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ドラマ「エクソシスト」と映画「エクソシスト」

2018年01月16日 | ドラマ
全くネタバレを気にしないで書きます。つまり海外ドラマ「エクソシスト」のネタバレを含みます。

映画「エクソシスト」。何回もTVで再放送されています。DVDでも見たし、結構な回数観ています。

ほとんど「息抜き」がないのがこの映画の特徴です。徹底的に「シリアス」です。エクソシストであるカラス神父も、メリル神父もほとんど笑いません。全く笑うシーンがないかも知れません。

「シリアス」といっても「現実的」とか「リアル」とかいう意味ではありません。要するに見るものに「余裕を与えない」作りになっているのです。

いい映画だと思います。エクソシスト2も3も見ました。「2」は結構面白い作品です。「エクソシストビギニング」も見ています。

つまり映画のほうはかなり詳細にみているのです。

で、海外ドラマのほうの話。TVシリーズのエクソシスト。たぶん2017年製作です。10話構成です。

こっからネタバレしますよ。

第一話、映画版に似たシーンから始まります。簡単にいうと「犬が吠えて」ます。これ、映画版の最初に出てくる。流石に「イラクから始める」なんてことにはなってません。

で、マーカス神父というベテランエクソシストが登場します。映画だとメリル神父ですね。

うん?と思いました。結構品がないのです。「あらくれ者」みたいな感じ。メリル神父は紳士でしたから、だいぶ違います。

もっとも「エクソシストビギニング」の若き日のメリル神父には似た感じです。というより、若き日のメリルをもとに、マーカスが作られた感じがします。

とにかく老紳士なんかじゃなくて「戦う祈祷師」って感じです。むろん教皇庁とも戦っています。働き盛りで行動的で、多少不良性があります。

で、とある夫婦の二女ケイシーが悪魔につかれるのです。エクソシスト新米のトマス神父はマーカスとともに、戦います。

戦うのは悪魔とだけではなく、政府ともかな。エクソシズムは児童虐待ということで、警察に中止され逮捕されたりもする。こういう点、現代的です。

「とある夫婦」と書きましたが、全然「とある夫婦」なんかじゃない、ことが後半でわかります。ケイシーの母の「アンジェラ」は改名しており、元々の名は「リーガン」です。

つまり映画「エクソシスト」のリーガンが、40年たって改名して「アンジェラ」になっているのです。第一話で「エクソシストのテーマ」が流れますが、音楽だけじゃなく、完全に「映画と連続した話」ということになっているのです。

女優であるリーガンの母も登場します。リーガンとはすっかり縁遠くなっていたのですが、この事件を機に再会です。それは不幸な再会に終わるのですが。。。

まあまあ「見てはいられる作品」かなと思います。映画と比較したら質は落ちますが、そこそこ仕上がってはいます。

マーカス神父はメリルのようなシリアスな存在であって欲しいのですが、ジョークを飛ばしビールを飲むアメリカンで、そこはどーかなと思います。

トマス神父も人妻と付き合ったりしていて、これまた現代的。あのまじめなカラス神父に比べると随分と不真面目です。作品内では「真面目キャラ」という扱いですが。

シリアスな感じが足りない、が私の不満です。シリアスじゃないと怖くないのです。

あと悪魔が人格をもって話したりするのも「どーかな」です。映画だと「悪魔は悪魔」です。バズズはバズス。なんで「とりつく」のかも分からないし、徹底的に不合理な存在です。

でもTVシリーズの方は人格化されていて、演じている役者もいて、悪い意味で人間的になりすぎています。

テーマはなんだろう?神の存在証明ではないですね。キリストの力が悪魔を滅ぼす、はまあ映画と同じく重要テーマです。あとは「家族の絆が悪魔を滅ぼす」でしょうか。家庭向けに家族愛の力が賛美されています。

悪魔の計画みたいのも出てきて、それが教皇暗殺なんですが、ドラマに社会性を持たせようとして手を広げ、失敗している感じもします。

娯楽性をもたせるのか、視聴者を氷つかせるほどシリアスでいくのか。僕は後者の方が良かったと思いますが、そうはなっていません。

それでも見ていられたのは「映画と完全に連続している」ということが後半になってわかるからです。女の子がおかしくなって、エクソシストがそれを祓う、だけではとても10話も見ていることはできなかったでしょう。

そこそこの作品で、見ても大きな損はしません。大きな得もしないけど。




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