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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

「逃げ水」MVは和と色の映像美が魅力も、傍観する主人公と越えられない緒川たまきのシュール [23Jul17]

2017-07-23 07:00:00 | 芸能

乃木坂46が参加する、注目の番組とイベント

(テレビ・ラジオ・イベント・リリース)

07月23日(日) [イベント] 3rdアルバム『生まれてから初めて見た夢』 個別握手会 in 千葉・幕張メッセ

07月24日(月) [TV_地デ] 24:50〜25:20 フジテレビ系「新しい波24」に、齋藤飛鳥が出演

07月26日(水) [TV_地デ] 21:00〜22:54 テレビ東京系「家、ついて行ってイイですか?」に、秋元真夏が出演
07月26日(水) [TV_地デ] 24:59〜25:29 日本テレビ「プラチナプラス『正解のない問題』」に、高山一実が出演

07月29日(土) [TV_地デ] 21:00〜 TBS「世界ふしぎ発見」に、斎藤ちはるがミステリーハンターとして出演。「子供の頃からの夢」が実現!
斎藤ちはるの2017/07/22_22:01ブログ

(演劇)

松村沙友理の出演舞台『FILL-IN〜娘のバンドに親が出る〜』
====================
07/13(木)〜07/23(日) in 紀伊國屋ホール
[出演メンバー] 松村沙友理
[ゲスト出演] 伊藤かりん{07/15(土)昼公演} 秋元真夏{07/22(土)昼公演}
[公式サイト] 舞台『FILL-IN〜娘のバンドに親が出る〜』


「ブックマーク」内にある「定期日程」と「重要日程」のリンクは、乃木坂のスケジュールをまとめたものです。「ブックマーク」は、PCでは左サイドバー、モバイルでは記事の最後に置かれています。



大園桃子と与田祐希が、大きな旅行カバンを引きずるように、石畳を進み、武家屋敷風の立派な門まで辿り着くと、そびえ立つ扉が重々しく開く。

そこには、紺の作務衣に白の前掛けをした、緒川たまき演じる侍女長が立っていて、厳しくも奥ゆかしい眼差しで二人を眺めながら、

伊丹家は不思議な屋敷です。何を見ても、決して驚かぬように

と語りかける。


このシーンで始まる乃木坂18枚目表題曲「逃げ水」のフルバージョンMVが、7月21日(金)に公開されました。

映像が色鮮やかに美しく、「ドラマ」として、思わず笑ってしまうシーンが散りばめられ、芝居とダンスで、個々のメンバーが丁寧に取り上げられている。

率直な感想を述べると、満足度は決して低くないのだけど、期待していたものを受け取れなかった、物足りなさが残ります。

物足りなさを感じる点は二つです。


一つは、新センターであり、「主人公」である筈の大園&与田に関して、性格やキャラが十分描かれておらず、伊丹家の人々の変わった日常を眺めている「傍観者」に留まっていること。

もし、二人が選抜3列目であれば、新人である3期の目を通して、乃木坂トップメンバーのキャラを浮き彫りにするという面白い試みになって、「傍観者」であってもさほどの違和感はないと思います。

本人たちのキャラは、選抜を経験する中で、ゆっくり築いていけばいい。

しかし、センターは、選抜を引っ張るグループの「主人公」であり、乃木坂の「顔」なので、キャラがないまま進むことは出来ず、その意味から、表題曲MVにおいて、大園さん、与田ちゃんとは、どういう子なのか、もっと見せて欲しかった。


伊丹家において、二人が何を感じ、どう受けとめるかは、人々が見せる不思議な振る舞い以上に、気になる部分です。

二人が異なる反応を示したり、意見が対立するシーンがあれば、それぞれの性格とキャラが、よりくっきり見えたかもしれない。

例えば、西野七瀬が紙吹雪を舞散らす中、豪華な着物をまとい、お洒落な長椅子に身を横たえる高山一実のシーンで、与田ちゃんだけが嬉々として部屋に入り、一緒に紙吹雪を飛ばし、それを大園さんが呆れて観ているなら、何か伝わってくるものがある。

