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本【海馬 脳は疲れない】

2004-11-30 01:54:55 | 本読み
海馬 脳は疲れない
2002
池谷裕二 x 糸井重里


先日、仕事の帰りがけに六本木の青山ブックセンターへふらふらと吸い込まれ、ぶらぶらと見回していて、何故か目にとまった本書を購入。まだ読んでない本が幾つかありますが、どうにも気になったので先行して読んでみました。「読んでみました」なんて物言いは偉そうですが、気分は「どれどれ、読んでみようか」なんて程度でした。

テーマはタイトル通りの「脳」なのですが、おそらく今まで読んだことのある脳関連の本とはアプローチというか切り口というかスタイルというか、全く違いました。さわりだけ立ち読みして「こりゃ面白そうだ」って買ってるわけですし。
対談形式ですのですらすら読めちゃいます。
理学書系ではありません。マンガみたいです。

どうしてこの人たちはこんなに分かりやすく物事を伝えられるのだろうということに終始うならされます。
言葉の錬金術師:糸井マジックでしょうか。
ジブリ作品のコピーを全て(?)この人がやっていると知って以来大好きです。
「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです」コレ!

池谷裕二という方は東大の先生です。現在ではコロンビア大学の研究院をされているそうです。権威服従型の私としてはウハウハです。実際、とても面白かった。

読み進めれば目から鱗がぼろぼろと滝のように落ちては流れ。
ある程度知ったつもりでいるということの馬鹿さ加減。
私が要約するのもおこがましいので完全に私見あるいは小学生の感想文だと思ってください。

この本から受ける印象は森の哲学者オランウータンがさらに羊の皮を被ってが話している様子を覗いているよう。
悪意が全く感じられません。通常、こういった知識人が本を出したら「オレはこんな事を知っているんだぜ。お前ら知らなかっただろう。ゲヘヘ」みたいなスタイルで、読んでいくうちに嫌な気分になるのですが、全くありませんでした。
それよりも、全くジャンルの異なる二人が話すとこうも幅が広がった奥深い話しになるのだな、と。
全く違った音楽の趣味を持つ二人の会話みたいなものです。
ロック好き君「オレ、コレ好きよ、どう?」
ジャズ万歳君「聞いたことないわ。お、ベースがヤバイね。良いわ、これ。コレ好きだったらコレも好きじゃない?」
ロック好き君「うぉ!このフレーズ、黒人全開だな!もっとなんかないの?」
スミマセン、例え下手です。
それを否定することに始まらないで、まず聞いてみる。そしてどう思ったことを言ってみる、嘘無しで。嘘つくことの馬鹿馬鹿しさを知っている。知識をひけらかすでもなく、実感のみで話す。
「朝まで生テレビ」みたいな不毛さナシ。
ファッションの様にいろいろな思想や知識をパーツとしてのつぎはぎだらけ鎧などいらん。

私の主な読書タイムは通勤電車なんですが、今日はコレ読んでいて本来降りるべき駅を通り過ぎてしまいました。

考えざるを得ない。でも、体が軽くなる。思考はまだまだこれから。そんな本です。
脳って凄ぇ。
頭ってやっぱり使ってこそですわ。


オススメ。一読あれ!

You've got a friend

2004-11-29 01:24:51 | 侃々諤々
昨日の土曜日に友人の結婚式二次会に出席しました。
以前、酒の場で「お前が結婚したら二次会のDJでもやったるわ」の一言のおかげでばっちり頼まれ、選曲やってました。
これで、友人の結婚パーティーでの選曲は3回目です。
以前はちょくちょくイベントを開いてたり活動していたのですが、ここ数年はとんとゴブサタです。
前回人前でやったのはやっぱり結婚式の二次会。

今回はライブハウス(新郎新婦共にバンド野郎)でのパーティだったので機材は全て持ち込みでした。それが発覚した時には随分文句を言ったのですが、終わってしまえば「楽しかった。おめでとう!」です。

