散文的で抒情的な、わたくしの意見

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白い巨塔・感想・里見、僕に不安はないよ、、ただ無念だ 

2019年05月26日 | 白い巨塔
白い巨塔唐沢版には財前が里見に自らの診断を求めるシーンがでてきます。ドラマ史に残る名シーンです。

大学病院は財前の症状が末期であることを財前に対して隠します。しかし気がついた財前は別の病院にいる里見に診断を求めます。

里見「君の診断は正しかったよ。転移も起こっている。」
財前「それで余命は」
里見「長くて三ヶ月だろう」

里見「おれは君を助けたいんだ」
財前「おれは助からないよ」
里見「おれが君を助けたいんだ。君の不安を受け止めたいんだ」

ここでドラマ史に残る名セリフが。

「里見、ぼくに不安はないよ、、ただ、、すまん、、、ただ無念だ」

財前には里見と手を組んで「がんセンター」を運営していこうという構想がありました。

ただ単に「裁判に負けたから無念」というわけではないのです。財前は「白い巨塔の権化」ですが、批判も実は秘めており、見方によっては大学病院の体制「白い巨塔」「白い虚塔」に挑もうとしていたとも言えます。「見方によっては」です。

それが自らの死によってできなくなる。それが無念なのだと私は考えました。

最後の死のシーン。うなされるままに鵜飼教授を「出て行け」と怒鳴りつけ、手を上に伸ばす。その手を里見が握りしめます。鵜飼を突き飛ばして、握りしめるのです。

それを見た西田さん、財前又一は「みんな病室から出よう」と言います。財前と里見の強い絆を財前又一は実は知っていたわけです。東教授以下みんな去り、鵜飼も侮蔑の笑みをたたえて去ります。

鵜飼が象徴するものは、言うまでもなく「白い巨塔」「白い虚塔」です。財前は最後の最後に「白い巨塔」の象徴である鵜飼を拒否し、里見と手を握り合います。

唐沢版白い巨塔の録画を見直していますが、疲れます。自然と泣いてしまうし、胸が揺すぶられるし、感動で疲れるという状態になります。岡田版の感想はこちら


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