ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

「いつかできるから今日できる」のMステ生歌で何が起こったのか?彷徨う乃木坂の歌唱コンセプト [12Sep17]

2017-09-12 19:00:00 | 芸能

乃木坂46が参加する、注目の番組とイベント

(テレビ・ラジオ・イベント・リリース)

09月12日(火) [地デ] 24:55~ メ~テレ「BOMBER-E PRIVATE NIGHT」に、伊藤かりん、相楽伊織、鈴木絢音が出演

09月18日(月祝) [特典] 18th「逃げ水」第1回個別握手会 in 神奈川・パシフィコ横浜

09月18日(月祝) [地デ] 12:00〜 テレビ朝日『MUSIC STATION ウルトラFES』に、乃木坂が出演

09月22日(金) 映画『あさひなぐ』の公開スタート

09月24日(日) [地デ] 13:30~ フジテレビ系「KinKi Kidsのブンブブーン」に、桜井玲香、西野七瀬、松村沙友理が出演
09月24日(日) [特典] 18th「逃げ水」第2回個別握手会 in 神奈川・パシフィコ横浜



先週の金曜日、9月8日夜の『MUSIC STATION』で、乃木坂19枚目表題曲「いつかできるから今日できる」がテレビ初披露されましたが、正直、強烈でしたね(笑)。

音楽番組における乃木坂のステージは、ほとんど観てきましたが、本来の楽曲が分からないほど、音を外した生歌というのは、初めて経験しました。

放送直後こそ、「どうしたんだ!?」とネットで騒ぎになったものの、私と同じように、受けたショックがあまりに大きかったのか、この件には、もう触れたくないといった感じで(笑)、その後、冒頭の生歌部分を取り上げる人が少ない気がします。


やはり自分が好きなアイドルには、画面の中で、いつもキラキラ輝いて欲しいわけで、失敗したステージなんか忘れて、さっさと次に行きたいのは、ファンとしてもっともな気持ちです。

しかし、今回の歌唱パフォーマンスには、乃木坂が抱えている本質的な矛盾が、見え隠れしている面もあって、スルー出来ないものがある。

また、フロント4人による、生歌リレーの歌い出しは、このレベルのままだと、今後のステージで使えない可能性があって、ではどうするのかというパフォーマンスの行方も気になる。


そこで、Mステの生歌唱で、何が起こったのか、考えてみることにします。

まず、そもそも、本来はどういったメロディーなのか、あのステージからは掴めなかったので、何か音源が出ていないか、ネットで調べてみました。

もちろんCD発売はまだ先で、配信は始まっておらず、ラジオ放送もないようで、利用できる音源はほとんどないのですが、何人かの方が、楽曲を耳コピして歌っている動画をアップしていました。

さすがに、音感レベルが高く、歌の上手い人ばかりで、演奏されているメロディーもほぼ一定しているので、それらを参考にして、金曜の夜、フロント4人の歌唱に何が起こったのか、推測していきます。


まず、トップバッターの西野七瀬は、歌の出だしである、次のフレーズを担当しています。

朝の靄に 差し込んだ陽の光

この歌唱で問題なのは、初っ端「朝の靄に」の音が上手く取れていないことだと思います。

とくに、「の」の部分は、はっきりキーを上げる箇所なのに、音が上がりきらず、むしろ下がっている印象すら受けるような、何か平板な進行になっている。

「の」を伸ばすとき、高い位置の音階を一定に保てず、若干、彷徨っているのかもしれない。

そして、次に続く「差し込んだ」に、上手く音をつなげられず、後半パートで、歌唱と演奏メロディーが微妙に食い違って、不安定な音楽になってしまった。


2番手の白石麻衣は、

木々の中を ひたすら走ってた

を歌っています。

最初の「木々の中を」は、西野パートと同じメロディーですが、1番手の歌い方に影響されたのか、ここでも「の」の音が弱くて、メロディーに乗り切れていない。

さらに、後半の「走ってた」は、乃木坂の歌によくある、歌詞の言語リズムと、演奏される楽曲リズムが合っていないパートで、いわば「字足らず」なので、普通に発音するときと違い、不自然に音を伸ばす必要があって、歌う側にとって、ちょっとした「難所」になっている。

十分に音が取れないまま、その難所に突入したため、音程だけでなく、リズムまでズレてしまい、尺の合わない、間延びした歌唱で終わってしまった。


音程とリズムがヨレヨレになっていく様を、間近でじっくり聴かされた3番手の齋藤飛鳥は、事前に思い描いていた、歌うべき音のイメージが完全崩壊していく。

どこを行けば 空に辿り着くのか?

