くわがきあゆ著『レモンと殺人鬼』
10年前、洋食屋を営んでいた父親が通り魔に殺害されて、
母親も失踪し、別々の親戚に引き取られた美桜と妹の妃奈。
まあ、なんというか、名前から1歳以上年の離れた姉妹を
想像してたけど、マスクしててもそっくりっていうのが、そういう
ことだったのか、と。
それはさておき、たまに会って愚痴を言い合う妹が遺体で発見された。
父を殺した少年が出所した、と妹が伝えた直後のこと。
被害者であるはずの妃奈に、生前、生命保険金殺人を行なっていたのでは
という疑惑がかけられ、美桜は妹の潔白を証明するために奔走。
ジャーナリスト志望の大学生の渚、子どものための預かりボランティアを
している優しい大学院生の桐宮。父親を殺した犯人の影におびえ、
誰もが怪しく感じる。
ほぼみんないろいろサイコパス。
私という一人称で語られる場面と、殺人鬼・佐神の三人称で
語られる場面。叙述トリックなのかな。最後にひっくり返されたのが
「はー!!!!!」という気持ちいいくらいの驚き。
してやられた! という感じ。わかって読み直すのもおもしろそう。
この薄さ(本文302ページ)でよくこれだけ楽しませてくれるものだと
感心するくらいの二転三転する展開に、久々に夜更かしして本を
読んだ。
でも、恋愛脳のハッピーエンド至上主義の私としては、桐宮と幸せになる
結末を望んでしまったのやけど……。