散文的で抒情的な、わたくしの意見

大河ドラマ、歴史小説、戦国時代のお話が中心です。

「オクニョ 運命の女」の面白さ

2019年11月05日 | 韓国・朝鮮
オクニョ、運命の人は韓国時代劇で、16世紀半ばを描いています。もっとも史実性は薄い作品です。

明宗の時代ですから、1545-1567ですが、最終回でユンウォニョンという歴史上の人物が死にますから、最終回は1565年ということになります。

この時オクニョは30才ぐらいの設定でしょうか。

オクニョは刑務所で産まれますが、母親は囚人ではありません。たまたま逃げてきた女性です。実は女官で、王の子を身ごもっています。母は死にますが、女の子が生まれます。これがオクニョ。

つまり王の娘ですから王女です。が、彼女はずっとそれを知らないし、知ってからも王女にはなりません。

で、何になるかというと、最初は「商団の主」です。これをヘンスと言っています。

で、最後に何になるかというと「弁護士」です。むろん弁護士という言葉はありません。が、弁護をする人ですから、弁護士です。

刑務所で育った名もなき女性が弁護士になる、、、というお話。というとまたちょっと違います。弁護士を目指すのは最後の方で。あとはずっと「悪人と戦って」いるわけです。

この「悪人」が大妃の弟である、ユンウォニョンとその妻。この二人は実際に存在した人物です。

この二人と大妃が組んで、王である明宗の政治を邪魔する。明宗はオクニョの兄なのですが、そうとは知らず、知り合いになり、王と親しくなり、、、、。

ここでまた解説が必要なんですが、無論、王とは知りません。従って彼女は彼女の戦いをするわけです。別に王のためではない。でも結局は王の為になり、知らず知らずに王と組んで戦うという構図になっていきます。

ここで「王に見出されて側室となり」だと「トンイ」の構図になりますが、そうはなりません。だって王とオクニョは兄弟だからです。兄弟と知らずに変な関係にならないよう、オクニョには「想い人」がいることになっています。幼馴染で、ユンウォニョンの庶子です。この庶子、途中で権力欲に取りつかれた感じになりますが、結局はオクニョたちの元へ戻ってきます。

韓国時代劇というのは、「リアル」に描くと、重くなりすぎます。朝鮮王朝実録がありますから、かなり「リアル」に描くことも可能なのです。

「龍の涙」なんかがそういう作品です。家臣をどんどん殺していくという悲惨な作品になります。

オクニョは、彼女の設定自体が完全なるフィクションです。明宗も出てきますが、リアルではありません。

オクニョは、イメージとしては「現代の活発な女性」です。ジメジメした感じがない。恋愛もなんだかドライです。そこがいいですね。そしてやたらと強い。武術の達人です。さらにやたらとデカイ。167センチありますから、でかいのです。

ストーリーはお決まりの、最後はオクニョが勝つというものですが、負けるユンウォニョンもなんだかかわいそうです。徹底的な悪ではないのです。むしろ多少ユーモラスに描かれています。とにかくオクニョが「圧倒的に強い」ので、悪人がなんだかかわいそうにも見える、そんな作品となっています。


さて、

時代は明宗の時代です。彼もオクニョも中宗の子供です。

韓国はイソンゲという男が作りましたが、彼の5男がクーデターで王権を奪取します。イバンオンです。徹底的に政敵を殺していきます。次の王が「イド」、これがハングルを作った大王世宗です。15世紀初めの人。

この大王世宗、後継ぎ選びに失敗し、病弱の長男が王となり、でも死んでしまいます。すると世宗の息子同士の戦いが起こり、勝利するのが世祖です。甥を殺して王となるので、かなり評判が悪い。

世相の次の時代に、インス大妃などの政治があり、結局、燕山君というインス王妃の孫が王となりますが、こいつが徹底した悪政を行い、臣下に殺されます。まあ実際は遠流地での死です。

で、彼の弟の中宗が王となりますが、ほとんど実権はなかったと言われています。

この最後の数行は、明宗とオクニョの父である「中宗」とはどんな人物かの解説です。


でもオクニョは史実にこだわりを持っていないので、かなり明るい作品となっており、面白いと思いました。





ドラマに見るハングル文字の発明・根の深い木

2019年04月27日 | 韓国・朝鮮
以下はドラマ「根の深い木」の話ですから「学問的叙述」じゃありません。自慢じゃないですが、私に学問的叙述はできません。

ハングル文字は15世紀半ば、朝鮮王朝の4代目、世宗が「発明」しました。その後、オンナ文字とか卑しい字とかいわれた「不遇時代」がありました。でも不遇時代も使用されてきました。

当然です。庶民には漢字を学ぶ機会がほぼなかったからです。王室の女性であっても、漢字は読めない方が多かったようです。少なくともドラマでは、例えば7代王の世祖の正妻などは漢字は読めません。