どうしてもDJをやると悪ノリをしてしまい、一部には大ウケ、その他の方にはヒンシュクを買うというスタイルですが、今回はどうだったのでしょう。
中盤まではハッピーでラウンジな感じでそつなくこなしていたと自負しています。
肩を叩かれ「良いじゃないのさー」なんて有り難いコメントも多々頂きました。
しかし、終盤で完全に酒が回り「泣かないで」(舘ひろし)、「Power of Love」(Huey Lewis & The News)、「ZOKKON 命(LOVE)」(シブガキ隊)へと。
意外にも「泣かないで」での合唱。やはりDNAには逆らえなかった様子です。

このパーティーが同年代だけであれば序盤からいくらでもいけたのですが、どうやら披露宴を兼ねていた様で、年輩の方も随分いらっしゃいました。
後で「あの音楽をかけていたキミはどうかしているんじゃないのかね、ん?」などと帰りがけに言われなかったのが幸いです。

Donny Hathaway「You've got a friend」が一番似合う空気でした。
今では、これを聴くだけでグッと来ます。
3組のパーティでも必ずかけてますし、この先もかけ続けるでしょう。
誰か、私のためにこの曲をかけてください。


あなた達のこれからの人生に幸多きことを本気で願います。
願わくば、酒を欲して新居に伺った時に邪険に扱わないでください。
帰りがけに頂いた引き出物、同じケーキーが袋いっぱいに4つ入っていました。
全く意味が分かりません。


映画【シュレック2】

2004-11-26 02:48:03 | 映画
シュレック2
2004
アンドリュー・アダムソン (Andrew Adamson)


イヤー、平和です。
こういうのバンバン作って欲しいです。
話しは薄いし、やや小ネタに走りすぎてますが、そこも面白いので全然オッケーです。

「ホーンデッドマンション」でキレがなかったと感じてしまったエディ・マーフィですが、バツグンです。体を動かさない方が良くなってしまったのでしょうか。できれば「ビバリーヒルズコップ」と「48時間」は永遠に続いて欲しい作品です。
そういえば「ポリスアカデミー」はいくつまでいったのでしょう。あれも好きでした。

こないだ映画館でやったばっかりだと思っていたのに、もうビデオが出るんですね。昔は随分待ったものです。映画館に行く小遣いも無かったし。

hp(ヒューレットパッカード+コンパック)のちょっと前のCMで登場していましたね。あのCM好きです。意外と普通なドリームワークスのスタジオとか、モニタの中からバサバサッと出てくるハトとか。好感度マックスです。あのシリーズ好きです。+がいろんなところにあるヤツ。テクノロジーってこう言うためにあるのねってのが素直に分かる感じ。毎日ビールが飲めるのもあなた達のおかげですって思っちゃいますもの。

この映画の物語でクスリで人生変えようとするあたりが深読みを呼びそうなところですが、全然深い意味はなさそうです。おとぎ話ですしね。
それよりも金八ですよ。今シーズンはあまりに極端な正論に走ろうとしている気がします。変な焦燥感と罪悪感を煽るのは良くないかと。笑えないシーン多々あり。細木数子じゃないんだからさー。


どうでもいい話しを大まじめに見せようと思ってつくるのが素敵。大人は背中で語るもの、だそうです。

キリンジ強化週間(後追い企画)

2004-11-25 03:04:40 | 侃々諤々
ジュリーさんの後追い企画です。(ジュリーさんはmixiで日記連載中。常にトップギア)
しきりとこのブログに感想なんだか分からない報告を毎日の様にしてくれるジュリーさん、ありがとうございます。イヤ、ホントに。

以前のエントリで「エイリアンズ」を聞いていてポフッとわいて出た妄想が小さなグルーヴを出していたらしく、おそらく見知らぬ方からコメントを頂きました。あのときはもの凄く嬉しかったなぁ。

キリンジ、漢字で書くと麒麟児。「将来素晴らしい大物になると期待される少年。特にすぐれた才能をもつ少年。神童。」(三省堂「大辞林 第二版」より)だそうです。
全くもって自慢でもなく、情けない話しなんですけど、私も小学生くらいまでは随分に勉強が良くできました。もちろん、中学生、高校生と時を経る毎にその色は音を立てて褪せていき今では限りなくグレーに近い何色なんだか分からない状態です。

