大沢在昌著『俺はエージェント』
お正月に買った本です。新聞広告で見て気になってAmaz●nで見たときは
「高っ」と思って買わなかったのですが、書店の店頭でパラッと見て
「おもしろそう」と思って買いました。
大沢在昌さんの小説を読むのは実は初めてです。
『小説講座 売れる作家の全技術』という本は、お勧めされて読んだことが
あったのです。「売れる作家の全技術」という本を出すくらいだから、さぞ
おもしろいんだろう……と思いながら読んだのですが……。
おもしろかった!
表紙裏に「007になりたい俺と時代遅れの老兵〈ルビ:エージェント〉たちの決死の大決戦!!」と
ありまして。スパイ小説・映画好きの私は、もうそこからわくわくしながら読みました。
そもそも現代日本でスパイ小説が成立するのか!?と思ったのですが、ちゃんと
成立しています。KGBとかCIAとかモサドとか、スパイ小説好き(でなくても知っている)
名称が出てきて(外国のスパイはそんなに出てきませんが)、ドキドキもんです。
帯に「裏切り者は誰か? 《中略》 裏切られた裏切り者とは……?」とか書かれており、
まさにその通り裏切りの連続です。とはいえ、主人公の「俺」自身が、結構早い段階で
読者を裏切るのです。
冷戦の崩壊によって行き場を失ったスパイ(エージェント)たちが、軍需産業や武器商人の
いわば代理店となって、混乱を演出して金儲けの機会を作り出すようになった。その集団を
混乱の「始まり」ということで、「アルファ」と名付け、アルファに対抗するために「オメガ」
が生まれた。
おもしろいのは、アルファもオメガも、かつての東西対決のような国や思想を軸にした縦型の組織ではないこと。
現代の情勢を反映していて、横のつながり、つまりネットワークなのだ。
まあ、それはさておき、オメガは20年以上休止していて、主人公と行動を共にする
老エージェントは23年ぶりに極秘ミッション「コベナント」により現役復帰する。
アルファから依頼を受けた(と思しき)フリーランスの殺し屋に狙われ、
元KGBのロシア人の助けを借りつつ、真相を突き止めようとする。
まあ、いろいろややこしくてですね、途中で他の4人の老エージェントと合流しようとするのですが、
認知症になっていて息子が後を継いでいたり、孫までいるおばあちゃんだったり、その孫が
引きこもりになっちゃってたけどおばあちゃんの才能を受け継いでいておばあちゃんから訓練
されていたり……といろいろ多彩なキャラが出てきます。
そしてかなり人が死にます。最後の山谷さん、死なさんでもよかったんちゃうん……。
山谷さんは釣具屋の親父のまま死ぬよりはいいって言ってるけど……。
恋愛要素はほぼないです。まあ、ちょっとほのかに恋心を抱いている人たちはいますが、それが
発展する気配もなく。
それから気になったのが、「見返す」「見る」は漢字なのに、目を「みひらく」はひらがななんです。
出版社によってコードがあるらしく、小学館はそうなのかな? それとも大沢さんのスタイルなのでしょうか。
翻訳学校に通っていたときの講師は、某書店から訳書を出している先生で、某書店コードで授業が進められました。
翻訳会社でもいろいろあって、“副詞は全部ひらがな”とか“音読みの副詞は漢字、訓読みの副詞はひらがな”
とか、コードがあります。面倒です(笑)←こら! ないところもあるけれど。
それから、場面に3人以上いるときに、誰の台詞かわからなくなるところが数カ所ありました。
読み直して「え~っと、これって、前にこの人がしゃべってるから、この人のセリフなのかな?」って。
とりあえずページをめくる手が止まらなくて、あっという間に読んでしまったので、もう一度じっくり読んでみよう。
そのうち。
お正月に買った本です。新聞広告で見て気になってAmaz●nで見たときは
「高っ」と思って買わなかったのですが、書店の店頭でパラッと見て
「おもしろそう」と思って買いました。
大沢在昌さんの小説を読むのは実は初めてです。
『小説講座 売れる作家の全技術』という本は、お勧めされて読んだことが
あったのです。「売れる作家の全技術」という本を出すくらいだから、さぞ
おもしろいんだろう……と思いながら読んだのですが……。
おもしろかった!
表紙裏に「007になりたい俺と時代遅れの老兵〈ルビ:エージェント〉たちの決死の大決戦!!」と
ありまして。スパイ小説・映画好きの私は、もうそこからわくわくしながら読みました。
そもそも現代日本でスパイ小説が成立するのか!?と思ったのですが、ちゃんと
成立しています。KGBとかCIAとかモサドとか、スパイ小説好き(でなくても知っている)
名称が出てきて(外国のスパイはそんなに出てきませんが)、ドキドキもんです。
帯に「裏切り者は誰か? 《中略》 裏切られた裏切り者とは……?」とか書かれており、
まさにその通り裏切りの連続です。とはいえ、主人公の「俺」自身が、結構早い段階で
読者を裏切るのです。
冷戦の崩壊によって行き場を失ったスパイ(エージェント)たちが、軍需産業や武器商人の
いわば代理店となって、混乱を演出して金儲けの機会を作り出すようになった。その集団を
混乱の「始まり」ということで、「アルファ」と名付け、アルファに対抗するために「オメガ」
が生まれた。
おもしろいのは、アルファもオメガも、かつての東西対決のような国や思想を軸にした縦型の組織ではないこと。
現代の情勢を反映していて、横のつながり、つまりネットワークなのだ。
まあ、それはさておき、オメガは20年以上休止していて、主人公と行動を共にする
老エージェントは23年ぶりに極秘ミッション「コベナント」により現役復帰する。
アルファから依頼を受けた(と思しき)フリーランスの殺し屋に狙われ、
元KGBのロシア人の助けを借りつつ、真相を突き止めようとする。
まあ、いろいろややこしくてですね、途中で他の4人の老エージェントと合流しようとするのですが、
認知症になっていて息子が後を継いでいたり、孫までいるおばあちゃんだったり、その孫が
引きこもりになっちゃってたけどおばあちゃんの才能を受け継いでいておばあちゃんから訓練
されていたり……といろいろ多彩なキャラが出てきます。
そしてかなり人が死にます。最後の山谷さん、死なさんでもよかったんちゃうん……。
山谷さんは釣具屋の親父のまま死ぬよりはいいって言ってるけど……。
恋愛要素はほぼないです。まあ、ちょっとほのかに恋心を抱いている人たちはいますが、それが
発展する気配もなく。
それから気になったのが、「見返す」「見る」は漢字なのに、目を「みひらく」はひらがななんです。
出版社によってコードがあるらしく、小学館はそうなのかな? それとも大沢さんのスタイルなのでしょうか。
翻訳学校に通っていたときの講師は、某書店から訳書を出している先生で、某書店コードで授業が進められました。
翻訳会社でもいろいろあって、“副詞は全部ひらがな”とか“音読みの副詞は漢字、訓読みの副詞はひらがな”
とか、コードがあります。面倒です(笑)←こら! ないところもあるけれど。
それから、場面に3人以上いるときに、誰の台詞かわからなくなるところが数カ所ありました。
読み直して「え~っと、これって、前にこの人がしゃべってるから、この人のセリフなのかな?」って。
とりあえずページをめくる手が止まらなくて、あっという間に読んでしまったので、もう一度じっくり読んでみよう。
そのうち。