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真田丸のルソン助左衛門

2016年07月17日 | ドラマ
ルソン助左衛門には「思い入れが強い」ので、二度目の投稿です。

真田丸のルソン助左衛門の人物像は、ほぼ昔の大河の人物像と同じです。「力を持つと人は変わります。手前はそのような無理無体に対して、常に戦いを挑んできました」、こう助左衛門は言います。

黄金の日々は1978年の放映で、「強いものにつく」ことが「かっこ悪かった」時代です。今とはだいぶ違いますね。

「このルソン助左衛門、あらゆる弱き者たちの守り神でござる」とも言います。(真田丸の中で)

それはちょっと、でしょうか。なぜなら「助左衛門自身がずっと弱き者」だったからです。「黄金の日々」とあるから主人公が黄金の生活をしているかと言えば、全く違います。最後の最後まで、彼は社会の底辺近くにいますし、豪商となってからは、権力者の迫害を受けて、結局日本を脱出します。

「黄金の日々」は実に不思議な大河ドラマでした。ほとんど架空の存在であるルソン助左衛門が主人公。副主人公が二人いて、一人は信長を撃ったといわれる杉谷善寿坊(川谷拓三)、もう一人は石川五右衛門(根津甚八)です。

杉谷善寿坊なんて「信長公記」にちょっと出てくるだけの人です。よくもまあ、副主人公に据えたものです。最期はのこぎり引きで死刑。そりゃ悲惨なシーンでした。石川五右衛門は暴走する権力者、秀吉暗殺をくわだて、釜茹でとなります。

当時は大学生にもなってませんから、そんなに深く考えませんでしたが、あの大河はなんだったのでしょう。

今、DVDを見返してみると、「自由都市堺が主人公だ」ということはわかります。中世近世において、日本が自由貿易を行ったごく「短い期間」、それを原作者、脚本家は「黄金の日々」としたのです。

最後の最後、ルソン助左衛門たちは、堺を離れ、ルソン移住を決意します。(何度も書きますが、史実とはNHKも言っていません)

堺を焼き、堺を離れるとき、助左衛門はこう言います。「自分たちは堺を捨てるのではない。自分たちが境を持ち去っていくのだ。堺とは場所ではない。自由に貿易ができるところ、それがわれわれにとっての堺なのだ」と。

「黄金の日々」という作品の主題は、ほぼこの言葉に「濃縮」されていると考えます。





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