小学6年生の図画工作の時間で、絵の具の白を使わないで絵を描きなさいと言われ、そのとき初めてあわてふためいた気持ちが今でも残ります。現在、Macを使ってデザインのようなことをやっているので、印刷上白を使わない概念というのは分かるのですが、当時はそれだけで右手を封印されたような気分になりました。
当時は特に図画工作を完全にバカにしていました。模倣すれば良い評価が得られるということに気づき、どこかで見たエライ作家さんの真似をしては賞状をもらっていたりして。バカですね。そんな子供は5時間コンクリの上で正座の後、乳歯が全部抜けるくらい殴らないと分かりません。タイムマシンがあったらやってみたいことの一つです。私の記憶に学校帰りに見知らぬおじさんにボコボコに殴られたという過去がありませんので、あと40年くらいはタイムマシンが民生化しないことが伺えます。

多分、「マグノリア」だと思いますが、天才クイズ少年の末期みたいなキャラのおじさんが出ていたと思います。先日観た「ディナーラッシュ」にも知識自慢のバーテンがいました。ああいうキャラに、どうしても悲惨な将来しか浮かばないのはひがみでしょうか。マグノリアの彼は十二分に悲惨でしたけど。

知識で全てカタがついたらそんなに楽なことはありません。知らないこといっぱいあって、それを不安と思うか、知らないから知る楽しみがあると感じるか。全く違います。できれば楽しい方が良いですね。私、どっちもです。
「外道の書」ってマンガが昔ヤンマガで連載していていました。本を集めて悪魔みたいなものを呼び出すと何でも願いを叶えてくれる。ここまでだとアラビアンナイトかハクション大魔王ですが、この本を集めきったガキ(もちろんオカルト的背景アリ)の願いは世界征服の様な力ではなく「究極の知識」でした。で、それを手に入れたガキはとたんに自殺しちゃうんですね。悪魔によると「人間には耐えられない」とのこと。フィッシュマンズの佐藤伸治は「MY LIFE」(ORANGE収録)で「もう、知識はいらない~」なんて歌っています。この歌を聴いた時はハッとしてグッときました。

自分の体のことも分からないのにナントカ数列を考えるってのも乙です。そんな趣味もいいかもしれません。

本【蛇にピアス】

2004-11-24 00:34:02 | 本読み
蛇にピアス
2004
金原ひとみ


現代です。
終盤にかかったときに「あ、これって【風の歌を聴け】(村上春樹)をやりたかったんだな」と、おそらく著者が聞いたら激怒するようなことを思いました。

いつも通りの激しく凄くパーソナルな感想なのですが、ピアスとか肉体改造ではなくして自己改革をサクッとしてくれるツールが欲しいという願望は誰でも持っているのではないでしょうか。本作のビジュアルとして表に出てくるのがそう言った類の比較的アバンギャルドと言われる改造です。自分がそれを行うのではなく、そういうことを経験した自分物がまわりにいたら、多分私はもっと違うのではないかという願望のことです。そう思うことは私もたまにあります。最近のマンガで「ホムンクルス」(山本英夫)ってのもあります。趣旨として同じラインではありませんが、ビジュアルは同じ路線です。

つまらない、今とは違う日常を求めて何かしらの冒険を求めてそれを行うのは、私見ですが、そう言う人はどうかと。
自分を現状の環境から隔離して、あこがれであれこれやってみる。悪くはありませんが。それの手段はいろいろあります。そうまでしなければ自分が消えてしまいそう、という方はどうぞ。安直な思考でまわりを散々振り回すくらいであれば自己完結してください。

主人公の女の子はおそらく現実には意外といないのでは。近いキャラクターの方は沢山いるでしょうが、直前で躊躇するタイプでは。結局メイクやファッションといったいつでも後戻りできるゾーンまで。それ以上行ってしまうと帰れなくなる、自分はそこまで行けないということを理解しているのでしょう。「昔は私もギャルでー、随分無茶したけどー、でも今はー、結婚とかしたいしー。」な彼女です。