あしゅの担当したこのフレーズは、西野パートと同じメロディーだと思いますが、「どこを行けば」は、キーを上げるも下げるも、ほとんど1音も取れず、アイドルが歌う青春スポ魂映画の主題歌なのに、お経のような感じになってしまった(笑)。


ネットの感想を読むと、齋藤飛鳥の歌が一番厳しかったというコメントが多いけど、歌唱力の問題というより、前の2フレーズがよろけたので、修正できなかった面があると思います。

後半の「空に辿り着くのか?」は、ある程度、立て直していて、歌番組での生歌が初めてであることを考えると、センスを感じさせる部分もあり、今回の出来だけで、歌唱力を判断するのは早いかなと。

生歌をリレーでつなぐのは、伝言ゲームのようなもので、前の人が音やリズムを外すと、どうしてもそれにつられてしまい、相当にハイレベルな音感がないと、正しく修正するのは、なかなか難しい。


かつて、2013年のフジテレビ『FNSうたの夏まつり』で、乃木坂が山下久美子さんとコラボして、彼女の「So Young」を、一部、生で歌ったことがありました。

メンバーが1人ずつ前に出て、一言歌って次につなぐリレー形式でしたが、緊張したのか、1番手まいやんの音とリズムが彷徨い、群馬弁なのか、若干、訛りが入った歌い方になってしまった。

すると、2番手桜井玲香まで、引きずられて訛ってしまい(笑)、妙な流れが出来てしまった。

結局、3番手生田絵梨花が、正しい音とリズムに引き戻して、なんとか形を整えたけど、生歌リレーにおいて、トップバッターが正確に歌うことの重要性を痛感させられたステージでした。


SMAPは、中居正広のような、やや歌の苦手なメンバーがいるにも関わらず(笑)、全員で生歌ソロをつなぐステージを、よく披露しています。

ぜひ見習いたい、果敢なチャレンジ精神ですが、それでも中居君に歌い出しを任せるといった順番にはせず、各メンバーの歌唱力を見極めた歌割りになっている。

一方、中居君も、音程は甘いけど、数多くの司会をこなしているだけあって、声量は持っていて、さらに、出来るだけ音を外さないよう、日頃から練習している節がある。

理に適った歌割りと、練習の積み重ねによって、決して上手くはないけど、聴ける範囲にまとめていて、「歌が下手」ということを、ネタに出来るレベルには仕上げています。


先日の『うたコン』で、「なんてたってアイドル」の平歌部分をソロで歌った生駒里奈が、NHKホールという大きな会場にも関わらず、なんとか様になったのは、ほぼ同じメロディーのパートを、渡辺麻友という上手い人が先に歌ってくれて、お手本を見せてくれたことが、少なからず追い風になっている。

この曲のメロは、「いつかできるから今日できる」の冒頭より、ずっと複雑で、大箱での生歌は、生駒ちゃん自身が「正直やめた方がいいと思いましたが」と書いているように(笑)、かなりチャレンジングな試みだったと思うけど、適切な歌割り、歌シーンのある舞台の経験、そして、ステージへ向けた練習が功を奏し、大外しすることなく、「アイドルの歌唱」という範囲に入れることが出来た。

Mステの生歌が、「アイドルの歌」として捉えても、シャレにならないレベルになってしまったのは、歌い出しを担当するトップバッターの歌唱力が不十分だったことが大きく、そこを改善すれば、もう少し音とリズムが躍動するステージにまとめられると思います。


現在の乃木坂で、もっとも信頼度の高い歌唱力を持っているのは、音楽番組のミュージカル特集などに出演し、数多くの生歌ステージをこなしている生田絵梨花なので、一番簡単なのは、いくちゃんに、歌い出しを任せることです。

例えば、西野白石パートをいくちゃんが歌い、飛鳥パートをななせまるとまいやん、続く堀未央奈のパートをあしゅと堀ちゃんで分ける、といった歌割りにすれば、声量が求められる大箱にも、何とか対応できる筈で、『FNS歌謡祭』や『MステSUPERLIVE』での生歌スタートが可能になると思います。