ところが、実際には、「待って!もっと観ていて!」と名残惜しそうに縋るかずみんを尻目に、部屋の襖を、二人でバシッと閉め、コントの古典的王道を突き進みます(笑)。

 

先輩侍女である齋藤飛鳥の包帯を巻いた指を、不思議そうに見つめたり、深夜の庭先を、夢遊病者のように徘徊する新内眞衣が、宙に浮かぶのを目撃して、口に手を当てて驚くシーンは、いずれもごく普通のリアクションで、二人の個性が表面化するような感じではない。

伊丹家の面々が、パン派とお米派に別れ、バチバチと火花を散らす朝食シーンで、大園さんと与田ちゃんも二手に割れ、バトルに加担すれば、少なくとも、物語に影響を及ぼす「主人公」感が出てくるけど、騒動を静かに見守っている。

乃木坂ファンですら、性格やキャラを、まだ十分把握していない、3期メンバーがセンターに抜擢された以上、「逃げ水」MVを通して、新しい「主人公」の一端が明かされるのだろうと、期待していましたが、作品が公開された今でも、やはり、よく分からないままです。

 

物足りなさを感じる、もう一つの点は、メディアが「シュール」と紹介したものの、さほど「シュール」ではなかったことです。

ちょっと普通と違う気はするけど、この程度なら、分からないでもないという範疇に留まっていて、「どっひゃ〜!」と仰け反るような衝撃は受けなかった。

朝食をパンにするか、ご飯にするかの対立は珍しくないし、怪我していることにして、仕事をさぼるのは、物語的によくある小さな悪キャラで、潔癖症的なキレイ好きは、今、離婚騒動で芸能ニュースを賑わせているあの方を始め、フィクション、ノンフィクションを問わず、わんさか話を聞きます。


清朝時代風の格好をして、ヌンチャクを弄ぶ堀未央奈の傍らで、秋元真夏が、バラエティの定番企画「箱の中身はなんだろう?」を「練習」しているのは、確かに滅多にないシチュエーションですが、二人のキャラから考えて、「やってそうな雰囲気はあるな、この人なら」的に、飲み込めるものがある。

昼は「OL」に勤しみ、夜は、酔っ払っているのか、屋敷や庭をうろうろ徘徊する衛藤美彩と新内眞衣に至っては、むしろ真に迫った「リアル」感が漂います(笑)。

一昔前の派手なヤンキー娘風ファッションで、ユルいダンスを踊り、なぜかセグウェイで敷地内を走り回る伊藤万理華と井上小百合には、「余計なお世話と思うかもしれないけど、そろそろ人生を正面から見つめた方が良いんじゃないか?」と語りかけたくなるものがあって(笑)、「シュール」を目撃したときとは、およそかけ離れた、別の気持ちが湧き上がってくる。


個人的に一番「シュール」だと思った乃木坂のMVは、12枚目「太陽ノック」のアンダー曲「別れ際、もっと好きになる」です。

とくに、主人公である堀未央奈が、恋い焦がれる「オム」さんとのデートを妄想するシーンは、凄まじくぶっ飛んでいる。

空から大量のナンが降ってきたり、運動場に小さな円を描き、オムさんと、堀ちゃんが、線に沿って走りながら、ぐるぐると無限バトンタッチを続ける光景は、こんなことをよく思い付くなと、背筋に悪寒が走るほど感動しました。


堀未央奈は、こういった「狂気」を演じさせると、不気味さが半端じゃなくて、良い味出してきます。

「逃げ水」MVでも、神経質にヌンチャクを回す場面は、何がやりたいのか、そもそも本当にヌンチャクが好きなのか、ややゾッとするテイストがある(笑)。

ただ、「別れ際、もっと好きになる」MVに比べて、あと一歩の踏み込みがないため、「シュール」まで行き着かず、「ちょっと変わっている」あたりで止まっている印象を受けます。