先週の金曜日に飲んでいたサロン(店主曰く、うちはバーではなくサロン。バーテンは元ジャンキーのハードゲイ)で午前5時頃に本作の話しになりました。たまたまその日に本作を購入したからだったと思います。このお店にはお客さんで金原さんがいらっしゃるらしいです。
アキオさんと話すと、何故かいつも本の話しになります。いくらでもある娯楽の中での趣味の話しが本に集約するって、なんか気持ちいいです。貸したり薦めたりするのが楽しい。
で、本作は文芸ではないということに話しは進んでいきました。その時は随分酔っ払っていたので詳しくは覚えていないのですが、おそらく話したことを思いだしてみると「文芸とは客が求めているモノをハイどうぞと差し出すモノではなく、その世界に否応なしに引きずり込み、何かを示唆しているものだ」なんてことを言っていた気がします。
ゴリゴリに凝り固まった50代の評論好きのオッサンみたいな意見ですが。そして本作が芥川賞を受賞してしまったことを本気で危惧していた気がします。
確かに、文章としてとても優れています。緻密な心理描写とリアルすぎる背景。キャラクターの立ち具合。一級品です。ただ、それだけに想像することがない。映画を観ているようなものです。漫画化決定らしいですが、コレ漫画化する必要ありませんよ。十二分に見えます。
漫画化するなら岡崎京子フォロワーにだけは描いて欲しくありません。安野モヨコだったら許せません。既に「リバーズ・エッジ」(岡崎京子)があります。下手な少女漫画、もしくはレディースコミックにしかならない気がします。

本作でクスリの描写が出てこなかったのは狙いでしょう。こういう世界でも綺麗で純粋なもとして見せることができるということなのでしょうが、それって少女趣味。著者本人のクスリに対しての嫌悪感がやや見え隠れ。

最近思うことは、一昔前の「最近出てきたよく分からないものはダメ」という風潮から「よく分からないけれども、分からないって言っちゃうと恥ずかしいからひとまず良しとしてしまおう」という風潮へシフトしているということが感じられます。大槻ケンヂ氏の言う「ニューメディア不全症候群」の次のステップ「ニューメディア全能化現象 ~そして伝説へ~」とでも言うでしょうか。危険ですね。結局行ってみた本人は行方をくらます。理解できないものは沢山あります。けれども好き嫌いくらいははっきりさせたいものです。「よく分からない、けれども好き」で何が悪い。


浸れない。さっき書いたばかりのことに早速矛盾していますが、よく分かる気はするのだけれども好きかどうか分からない。困った。この読後感を狙ったんですか?面白いですよ。読ませます。

映画【IDENTITY】

2004-11-23 16:38:08 | 映画
IDENTITY
2003
ジェームズ・マンゴールド(James Mangold)


休日の昼間っからサイコサスペンスです。
学生時代にバイトしていた近所のビデオ屋で、当時からいまだにそこでバイトしている方に「なんかオススメ無いですか?」で、オススメされた映画です。
大オチがヤバイ!とのことでした。
同ジャンル大オチ系代表といえば「サイコ」か「ユージュアル・サスペクツ」でしょう。

それほどでも無かったなぁ・・・、というところでした。せっかく血眼で各登場人物のつじつまを追い、何かトリックは?と探りまくっていたのが災いしました。
だだのサイコサスペンスだと思って観た方が良かったですね。

この手のサスペンスやホラーに出てくる心優しく無駄にエロい女に目を奪われてしまったのが敗因でしょうか。それを追い続けるのも一つの見方として乙なのですが、途中で意外なほどあっさり死んでしまうので終盤へかけての集中力が暴落することが多々あります。昔のアニメで「崖を登る主人公、次に手をかけた岩の色がまわりと違うと必ず崩れる」ことに気付いてしまった時くらい悲しい事実です。

10年くらい前に流行ったテーマですが、新しいタイプのオチでした。が「そりゃ無いでしょ」に近い反則っぷりです。それに素直に驚くか、憤りを感じるかの違いです。できれば素直に観た方が楽しめます。
もっと見方を変えていけば・・・、とか後で考えても後のカーニバルです。
「最近の仕掛けだらけの映画にうんざり」な貴方、以外とそういう映画ではないので楽しめるかもしれませんよ。
根性がひん曲がってよじれて途中で枯れている様な疑り深い人は空気投げを食らいます。


