人生にロマンスとミステリを

小説を読むのも書くのも大好きな実務翻訳者です。ミステリと恋愛小説が特に好き。仕事のこと、日々のことを綴ります。

いしいしんじ『海と山のピアノ』

2016-12-14 08:48:25 | 読書記録(紙書籍のみ)
いしいしんじ著『海と山のピアノ』

これも美容室で読んだ雑誌で紹介されていた本です。
日本語がすごく美しい、というように評されていました。

表紙は絵本みたいにかわいいです。クマと犬が食事をしていて、窓の外では鳥や魚、
犬っぽい動物が飛んでいます。

短編集です。たぶん東日本大震災のことについて書いたんだろうなという作品がいくつかありました。
悲しみとか癒やしの表現が独特で、確かにとても美しいです。

一番気に入ったのは『ルル』という作品です。最初は「ん?」と思うのですが、ルルが犬だとすぐに
わかります。でも、本物の犬かというと、読んでいくうちに「ん?」となるのですが……。
ルルが子どもたちの悲しみを癒やしていく過程を読んで、涙がこぼれました。
具体的にどう、というのではなく、比喩で書かれているのですが、それがものすごく胸に迫ります。

ほかの話もたぶんなにかの比喩なんだろうなとはわかるのですが、私には難しいものもありました。
『川の棺』は不思議な話。その人たちは死んでいるのだろうか生きているのだろうか。

『浅瀬にて』に出てくる「流木おじさん」って人間?じゃないよねぇ……?みたいな。
なにを喩えているのか、まだ理解できない自分は人生経験が足りないのかな。
コメント
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