プチ情報を付け加えると、実は、どちらも同じ監督さんの作品で、今回は、表題曲ということで、エキセントリックなテイストを、やや抑えたのかもしれません。


丁寧にバターが塗られていく西野七瀬のパンに、一瞬、目が釘付けになった生田絵梨花と松村沙友理が、「食べます?」と言われ、はっと我に返り、「なわけないだろ、フンッ!」とそっぽを向きつつも、じっとり細目で、パンを盗み見ている。

面白いシーンは幾つもあって、「不思議」さの度合いが徹底していないから、作品がつまらないとは、全然思いません

ただ、クスクスと小さな笑いを誘うシーンが続くので、徐々に大きな「見せ場」が欲しくなり、目の覚めるような「シュール」への期待が膨らんでいく。


ところが、結局、もっとも「シュール」だったのは、冒頭に出てくる、緒川たまきの鬼気迫る演技だった。

このシーンは、今後、新入りの二人が目撃するだろう「不思議な」世界を予告し、視聴者のワクワク感を高める効果がある。

しかし、伊丹家の人々が巻き起こす様々な出来事は、導入部における、侍女長の発する「シュール」な雰囲気を越えられず、本編より、予告編の方にインパクトがあったかのような気分になります。


3期センターが「傍観者」に留まり、「主人公」としてのキャラが十分伝わってこないこと、緒川たまきが漂わせる半端ではない「シュール」感を、越えるキャラが登場せず、高まった期待が徐々にしぼんでいくこと、その二点が、作品への不満でしょうか。

ただ、上述したように、面白いシーンは幾つもあるし、何と言っても、選抜メンバー1人1人を、いつも以上に時間を割いて、長めに映していて、ファンとして、満足度は高かった。

また、侍女が何人もいるのに、なぜ白石麻衣が朝ご飯を炊いているのか、しかも、異常にこだわった釜炊きで、他人に一切触らせないならともかく、ごく普通の電気炊飯器で(笑)、といったツッコミどころが、ちょこちょこ出てくるので、繰り返し鑑賞しても、新たな発見があって、飽きにくい作品だと思います。


そして、もっとも感心したのは、映像の美しさです。

赤、白、青、緑など様々な色と柄に彩られた、メンバーの服と、日本家屋の落ち着いた背景が、絶妙なマッチングを醸し出し、異国情緒とでも言いたくなるような、独特の美しい空間を生み出している。

鮮やかな色彩と絵柄を、しっとりした和風家屋に組み合わせ、目の覚める映像美を生み出す手法は、「あの教室」「また、茶でも」といった乃木坂の映像作品を通して、私がイメージしてきた山岸聖太監督とは、かなり趣が異なっていて、公式サイトに説明がなければ、監督を推測するとき、「山岸聖太」という名前は、浮かばなかったと思います。


最後、全体ダンスのシーンは、畳の大広間に、色とりどりの提灯を上から無数にぶら下げ、背後の柱を金色の錦糸で飾ったセットを組み、その中を、白ベースに、ゴージャスな装飾をあしらった衣装で、メンバーが踊っていて、目がチカチカするくらい、リッチな色彩の世界に仕上がっている。

目まぐるしく映し出される、様々な色彩や図形に気を取られ、肝心のダンスが頭に入ってこない感すらあるけど(笑)、宴を締めくくる大団円としては、なかなかに相応しいシーンじゃないでしょうか。

きらびやかに色彩が交錯する世界を、わびさびに通じる日本情緒の中で描き出すのは、見事なセンスだと思います。


ところで、MVに俯瞰映像が出てきますが、ロケ地は、会津若松にある、会津藩の藩校「日新館」の家屋群のようです。

幕末に設けられた教育機関で、白虎隊など、武士の子弟が学び、本物は、戊辰戦争でほとんどが焼失したものの、昭和の終わりに、博物館や映画撮影所などの多目的施設として復元され、今回の撮影はそこで行われている。