本【BIRTHDAY STORIES】

2004-11-23 01:20:54 | 本読み
BIRTHDAY STORIES
2002
村上春樹


だいぶ前に購入して、村上春樹作の短編を読んで以来ほったらかしになっていました。
こういう「後は自分で勝手に創造してください」という類の小説を好んで読むようになったのはここ数年でしょうか。以前はゴリゴリの結末が待つSF小説が大好きでした。今でももちろん好きです。
元々が文学少年的な幼少時代では全くなかったので、もやっとした結末が本当に苦手でした。「ズバッと行けよ、コノヤロウ」でした。

相変わらずその類を読んでみても意味不明なところは多々ありますが、想像してみるということが楽しいです。
こういう作家さんって文体らしい文体が見あたらない。淡々と緻密な描写。そして、一番大事なキーの部分を隠し続けて想像させる。こういうのは映画ではあまり無いですよね。見えちゃうし。
ほぼ関係ないことですが、スティーブンキングの「IT」小説がありましたが、あれ、どうやって映画化したのでしょう。見てません。あまり見る気にもなりませんし。「リヴァイアサン」みたいにやっちゃったのでしょうか。

見えないものは見えないままで自由に想像させるという金八先生みたいなことを言い出しかねないスタンスですが、それも良し。やっぱりそれって大事よね。SF(小説)好きにしても結局本なので見えていないものを想像したり。オカルトも好き。あれも結局想像上だしなぁ。
音楽もそう。「お前が好きだぜ~、イェ~」なんての聞いても笑いが起きるだけで、なーんにも残りはしません。何度も出てきますが、キリンジの「エイリアンズ」はやっぱり名曲です。あれにちなんだ「エイリアンズ」という本を先日見かけました。宮台真司×宮崎哲弥といういけ好かない二人の著書ですが、同じものを好きだとちょっと好感が持てます。読んだ方、感想をお聞かせ下さい。

この本はタイトル通り誕生日にまつわるストーリーという縛りのみでチョイスされているため全てがハッピーなストーリではありません。ただ、誰かの身にはこういう誕生日はあるかもしれないなぁ。そのへんの影みたいなのが書かれていたりもします。


この短編集の最後をしめくくる村上春樹の「バースデイ・ガール」という短編があります。最近結婚した友人方、あなた達を見ていながらもう一度読んでみたら、ちょっと分かった気になりました。

映画【ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還】

2004-11-22 03:26:41 | 映画
ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
2003
ピーター・ジャクソン(Peter Jackson)


感想は「長時間録画ならDVD」です。
パート1は何も覚えていません。パート2は「馬、強えー!」でした。

完全に否定するつもりではありません。
志気を煽る科白、血とか伝統とかで押し切る(しかもそれで万事解決)なテイストは好きです。「インディペンデンス・デイ」のヒトラーの様な大統領の演説と同じモノではないと思います。

結局何を示唆したかったのでしょうか。
ファンタジーでもなかった。最終的におかしな人間くささを出し過ぎてしまって「アレレ?」です。
今日日この映画で人生を学ぶ方はいないと思いますが、もしこの映画に下手に感化されアホな根性論を振りかざす様な人が身の回りにいたら要注意です。きっとそんな人はコバンザメ。つきまとって、つきまとって、最後に美味しいところだけガッツリ持っていこうと虎視眈々と狙う輩です。ご注意を。

この映画、社員教育のための啓発ツールとしては如何でしょう?間違いなく順う者、そうでない者のジャッジがかけられるでしょう。
マクドナルドの故藤田氏の座右の銘は「勝てば官軍」だったそうです。これは新宿の本社にて額に入れられて飾られているそうです。機会があれば是非拝見したいものです。最近では牛角で有名なREINS INTERNATIONALの西山会長が直系として意志を継いでおられます。


この手のものでオススメできるのって何?と聞かれたら「TOP GUN」もしくは「キン肉マン」でしょう。ターゲットが絞れている分、こっちの方が時代的背景にも納得できる面が多々あります。この2作品をバカにしているわけではありません。大好きです。

