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Mac買った

2008-03-31 23:42:16 | Macバカ一代
 
 
今日、新しいMacを買いました。
MacBook Pro。

先日、交通事故によって安楽死したPowerBook 12"の生まれ変わりです。
※交通事故=深夜帰宅のタクシー乗車中に乗用車が左側面に激突。
 ムチウチ気味。右手がしびれてます。
 詳細は後日。


1996年に初めてのMacを買って以来、かれこら8台目のMacです。
自分で言うのもナンですが、バカじゃないの?


今更言うまでもないですが、私はMacが好きで、Macが無ければ多分映像やってません。
「2001年宇宙の旅」を観ていなかったら映像をやってないのと同じくらいの比重で。
Macがあったからこその現在。
既に血肉になってしまっているMac。

映画専門ブログだと思っていた方、スミマセン。
「Macバカ一代」もすっ飛ばしててスミマセン。


キャー!
カッコイイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

映画【腑抜けども、悲しみの愛を見せろ】

2008-03-26 02:47:41 | 映画
 
 
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
2007
吉田大八


十分面白い。
けれど、何か物足りない。
タイトルからするに、自己愛賛歌のお話なんでしょうか。
だとしても、なんか中途半端。

本作の原作は未読ですが、以前読んだ本谷有希子著の「生きてるだけで、愛」から臭うサブカル路線というか、アクの強さが、映像の滑稽さに包み込まれてしまい、コメディになってしまった。

多分、多分なんですが、このお話はコメディではなく、崩壊している精神を持つものの自分は健常者に間違いないと思いこむ者への辛辣なる風刺なのでは。
漫画家を目指す妹ですら破綻者であるはずなのに健常者っぽく描かれている。
あの姉の状況を「面白い」と言い切るには相当な屈折とそれに至る道程があったはず、その道程がどうもコメディに寄ってぼかされてしまっている。

本作を以てコメディと観るか痛々しいドラマと観るかは鑑賞者の勝手ですが、笑って観られる作品になってしまったということがもったいない。
もっと鑑賞後に突き落とされる感覚があってもいいのかもしれない。
それを良しとせず、カタルシス寄りにしてしまうのが最近の邦画の最も忌むべき慣習ですね。

原作の持つ、リアリティを追求しまくった結果の現実を超えたリアリティみたいなものが、本作の様に映像化することによって無くなってしまった。
サトエリの鬱陶しさはどうでもよくて、そこは本題ではない。
それを鬱陶しいと思う妹目線なはずなのに、キャメラはずっと客観。


なんだか普通のベストセラーの映画化みたいじゃん。
活字でゴリゴリ空想させていたはずの部分が凄く薄く映像化されてしまった。



とは言うものの、昨今の邦画の中では面白い作品です。

ラスト直前の永瀬正敏に投げかける佐津川愛美の視線が凄い。
全編通してこの子の芝居は見物です。
ゾッとしました。

映画【ダンサー・イン・ザ・ダーク(DANCER IN THE DARK)】

2008-03-21 00:17:31 | 映画
 
 
ダンサー・イン・ザ・ダーク(DANCER IN THE DARK)
2000
ラース・フォン・トリアー(Lars von Trier)


恥ずかしながら初見です。
当時勤めていた会社に送られてきたプレスキットとサントラのサンプルCDだけはあったんですが。

今更言うまでもないのですが、全編が民生のハンディカムで撮影された本作。
ちなみに、本作で使用されたキャメラと同型機を私も持っていますが、確かに見覚えのある映像。
殆どがハンディで、民生機特有の酔いそうな細かい手ブレ。全く味の無い奥行きも無い映像。
しかし、そこでビョークが歌い出すと世界が一変する。

これはやはりラース・フォン・トリアー監督の計算なのでしょう。
その劇的な展開に鳥肌が立ちます。
「じゃぁ、ビョークが歌えばナントカなるんじゃねぇの?」ということではなく、やはり脚本の奥行きも素晴らしい。
欲望を薄いヴェールだけで包み隠した人間達の行動。
裏側にはすぐ表とは違う欲望が全ての人間にあるという構造。
その儚いヴェールは時として人前でも翻ってしまう。
そのなか、清貧を突き通すだけでははないセルマの願い。


これは素晴らしい。
泣かせのシーンの術中にはまることは多々ありますが、映画でそこに映し出されている映像以上の感情をえぐり出してくる作品はなかなかありません。
映像と音楽の最高の出会いの一つです。
何度も観たくなる作品とは違いますが、これは凄い。