「逃げ水」MVの舞台が、「藩校」という「学校」であるのは、山岸聖太監督ならではのチョイスと、密かに唸ってしまった(笑)。

ちなみに、Wikipediaで「日新館」を調べると、すでに、乃木坂46「逃げ水」のロケが行われたと書かれていて、仕事が早いです。


今回のMV、ロケ地は素晴らしいですが、撮影時期は7月上旬とのことで、公開のたった2週間前です。

以前、記事に書いたように、MV制作の内情はよく分からないけど、撮影から公開まで、いくらなんでも4週間くらいは必要じゃないかと思ってました。

ところが、推測していた最短期間の半分で編集作業をこなしたわけで、もの凄い突貫工事だったんじゃないでしょうか。


最後に、感じたことを少々。

「逃げ水」MVは、メンバーがソロ、または2、3人で踊っているシーンが、結構多かったですが、生田絵梨花と齋藤飛鳥のダンスが、以前より、かなり上手くなっていると感じました。

いくちゃんは、体軸がしっかりして、踊っているときの佇まいが、一幅の絵画になっている。

「レ・ミゼラブル」の舞台に、長期に渡って出演し続けたことで、身体表現への意識が高まり、より美しく、より綺麗に、自分を見せる術を身につけたのかもしれません。


齋藤飛鳥は、手と腕を使ったフリで、ピタッと止められず、少し流れる傾向があったんですが、今回のMVでは、力強い止めが出来ていて、メリハリのある、シャープなダンスになっていました。

舞台版「あさひなぐ」の主人公として、薙刀の練習をずっと行ったため、筋力が付いた可能性がある。

であれば、いくちゃんも、あしゅも、舞台を通して、一段階レベルの高い表現が出来るようになったわけで、演劇系の外仕事は、そのときは大変でも、何かしら、メンバーを成長させるのかもしれません。


あと一つ気づいたのは、Wセンターではあるものの、二人の出番は平等ではなく、アップのカットは、大園桃子の方が、与田祐希より明らかに多かったこと。

齋藤飛鳥の指に包帯を巻いた手を不思議そうに眺めるシーン、セグウェイに乗ったまりっかとさゆにゃんを廊下から見つめるシーン、そして、全体ダンスにおいて、個々のメンバーを見せるシーンで、大園さんは、ソロ、もしくは前に出て、ピントの合ったアップで映っているけど、与田ちゃんには、それに対応するカットが見当たらない。

あまり指摘したくはないけど、MVを観ればすぐに分かることで、運営が大園桃子をとくにフィーチャーしようとしているのは、どうやら本当のようです。


しかし、それなら、いきなりセンターではなく、まずは3列目に入れて、徐々にファンへ顔見せし、知名度を上げつつ、福神、フロントと手順を踏んで進んだ方が成功する確率が高い。

AKB48Gや乃木坂「バレッタ」選抜などの例を調べると、いわゆる、露骨な運営の「ゴリ推し」では、ファンの支持が薄くなり、CDセールスや楽曲セールスが伸び悩む傾向がある。

とくに、18th選抜は、斉藤優里、樋口日奈、中田花奈、寺田蘭世、北野日奈子と、人気のある17th選抜メンバーを、5人もアンダーに移した上での、3期Wセンターなので、表題曲に対するファンの熱量が低下している可能性が少なくない。


実際、前作「インフルエンサー」MVに比べると、「逃げ水」MVは初期再生数の伸びがやや鈍い。

もちろん、MV人気の趨勢が判明するのは、まだまだ先の話です。

しかし、今のところは、新人センターという、本人が図抜けて高いパフォーマンス力でも持っていない限り、楽曲人気にとって、マイナスに傾きがちな条件が、実際にも、マイナスになりつつある印象を受けています。


30部を全完売する1期2期メンバーの大量アンダー行きと、3期Wセンターをセットで仕掛けた以上、運営もある程度のマイナスは覚悟していると思います。

問題はその「程度」で、新人センターとしては上出来と言われるレベルなら良いけど、数字が目に見える形で低下すると、センターへの批判が高まり、3期抜擢のスケジュールは、大幅な後退を余儀なくされる。

バッシングが起こらない範囲に、楽曲指標を収める必要があり、今後しばらく、握手会における「格差」と共に、MV再生数やiTunesランキングなどの楽曲指標が気になる、息苦しい時間帯が続くでしょう。


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