映画【真夜中のカーボーイ(Midnight Cowboy)】

2004-11-21 21:45:05 | 映画
真夜中のカーボーイ(Midnight Cowboy)
1969
ジョン・シュレシンジャー(John Schlesinger)


こういう映画を観てるかっらって、完全に落ちているわけではありません。
たまたま金曜日に渋谷駅から徒歩5分に住むナイスガイTさんとその友達2人の計4人で飲みに行って、その後Tさんの家に行ったら貸してくれたと。

予備知識が殆どなかったのですが、アメリカンニューシネマということなので「目的も何もないダメ男がモンモンと悩み続け、アホだが煽動的な人間と出会い徐々に己の勘違いから我に帰るもののそれを認めることができず、衝動に駆られ無理矢理自体を好転しようとして行動するものの破滅する程でもない中途半端な状態に陥るけれども、なんかやった気分になる」ような映画なんだろうなと思って観たら、大筋では当たっていました。
ちなみに、この辺の偏見は全て大槻ケンヂより植え付けられています。

ただ、この映画の優れていた点は、本当の目的が何もなかった。
生活するために女に貢いでもらうという目的を持った男と、なんだか分からないけどフロリダに行きたい浮浪者という、映画の中にしか存在しないで欲しい人間模様だったことです。
このテーマで映画を撮ろうと思って「イケル」と思ったプロデューサーの選球眼恐るべしです。ちゃんと映画になってしまった。
後半「Blow Up」の1シーンの様な、よく分からないサイケなパーティに行くというシーンがありました。伏線も何もなく、いきなりそんな状況になってしまうことに大笑いでした。もちろん、キャストも戸惑っていますが、それ以上に見ている私の困惑。客を意識しないこのセンス、凄ぇ。節々でいきなり何の説明も無く入ってくるフラッシュバックの方がまだ理解できましたが、あれも結局投げっぱなし。

冒頭で浮浪者(ダスティン・ホフマン)と主人公が出会うのですが、そこからいきなり浮浪者目線にシフトしていきます。結局二人とも浮浪者。もう、映像が汚いこと。
一見、ちゃらんぽらんして上手いこと生きている様に見える浮浪者という印象でしたが、ストーリーが済めば進むほど悲惨な状況が浮き彫りになっていきます。情けをかけられることに慣れていない様子も悲惨さを盛り上げます。
こう言うのを見ていると、一見みんな惰性で生きているように見える、でも、よく見てみるといろいろあるのねってことなのでしょうか。
電車なんかで見かける、明らかに何の趣味性も感じられない雑誌のサンプルのような匿名的なスタイルで「ザ就職・面接はこれで行け!」本を目を皿のようにするでもなく白内障の犬の様な目でダラーっと読んでいる人を見かけたりすると、勝手にその人の人生を極度につまらなくシミュレーションして呆れているのですが、実際はそうでもないかもしれません。
歌や映画で良く見聞きする「窓の明かりの数だけ生活があって、人の数だけ人生がある」なんてクサすぎる科白がしっくり来てしまい、じわーっとしてくる時があります。大方その一瞬で脳がパンクして考えることを放棄していますが、たまにはもう少し長い間意識して事細かに考えてみるのも良いかもしれません。今度、そのタイミングが来るのは何時でしょう。

「映画から人生を学ぶ」みたいなことを言っている人がいましたが、こういう映画からはあまり学びたくありません。できれば教科書は「カクテル」で。

良いもの

2004-11-19 01:43:50 | 侃々諤々
おそらくそれを意識する様になるということは、何らかの負い目を感じていると言うことなのでしょう。嫉妬ではなく、完全に負け試合。それは現状の自分に対してもありますし、他人に対してももちろんです。何かに気付かされるという場合が殆どで、それを文字通り自覚しない限りは気付けません。
何の話しかと言えば、最近は殆ど目に映るもの、聞こえるものが良いものに見えています。
多分、これだけだと「素直で良いじゃないの」になってしまうんですけど、ちょっと困りものです。

