ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

コゲラ 2001.5.1

2001-05-01 08:26:21 | 嫩葉
コゲラ
先日、園舎の裏の土手に植わっている古木の幹に奇妙な穴を見つけた。古木自体は数年前に枯れているが、幹にはかつらの枝が絡みついておりあたかもそれ自体が生きているように見える。直径2.5センチほどのまん丸の穴は、まるでやすりで磨いたように美しい。いろいろ想像しながら数日観察していると、やがてその秘密が明らかになった。きつつき科の小鳥コゲラが巣を作っていたのである。黒白の縞模様のかわいい小鳥が穴の中に嘴を突っ込み、突っついては木屑を嘴でくわえ、外に吐き出していた。あんなに小さな鳥が何日もかかってこんなに美しい巣を作るとは。もうそれだけで感激してしまい、見ず知らずの通りがかりの人々や、日曜学校の子どもたちに、まるで自分の子どもがオリンピックで金賞をとったかのように自慢してしまう始末であった。
ところが、ある日、突然コゲラが姿を見せなくなってしまった。近所のご婦人がカラスが狙っていたというようなことを聞いて、まる2日、わたしの心はすっかりブルーになってしまい、どうしようもない怒りと、悲しみに落ちこんでしまった。
姿を見せなくなって3日目の早朝、家内が鳥が帰ってきたよ、と寝床のわたしに知らせてくれた。ほとんど信じられない気持ちで早速見に行くと、小さな穴の中から、かわいい顔を見せていた。その日は、1日気分はサイコーであった。目下、もう一つ新しいの穴が開きはじめている。それを見ていると、ドリルで手伝いたい気持ちになる。
小鳥が生きていく環境は危険がいっぱいである。空にはカラスが飛び交い、地上には野良猫がうろうろしている。どうしたら、そのようないろいろな危険から小鳥を守ることができるのか。それが今のわたしの大きな関心事である。
その時、はっと気が付いた。こうして、小鳥のことを気遣っているわたしも、小鳥にとっては最も危険な動物だと思われているのではないだろうか。わたしが巣に近づくと、小鳥は穴から飛び出し近くの電線にとまって、わたしの行動を偵察している。もっと近づくと、わたしの頭の上を大きな声を出しながら、飛び回る。小鳥になんとかわかってもらいたい。わたしはあなたのことを心から心配し、いろいろな危険から守り、ここで安心して楽しく生活し、子どもを育ててほしいと願っていることを。
「空の鳥を見よ、播かず、刈らず、倉に収めず。しかるに、なんじらの天の父は、これを養いたもう。なんじらはこれよりも遥かに優るる者ならずや。」(マタイ6:26)(文屋善明)

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