代のお話が中心です。

真田丸  長澤まさみ「きり」のもとになった人物

2016年12月20日 | ドラマ
きり。

最初は非常に評判が悪かったのですが、最後はいい感じになって終わりました。

もとになった人物は「おこう」です。

高梨内記の娘じゃありません。原型の原型は高梨内記の娘ですが、大河ドラマの歴史の上での原型は「おこう」です。

「真田太平記」に登場する草の者で、遥くららさんが演じました。

長澤さんの役とは違って、非常に「色っぽい」造形で、幸村の初体験の相手という風に設定されています。

愛し合ってはいますが、身分違い。むろん結婚なぞしません。

幸村が結婚してからは、肉体関係も断ちます。

けれど、幸村の十代の頃から、死ぬ49歳までずっと仕え、ずっと幸村を愛し続ける役です。

大河で描かれた女性の中では、個人的にはもっとも魅力的な人物です。

幸村が死んだ後も生きます。そして幸村の遺言通り、真田家のために忍者仕事をします。

最後は真田家から離れ、農民として生きていく、という形になります。

「きり」の原型が「おこう」だという私の考えは、真田太平記をみた方にとっては分かりやすいかもしれません。

もっとも「おこう」はかなり魅力的なので、「きりなんぞとは全然違う」という方もいるかも知れません。



敗戦は戦後世代にとっては非常に幸福な出来事だった。

2016年12月20日 | 日記
敗戦。

1945年の敗戦です。連合国に負けました。アメリカ、中国、ソ連、欧州なんかに負けたのです。

あの戦争がなかったら、と考えると恐ろしくなります。

日本があの戦争を起こさずに、負けもしなかったら。

大土地所有制度がまだ残っています。財閥も当然残っている。韓国のような超格差社会になってしまう。

流石に女性参政権は実現したでしょうが、1960年ごろまでかかったのではないか。

何より高度成長が起こりません。

「戦前の社会」がいまだに強く残っている社会になるのです。

だからあの戦争は「良かったのだ」とはならない、ところが複雑です。

私の母などは戦中子供でした。で苦労した。でも戦後は70年も平和な社会に生きています。人生の圧倒的時間が「平和」なのです。

生き残った戦中派にとっても、敗戦は結果としてこの上ない「幸福」をもたらしました。

かわいそうなのは死んだ人々です。日本だけでなく、アジア、欧州、米国、オーストラリア等の死んだ人々。

でも我々戦後派にとって、あの「敗戦」はこれ以上ないようなラッキーな出来事でした。

すべて結果論だとしても、歴史の不思議さです。

真田丸 最終回 知っていることの不幸

2016年12月19日 | ドラマ
真田丸、面白いという方が多い。それはいいことなんでしょう。

私にとっては「素晴らしく面白く」はない。

すぐ頭に「うそばかり」という言葉が浮かんでしまうからです。

大坂の陣の部分は特にそうですね。「真田幸村が大阪の陣の大将のわけがない」。

そういう史実を知っていると、なんだか楽しめないのです。

幸村が妻子を伊達政宗に託した、政宗は幕府に内密でそれを引き受けた。嘘ばっかり。片倉小十郎の嫁が幸村の娘、は本当だけど、そのことに便乗して、嘘書きすぎ。

別に細部まで史実にこだわるつもりはなくても、あまりに露骨な嘘はなんだか白けてしまいます。

真田太平記やその他歴史本で、真田家の歴史はほぼ分かっています。

大坂の陣がどのように展開するかも知っています。

そういう風に歴史を知ってしまったうえで見ると、フィクションをフィクションとして楽しめない、そういう不幸な人間になってしまいます。

思えば、小学校の頃の大河が一番楽しかった気すらします。

織田信長がどんな人間かも知らなかった。

だから、毎週ワクワクして楽しめました。

へたに歴史を知ってしまうと、大河を楽しめないという不幸に見舞われる。寂しいかぎりです。

真田丸 最終回予想の当たりはずれ

2016年12月19日 | ドラマ
真田丸 最終回でした。

先週ぐらいに、私は最終回の予想を書きました。そのあたりはずれはこうです。

1、目指すは家康の首ひとつというセリフを言う。またはそれに近い事を言う。→当たって当然ですが、当たりです。ほぼ「そのまんま」言ってました。

2、家康を自殺寸前まで追いつめる。→追いつめていましたが、これも当たって当然です。お決まりですから。

3、茶々と秀頼が華々しく死ぬ→はずれ、です。死のシーンは描かれませんでした。

4、信之のその後に触れる。→微妙です。松代藩のその後に触れて、佐久間象山を輩出したとか言ってました。まるで松代藩が討幕を行ったかのようなこと言ってました。まあ嘘です。

4の「嘘です」をもうちょっと細かく書くと、
真田家は譜代並みであって、幕末の当主は「幕府老中」までつとめています。もともとは完全なる佐幕派です。が幕末になって「討幕」に転換。たしかに討幕派になりましたが、それは多くの藩がやったことと同じで、特記すべきものではありません。尾張徳川すら最後は官軍だったのです。

佐久間象山はなるほど多少活躍しましたが、すぐ暗殺されます。彼の時期はまだ討幕という考えは全く存在しませんし、彼は開国派かつ公武合体派でした。「討幕」という考えが具体的になっていくのは、彼の死後です。ただし、彼の影響を受けた人物が討幕で活躍するのは事実です。