今日は外苑前で撮影があり、直帰ということもあり、新生青山ブックセンター(ABC)に寄ってきました。気付けば所持金が30円しかなく、銀行を探すため、というのもあります。すぐ見つかりましたけど。
寄ったわけです。
会社が恵比寿にあるので、良く立ち寄るのはアトレの有隣堂です。普通に大きな本屋なので、たいがいの新刊は手にはいるのですが、ちょっと前に出たアレとか、後から誰かに教えてもらって欲しくなった雑誌のバックナンバーを探すのには向いていません。で、渋谷のブックファーストに行くのです。無ければアマゾンやらe-booksやらでどうにかなりますが、できれば本屋で現物を買うと言う行為が好きなので、無駄に探して歩きます。話しずれました。まだずれっぱなしでいきます。
最近はやたらと本屋が好きで、早めにあがった日はたいがい寄って帰ります。時間があれば渋谷まで。閉店まで立ち読み。その後HMVで試聴大会。で、気付けばサイフの中にあったはずのお金がない。そんな日々です。
で、今日はABCなんですが、もう楽しくて仕方ない。入ってすぐの広告雑誌コーナーで熟読し「ほほぅ」。ファッションには疎いのでサクッと立ち読みするも「はぁー」。横の文芸新刊コーナーでさわりだけ読み「ふぅむ」。
写真集コーナーで「おっ」。まぁそんなことを延々やっていたわけですよ。
で、結局愛朗オススメの花村萬月の♂♀(オスメス)を買って帰る。読むのはちょっと先になりそうです。

たいがいのものが良いものに見えてしまう。これは困りものです。昔の自分はもっと尖ってて目に付くもの全てをこっそり批判していたくらいのダメ野郎です。おかげで高校生の時の友達は最近再会した愛朗くらい。その反動なのかしら。恐ろしく人の意見を素直に聞きます。かなり素直に説き伏せられます。酒なんか飲んでいるともうダメ。全部「それ良いじゃないのー!」です。
信頼できる人物(自薦他薦問わず)の言葉を鵜呑みにするというのは危険なことだと重々承知はしていたのですが、それに振り回されっぱなしです。私が振り回すこともあります。

良いものって、自分が好きだと思うからで、普遍的に恒常的に良いものって何ですか?

ダイソンの掃除機は吸引力が変わらないしデザインも好きですけど、大きすぎる。
BANG&OLFSENのイヤホンは使ってみたら気持ち良いです。
Nikon F3はあこがれで買って、撮ってみたらやっぱり良かった。露出計使いにくいけど。
Macには振り回されっぱなしだけど使ってます。
ドイツ車のインテリア、高速走行時の安定が好きです。
村上春樹はなんだか惰性の様に好き。好きなのかどうかも分からなくなる程すーっとした感じ。
レコードはCDよりも間違いなく音が好き。でも劣化早い。
タバコ嫌いな人が最近めっきり増えた。これは困った。
酒はビール。弱いし。

他にも山ほどありますが、全部この延長のような完全な主観なわけですよ。現状。そもそも理由が自分中心。私を知っている誰かに勧められてってのが細々沢山あります。現在の私の部屋はそれらがのさばっています。
自分内MOMAみたいなものが蓄積されて、それに合致するもの・引っかかるものがどんどん飛び込んでくる、投げ込まれてくる。それを処理し切れていないのでしょうか。
懐が広くなったわけではないと思います。自分に正直な正確なジャッジをすることへの恐れ。それを外に出す事への恐れ。故に籠もる。
嘘まみれの口八丁でいる自分への警鐘を自ら鳴らす28歳。
今の仕事が2年。それまではフリーでやってたりして自分中心でした。あんときは日々怒りまくってたなぁ。
現在、オフではめっぽう呑まれてます。
以前、この自分でで「好きなものがあると言うことはとても幸せなことかもしれません」なんてことを書いた記憶があります。間違いはないと思いますが、あまりにも好きなものだけに囲まれてしまうと線が引けなくなってしまうこともあります。


なんだか、悩み多き若者、もしくは子供相談室みたいになってしまいましたが、どうです?