先日、友人に「何故AppleがiPodをPCでも使えるようにしたのか」と言うことを聞かれたのですが、私はAppleの人では無いので知りませんが、予想で答えておきました。
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1995年を境にそれまでのパーソナルコンピュータでのシェア60%が信じられないほどの下降をたどる。そして現状は知っての通りの3%。
そんな中でもメディアでの扱われ方が特殊なMacは「クリエイターが使っているし、なんかオシャレっぽい」という誤解のような認識を与えている。
特に1998年の初代iMac以降で見せた馬鹿馬鹿しいほどの筐体デザイン重視が完全に浸透した頃、さらに無茶なiPodなるプロダクトを市場に投入する。
現在のシェア60%も間違いなくPCユーザーも取り込んだ結果ではあるのだが、何故PCユーザーを取り込まなければいけないのかというのは明白である。
本年度Q3の売り上げでiPodが昨年度比600%以上の伸びを見せたにもかかわらず純利益では400%の伸びに押さえられている。単価が低いため利益が乗せづらいというのもあるが、iPodの修理体制がMac本体の修理体制と切り離されていることからも伺える。
ここ数年でApple自身も理解してくれるユーザーのみで形成された閉ざされたコミュニティという土俵ではなく、サービスとして社会にとけ込もうとしている姿勢が伺える。
現在パーソナルコンピュータでダントツのシェアNo.1を誇るDellは当初からその姿勢を貫いてきた。それを貫けなかったhpはeコマースに活路を見いだしているし、巨人IBMは早々に切った。ソーテックはどこへ行ってしまったのだろう。
Appleのユーザーへの歩み寄りの一環として、このPC対応と考えるのは当然であるし、もちろん売り上げ上昇のための戦略であるのももちろんだ。
しかし、利益率を下げてまで売ろうとしているiPod。これにそれ以上の戦略が無いはずがない。
FireWire(IEEE1394)接続の優位性を謳ってきたAppleが現状ラインナップではUSB接続ケーブルしか同梱していないのには困惑したが、これもMac本体にUSB2.0を標準搭載した結果だろう。
しかし、もっと重要なのはAppleのソフトウエア戦略である。
それと同調していないはずがない。
コンシューマー目線で見ればプロユースのソフトウエアなど眼中になく、それよりも「そのハードウェアを買ってすぐに何ができるか」ということの方が重要である。「ネットとメールができれば良い」などというのは一昔の話で、現在では間違いなく付加価値を嗜好している。
現在MacにはiLifeという統合パッケージをバンドルしている。内容はiTunes(音楽管理),iPhoto(写真管理),iMovie(ムービー制作),Garageband(音楽制作),iDVD(DVD制作)である。
PCに提供されているのはiTunesのみ。iPod shuffleとiPod miniはiTunesのみで十分楽しめるのだが、それにマンネリを感じたユーザーにとってiLifeの存在ははやり魅力的だろう。これはデジカメユーザーの現在の動き、「もうちょっとやってみたい」の上位機種への買い換え願望と同様であろう。
iPodをフルに楽しむためにはこのiLifeのパッケージのうちiTunesとiPhotoは既に必須である。そう、ここでAppleは今まで育ててきたiPodユーザーのMacへのスイッチを「促す」のではなく「気付かせる」戦略をとっている。ユーザーの意識として人から勧められるよりも、自分でそれが必要だと感じることの方が購買に繋がることは明白だ。先のiPodのカラー液晶化も写真が見られると言うことはマストではなく、単なる機能追加としての扱いである。
あまり知られてはいないのだが、Garagebandは非常に強力で本当に楽器も弾けない人間が「なんとなく」で曲ができてしまう。そして、メニューバーから直接iTunesにはき出す機能も備えている。
そして次期iPodの戦略としてmovie再生機能の搭載が予定されている。コレでiMovieでの「自分で作って人に見せる喜び」を促すのであろうが、やはり難しいだろう。ムービーカメラの普及は世代によってばらつきがある。iPodのメインターゲットである20代での普及率は低い。しかし、映像制作の敷居をグッと下げたiMovieの功績は大きい。デジカメで撮った動画の編集機能が強化されればこの戦略も間違いないはずである。ムービーカメラの普及世代への市場拡大の可能性も考えられる。作ったら見せたいものなのだ。
しかし、一義的なユーザーの獲得を目指したのではなく、もちろんこのmovie再生機能の追加も、iTMSでのプロモーションビデオ配信戦略があってこそだろう。既に噂レベルを超えて実現するものと捉えられている。
これはユーザー側のメリットだけではなく、制作サイドのモチベーションも同時に引き上げ、昨今の制作単価の低下によって招いた映像の質の低下を挽回する可能性すら秘めていると考えられる。
やはりiPodはMacを売るためと考えるのが妥当であろう。そう感じないユーザーを取り込む為の準備は着々と進んでいる。
iPodとiTunesのPC対応はあくまでも生活者であるコンシューマーに、そのライフスタイルの楽しさを「垣間見せる」ためであるのだ。
余談ではあるが、面白いことに、パソコンに不慣れなユーザーも完全にメディアに踊らされ「何となく買ってしまう」という事態が起きている。実際に知人の中にも買ってから「コレってPCでも使えるの?」等と聞かれることはある。iPodを所有していないPCユーザーからのその類の質問は数え切れない。やはり、Apple製品だと言うことで使用頻度の低いPCユーザーにとって「使える」という認知は低い。この認知を引き上げるのが目下の課題ではないだろうか。
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後半、酔っぱらっているので曖昧ですが、こんな感じです。
文句は山ほどありましょうが、あんまりいじめないでくださいね。
8/4が楽しみです。
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