佐久間象山などに「頼ることなく」、「信之が93歳まで現役で生きた」ことを強調すべきだったと思います。

さて、最終回、幸村は二度、家康を追いつめます。一回目はコントにように逃げたのに、二回目になると、急に幸村の短銃の前に自ら身をさらして、殺すなら殺せと言い放ちます。

わけわからない行動です。まあ「演出上の都合」なんでしょう。どうしても一対一のシーンが欲しかった。でもリアリティは全くなくなってしまいました。

ついでに書くと、幸村が妻子を伊達政宗に託した、なんて設定は「完全なる嘘」です。

茶々と秀頼の最後も描きませんでした。

何を描いたか、より「何を描かないのか、どうして描かないのか」が多少気になる作品です。ただし、草刈さんのファンなので、前半は見直すでしょうが、大坂の陣あたりの部分は見直す気はしないので、「気になる」といっても、深く考えようとは思いません。

幸村の最期ですが、これがなんのパクリかはすぐ分かりました。「翔ぶが如く」の西郷の自決シーンのパクリです。そっくりでした。

草刈さんを重用したこと、ジャニーズを起用しなかったこと。など功績はありますが、最後の方は、大坂の陣の描き方は「いただけない」感じの作品でした。

それでもジャニーズ大河よりはずっとましです。

真田丸の主演俳優は誰が良かったのだろう。

2016年12月12日 | ドラマ
私はどうも堺雅人さんが苦手です。彼が主役の現代劇のドラマも見たことありません。大河には以前に二度出ていますが、それがあまりにひどい役だったからでしょうか。どうにも好きになれない俳優さんです。

「新選組」では山南だったかな。そもそも新選組ものが嫌いです。山南なんて見たくもない。新選組ものの中でも三谷さんの新選組は特にひどい。「でたらめ」ばかりでした。

それから篤姫では13代家定、この人史実としては精神薄弱なんですが、「暗愚のふりをしているがもともとは賢い人」という設定でした。なんでそんな馬鹿な設定にしたのか、いまだに分かりません。主人公の夫が暗愚じゃいけない、ぐらいの理由でしょう。劇中の説明では、幼い頃から暗殺未遂に何度もあってとかいう理由でしたが、理由になっていませんでした。

というわけで、堺雅人さんファンじゃない人間からすると、あれほど弱そうな幸村は見たことがない。武将姿が全く似合っていない。七五三の仮装みたいです。

真田丸でも始終影の薄い役でした。最初は昌幸が主人公、中盤は秀吉。今が幸村ですが、果たして主人公といえるかどうか。

じゃあ誰が良かった、というと悩みます。

今は時代劇が全くない時代なので、イメージができないわけです。

鎧姿だけを考えるなら市川海老蔵あたり。でも目力が強すぎるし、若い頃のコミカルな演技はできない。

コミカルもできて、シリアスもできて、武将姿もそれなりにカッコいい。

阿部寛さんならできるでしょうが、多少年をとりすぎで、青年役ができないでしょう。

で、考え付いたのがオダギリジョーさん。

まあ、年食ってはいますが、若作りすればなんとかなるでしょうし、コミカルな演技も得意です。なおかつ、カッコいい。

オダギリジョーさんが演じていてくれたら、今の変な脚本でも、多少は楽しめる気がします。




NHKのスニッファーは本当に面白い。

2016年12月07日 | ドラマ
先日、NHK版の「獄門島」を批判しました。全くもって「なってない」作品だったからです。

ところが、同じNHKの「スニッファー」、これが実に良い作品に仕上がっています。

原作がウクライナで、私はそっちも見ていますが、日本版の方が、なんというかロマンチックで上品です。

日本のドラマというのは、特に最近「キザなセリフ」が少ないように思います。もっとも日本のドラマあまり観ていないので、わかりませんが。

スニッファーは異国情緒のある作品で(原作が異国なんですから当然ですが)、

たとえば黒木瞳さんが教祖様を演じた回。

彼女は末期のがんなのですが、最後に主人公の阿部寛さん(華岡)に向かってこういいます。

「人生の最後に、あなたにもう一度会えて良かった」

こういうセリフ。最近の「きどらない日本ドラマ」にはあまりありません。

それに対する阿部さんの返しがこうです。

笑顔で「また会いましょう」。

こういうキザなシーン。個人的に大好きで、昔なら例えば「ニューヨーク恋物語」あたりにはよくでてきました。

久々にこういうキザなシーンを観ました。阿部さんが演じるとちっとも不自然じゃありません。

不思議なもんで、作品がいいと、出演者もよく見えてきます。

香川さんは当然ですが、板谷由夏さんや井川遥さん。原作のウクライナ版より明らかに魅力的です。

もっとも原作の場合、板谷由夏さん役(元妻)はヤク中みたいな女で、女医さん(井川遥にあたる人)は、PTSDにかかってと、魅力的とはほど遠い設定です。

井川遥さん、明らかに若い頃より綺麗になっています。板谷由夏さんは本来は美人なのに眼鏡でわざと美を消している感じ。でも人間的には魅力的な人物に仕上がっています。

日本のドラマ、ほとんど観ませんが、スニッファーだけは本当に面白いと思います。

続編ができそうな最終回でした。楽しみです。