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ハウルの動く城
2004
宮崎駿


満を持して鑑賞、というわけではなく、なかなか「観てみよう」という気が起きなくてやっと観た本作。
「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」の二作連続でどうもだめで、躊躇していました。(本人比)
これで「ハウルの動く城」がダメだったらどうしよう・・・と、ひとり懸念。
ただ、これも名匠宮崎駿だからです。どの作品も宮崎監督でなければ「オイ、凄ぇな、コレ。」という作品です。
もっともっとと求めてしまうのです。

で、本作ですが、中盤まではガッカリ。
一回止めました。なんか、悲しくなってしまって。
コレがあの「魔女の宅急便」「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」の監督の作品なのかと。
異常なまでの作画へのこだわり、声優へのこだわりが観られない。
テクノロジーと芸人を起用して、せっかくの持ち味が消えてしまっています。
パズーとシータが地下道で食べてた目玉焼き乗せパンと、本作でのベーコンと目玉焼きは全然別物です。絵は同じかもしれませんが、そこに至る物語が全然違う。余談ですが、両作品とも目玉焼きシーンはほぼ開始から30分。誤差1分以内。1回目のブレイクのタイミングですが、狙っている感アリ。


美輪明宏の「もののけ姫」でのデカイ狼の「黙れコゾウ!」はオッケーでした。でも、本作の扱いはどうかと。キャラそのまんまじゃん。
我修院はカエルまでにしてください。
木村さんはいつ「ちょっ、待てよ!」が、いつ出るかとヒヤヒヤ。一人だけ超ウィスパリング・ヴォイス。音コモコモ。音響効果の人、大変だったんだろうなぁ。
鑑賞どころじゃありません。

しかし、サスガは宮崎監督。
ラスト30分でグイグイ持ってきます。
ラストシーンはカタルシスの固まりがドサッと乗っかります。
ある意味今までの作品の集大成の様なお話です。
今まで決して描かれなかった(と思う)キスシーンが遂に!しかも結構乱発。コレは何かの区切りの印なのか。
宮崎作品の定番、エンドロールでのエピローグが無いのが悲しい。あれ、好きなんですが。


毎度おなじみの糸井氏のコピーは「ふたりが暮らした。」というなんだか分からない代物。
検索して初めて知りました。全然覚えてませんでした。
こちらで糸井氏が経緯について語っています。


もったいないですが、「宮崎駿監督作品」としては本作は好きじゃありません。
「もののけ姫」以降、宮崎監督作品がヨーロッパ作品にスタイルとしてに傾倒している気がするのは私だけでしょうか。
作家自身が常に挑戦を求めるのはとても分かるのですが、観客は必ずしもそれを求めているわけではない。
「だったら過去の作品観てれば良いじゃん」とか言われそうですが、できれば同じベクトル上での挑戦を観たいわけです。
「未来少年コナン」から「天空の城ラピュタ」へと昇華したような。


次回作に向けての宮崎監督の言葉がありました。
『今回は、いままでの作品のような緻密な絵とは違って、CGを使わない新しい描きかたの長編に取り組んでいます。緻密さをなくすことで、アニメーションの楽しみは何なのかを考え、本来の楽しさを持ってやってみたい』とのこと。
「崖の上のポニョ」期待します。

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