だから庶民はハングルを使いました。ハングルはひらがなと同じ表音文字です。

一方、漢字が読めることが階級を表していました。科挙があり、科挙は漢文でした。漢文を自由に操れることが両班(上流階級)のあかしでした。

ハングルを発明した世宗の意図には2つの解釈があります。人民の意見を聞こうとした。逆に人民に「通達」がきちんと伝わるようにしたかった。ドラマは美化されますから、当然、前者です。もっとも「きちんと通達が伝わる」のも「民の為」ではあります。悪徳役人が多かったからです。(むろん朝鮮独自の文字を作りたいが主たる動機でしょうが)

根の深い木、にはハングル公布を「阻止しようとする勢力」が登場します。

で世宗対その勢力の戦いが始まるのです。世宗は聖君とされているので、戦うイメージがなくてドラマにしにくいのですが、根の深い木は「戦う世宗」を描いています。

「反対派」にも「いいぶん」があります。「民の声をきくことが、必ずしも正しい政治を導かない」というものです。「衆愚政治の危険」を指摘するのです。一理あり、なわけです。

一方的に世宗を聖君にして、反対派を「ワル」としてはいません。まあ人殺しとか何でもするので「ワル的」ではありますが。

☆韓国の時代劇は、結構現実を反映していて「民主主義とは何か。一部の特権階級が政治を行うことの是非」などを問いかけてきます。

終わり。

補足1
今の韓国は「公教育で漢字を教えない」ようです。「よう」と書いたのは「もめている」からです。漢字教育復活を朴大統領は目指しましたが、達成したとは聞きません。
ハングルしか読めない世代がいる。これはこれで困ります。僕は困りませんが、大変な文化破壊をしたもんだな、とは思います。

補足2
朝鮮王朝は、14世紀末期に「李成桂」イソンゲが立国しました。王朝を「確立」させたのは3代イバンオンです。重臣(豪族)を粛清し、王権を強化しました。
4代目が彼の三男の「世宗」です。本名は「イ・ド」です。聖君とされていますが、そりゃ中世の王ですから、美しいことばかりやっていたわけでありません。男子が沢山いたのですが、長男相続にこだわり、病弱な長男を王とします。で、兄弟間の家督争いが起きます。家督相続では失敗をした王です。

韓国旅行の思い出・韓国時代劇

2019年04月24日 | 韓国・朝鮮
韓国旅行に行ったのは、2000年ぐらいだったでしょうか。「下見旅行」なので「自腹なしの旅行」でした。自腹なしで、うまいもん食べてきました。ただし「接待」とかはありません。旅行会社の人に「接待するな」と言ったら「イマドキしませんよ」と笑われました。

女性の通訳さんが付きました。彼女、「男性たち」と「食事を一緒にしない」のです。「こっち来て一緒に食べましょう」と言ったら困った顔をしていた。「男尊女卑の残滓」なのか「単なるマナー、文化様式」なのか。今はどうなんでしょう。

あれは閔妃(ミンピ)関連の施設だったのでしょうか。閔妃は19世紀末に、自国民および日本人に殺された朝鮮王朝の妃です。

ある老人から「ここは日本人の来るところではない」と怒られました。老人ですから日本語が分かったのでしょう。女性の通訳さんが飛んできて「老人と大喧嘩」です。

私は「通訳さん、いいのです。なぜ来てはいけないか。訳してください。」と言いましたが、「相手にしてはいけない」と言われ、結局訳してはくれませんでした。

なんだ残念。と私は言いました。「反日感情のナマの声を聞きたい」という私の思いは通じなかったようです。もっとも「暴力」をふるわれたら、私は逃げます。でもそんなことはありませんでした。

それ一回です。反日に触れたのは。あとはもう「歓迎、歓迎、熱烈歓迎」でした。

夜に一人でコンビニに行きました。運悪く店員に韓国語で何かいわれました。「ストローつけますか」かと思ったのですが「〇〇ウォンです」という会計の話だったようです。

「アイアム イルボン アイキャント スピーク ハングル」、、滅茶苦茶な英語です。私は日本、ハングル話せない。ハングルは文字です。でも韓国語という英語が浮かびませんでした。「コリアン」または「コリアンランゲージ」ですかね。

店員さんは大きな声で、英語で金額を言いました。言わなくてもレジみれば分かるのに。

全体としてみると実にいい旅でした。

韓国時代劇「イニョプの道」以来見ていません。好きなのは「根が深い木」それから「六龍が飛ぶ」でしょうか。「イニョプの道」もいい作品です。ただ最近のはどうもロマンス色が強すぎます。あっ「トンイ」もいいですね。ほぼフィクションです。史実をもとにしたフィクション。まあ日本の「大河ドラマ」と同じです。

昔の韓国時代劇は「朝鮮王朝実録」に基づいているので「かなり史実を反映」してました。だが面白くはない。史実は悲惨なことが多いのです。

「朝鮮王朝」は実に長い歴史を持った国です。いまだに「朝鮮」は差別用語なんでしょうか。でも韓国ドラマでは「朝鮮」と言ってます。「偉大なる朝鮮」なんて言葉も出てきます。本来国号が差別用語であるはずもない。しかし日本人が差別的に使ったので昔は差別用語でした。悲しい歴史です。