おそらく映画で流れる「いつかできるから今日できる」は、Mステと同じく、フロント4人のソロリレーだと思いますが、映画バージョンとライブバージョンが異なっても問題はないだろうし、生歌の温かみと迫力をステージに入れ込む意味からも、検討する価値のある案じゃないでしょうか。


しかし、選抜センターが、冒頭の歌い出しを担当する乃木坂の「しきたり」に従うのであれば、フロント4人が、練習に練習を重ねるしかない。

『MUSIC FAIR』のような、スタジオで歌う番組ならば、練習次第で、テレビで流せる範囲にまで、持っていける可能性はある。

ただ、声量を短期間でアップするのは難しいので、大きな会場で歌う、年末のテレビ系音楽祭では、歌割りを変更しない限り、残念ながら、「被せ」など、何らかのサポートが必要になるかもしれない。

大箱では、音を外す以前に、声が聴こえない危険があって、それだけは避けたいですから。


今回のステージ、ファンの捉え方はともかく、映画『あさひなぐ』の関係者が、どう感じたかが気になります。

原作者のこざき亜衣氏は、

個人的に冒頭のちょっと音程外してるところも、若い女の子の等身大の不安定さが出ててとてもよかった

と感想をツイートされていて、乃木坂のステージをMax好意的に観て下さっていて、本当に優しい方でホッとしました(笑)。


ただ、映画の宣伝を担当している人たちは、本音のところ、もっとシビアな捉え方をしたかもしれない。

次の表は、乃木坂が表題曲をMステで披露したタイミングです。

(表1) テレビ朝日『MUSIC STATION』におけるシングル表題曲の演奏時間と出演タイミング

凡例
(Mステのステージがテレビ披露の何番め) 演奏時間 @ CD発売日の午前0時を基準にしたステージ披露のタイミング [番組放送日] 曲名

(01) 2分30秒 @ 32.2日前 [09/08(金)] いつかできるから今日できる
(02) 2分36秒 @ 04.2日前 [08/04(金)] 逃げ水
(01) 2分30秒 @ 04.2日前 [03/17(金)] インフルエンサー
(02) 2分31秒 @ 04.2日前 [11/04(金)] サヨナラの意味


CD発売の前週金曜に、Mステで表題曲を披露するパターンが、16、17、18枚目と続いていました。

しかも、そのステージは、テレビ露出の1番目か、2番目で、お茶の間に楽曲を届ける、最初の重要なステップに位置付けられてきた。

今回、通常より1ヶ月近くも早い出演に踏み切ったのは、もちろん、9月22日(金)の映画『あさひなぐ』公開を睨んでのことです。


映画の公開直前に、Mステで主題歌をパフォーマンスして、映画館に足を運んでくれる人を増やそうという、重要なキャンペーンの一環だった。

そして、番組側も、主要キャラが登場する映画のシーンを複数流して、かなり協力してくれました。

舞台版『あさひなぐ』の「製作」欄に、テレビ朝日が名を連ねていて、そういう関係もあって、Mステで大きく取り上げてくれたのかもしれません。


しかし、ステージを観た視聴者に対して、どれだけの宣伝効果があったかとなると、疑問符を付けざるを得ない。

歌い出しには、メロディーラインを構成する主要「モチーフ」が提示されているのに、そこが頭に入ってこないので、主題歌の全体像が把握できず、映画の雰囲気が伝わりづらい。

Perfumeによる、『ちはやふる』の主題歌「FLASH」が、勢いのある映画のイメージとよくマッチしていて、強力なプロモーションになっただろうことを考えると、やはり、きちっと歌って欲しかったという思いが残ります。


Mステのステージにおいて、もう一つ看過できない問題点は、高山一実らのパートあたりから入ってくる、男性バックコーラスの音が大きすぎて、あろうことか、メンバーの声が聞き取りづらくなっていたことです。

かずみんの様子から、この部分は生歌ではない筈で、機械で流すメロディーの音量調整を間違った可能性があり、本当なら、スタッフの大失敗ということになる。

どうも最近、乃木坂運営は、公式サイトにCD発売日を告知する際、スタッフ同士の内輪のやりとりを流出させたり、19th選抜メンバーを『乃木坂工事中』で発表する前に、北野日奈子の選抜入りの報告ブログをアップしてしまったり(笑)、ミスが多いですよね。

以前からのスタッフがいなくなって、新しい人が担当し始めたのかもしれません。

公式サイトにおけるミスは、それほど大ごとにはならないだろうけど、主演映画の主題歌をパフォーマンスする重要なステージに臨んで、メンバーの歌唱力を読み間違えたり、生放送なのに流すメロディーに不具合があったりとなると、だんだんシャレにならなくなる。


しかし、乃木坂運営の最大のミスは、表題曲を生で歌うステージを、これまで、ほとんど設けてこなかったことだと思います。

乃木坂の場合、一つの表題曲について、最低でも5つくらいの音楽番組でパフォーマンスし、1年だと、20回くらいは歌う機会がある。

一部でいいから必ず生歌パートを入れ、メンバーに歌わせていれば、かなりの経験を積めた筈です。


少なからぬファンが、口パクや「被せ」を批判するのは、日頃から歌の経験を重ねていないと、いざというとき、大事故を起こす危険があるからで、今回のMステは、恐れていたことが、そのまま現実になってしまった感がある。

生駒里奈は、『うたコン』出演の直後、更新したブログに、

テレビで歌う人は下手くそはダメよね、それを私はもう個性にしたくはないです。

(生駒里奈の2017/09/05_21:06ブログ)

と書いています。

3日後、超特大ブーメランが乃木坂を直撃するとは、その時、知る由もなかった、といった流れになってしまいましたが(笑)、本当にもっともな意見で、これからメンバーみんなで、歌の練習に邁進して欲しいです。


ネットを眺めていると、昔のアイドルも歌が下手だったという意見を、ちょくちょく目にしますが、そんなことはないと思いますよ。

当時のアイドルは、デビューして間がない16、17歳の女の子が、渋谷公会堂のような、声量を要求される大きな会場のステージに立ち、完全な生歌で、一人で1曲歌い切るのが当たり前だった。

そのため、山口百恵や中森明菜といった、図抜けて歌が上手い人を除けば、コンディションによって、ときどき音程が揺らぐのは仕方のないことです。


しかし、それでも、ほとんどの歌手は、聴ける範囲にちゃんと入っていたので、裏で相当な練習を重ねていたのだと思います。

実際、乃木坂と共演した、松本伊代や榊原郁恵は、50歳代とは信じられないほど、豊かな声量を持ち、音もきっちり取れていた。

アイドル時代に、しっかりしたボイストレーニングを受けていなければ、その歳になって、あそこまでは歌えない筈で、昔のアイドルは、日常的に歌の研鑽を積んでいたのでしょう。


今回のMステは、間近に迫った主演映画に対して、有効なプロモーションが打てたのかという点を含め、正面から検証を加えて、今後の糧にするべきだと思います。

プロとして失格と言われても仕方のない面があったのは確かで、挫ける必要はないけど、何が問題だったかを洗い出し、練習を通して改善して、今後の音楽番組で、生歌スタートを完成させることを期待しています。

最後に、堀未央奈の歌パートについて一言。

風は 何も 語りはしない

この歌唱は、結構、面白くて、良かったです。

音やリズムはともかく(笑)、堀ちゃんが、自分のペースで堂々と歌っていて、歌に「強さ」があった。

本番の生歌ステージで、最後にものを言うのは、自分の歌を届けるという、決然とした自信で、生田絵梨花の歌唱が感動的なのも、テクニックの背後にあるメンタルの強さじゃないかと。

なぜ、堀ちゃんが、堂々と歌えるのかは分かりませんが(笑)、実は、秋元真夏の生歌にも、似たような雰囲気があって、魅力的な歌に必要なものは、声量や音程だけでないということを教えられた気分で、このパートは楽しかった。


「いつかできるから今日できる」を耳コピして歌っている方の動画を、一つ紹介しておきます。

リンクは貼りませんが、以下の語句を、YouTubeの検索欄に入れれば、トップに来ると思います。

いつかできるから今日できる monogataru cover

「こんなに素晴らしい歌だったんだ!」と、聴いて感動しました(笑)。


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# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています


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