映画【バス男 (Napoleon Dynamite)】

2008-03-19 02:12:16 | 映画
 
 
バス男 (Napoleon Dynamite)
2004
Jared Hess(ジャレッド・ヘス)


コレは面白い!
素晴らしい映像センス。
サントラのセンスもバツグン。

どうして本作の邦題が「バス男」なのか。
オタク=「ナントカ男」でなければいけないのか。
当時騒がせていた「電車男」にあやかった邦題なのは言うまでもありません。
「電車男」も決して嫌いではありませんし、むしろ好きです。
この邦題のおかげで変な誤解を生み、敬遠されていることでしょう。
私もそうでした。
当時、日本未公開のDVDスルーで発表された時には全く見向きもしませんでした。むしろ「ナニ?日本で当たったやつをパックったの?」くらいの嫌悪感すらありました。

本作と「電車男」に共通点はありません。むしろ相反する生き様。
「電車男」ではたまたま知り合った女性になんとかして気に入られようと2ch住人のアドバイスから次第に成長していく物語ですが、本作の主人公:ナポレオンは全く成長しない。成長ドコロか我が道を行きすぎて逆に受け入れられてしまう。


しかし!
しかしですよ!

これは面白い!
突き抜け方がハンパじゃありません。
ウェス・アンダーソン監督作品やポール・トーマス・アンダーソン監督作品が好きな方には少なからずヒットすることでしょう。
本国ではスマッシュヒットするも、何故か日本では聞こえてこない作品でした。
もったいない!
これはもったいない!

オタクと呼ばれる青年の奮闘する様をもの凄く引いた目線でデフォルメしまくった作品です。
本作の解説として『モテないオタク高校生がダンスパーティに女の子を誘うにはどうすれば?』のようなことが書かれていますが、全くそんなお話ではありません。
オタクであるということに全く非を感じず、むしろ自分の信じる世界を突き進む一人の青年の話をコメディで描いた作品です。
本作の主人公:ナポレオンの痛々しさは笑いを誘いますが、それを笑いだけにしない、愛溢れる清々しい描写。
このくらいのオタクでありたい。


本作が原題のままの「ナポレオン・ダイナマイト」であったたら必ず手に取ったはずなのに。
もったいない!
次のプレスからタイトルを戻していただきたい。


日本には映画に金をかけないくせに、商品としての価値ばかりを追求する悪しき習慣が出来上がっているようです。
マーケと映画を一緒に考えるヤツが映画をダメにする。
結果、クソの足しにもならないお子様ランチ映画にしか入らない。
っつうか、観る側も映画に求めるモノが分からなくなっている。
作る側は良作よりも商売が優先される。
そう思ってるヤツは全員映画からいなくなれ。
日本映画の今の惨状はマッチポンプだってことをいい加減に気付け。
仕事柄で邦画も観るし、なるべく良いところを探しているけれども、殆どの作品が力を持っていない。
由々しき問題です。



是非ともご覧頂きたい作品です。
本作は「バス男」ではなく「ナポレオン・ダイナマイト」です。

映画【バタリアン(Return of the Living Dead)】

2008-03-18 01:06:58 | 映画
 
 
バタリアン(Return of the Living Dead)
1985
Dan O'Bannon(ダン・オバノン)


ガキの頃に何度観たか分かりませんが、自分内80年代ブームのため再見。

何故、あれほどまでにブームになったのか。流行語を超えて日常語になってしまった作品です。
再見してもあまり理由は分かりませんでした。

当時の日本語訳のセンスの良さが光ります。
原題が「Return of the Living Dead」というもので、どこにもバタリアンなんて言葉は出てきやしません。
もちろん、本編中に登場するコールタール漬けの「タールマン」や上半身だけの「オバンバ」なんかも劇中でその名前を叫ばれることもナシ。

運悪くゾンビ達の餌食になる80年代を謳歌する若者のスタイルが素晴らしくはじけています。
今でこそこのスタイルに笑えますが、当時はそれほど違和感無かったですね。
時代とは恐ろしいモノです。

強力に都合良く展開するストーリーは、別に今観てもそんなに腹が立つ程ではなく、むしろ面白い。
練られすぎて全てが理解できないほどの伏線が張られまくった今の作品も面白いことは面白いですが、観る側が辻褄を合わせる気が無くなる程に脈絡無く展開するこの時代の映画のスタイルは復権しないんでしょうか。
デイヴィッド・リンチ監督作品のようなことではなく、酔っぱらって書き上げてしまったような作品も観てみたい。
その欲求を満たしてくれたのが「プレスリーvsミイラ男」でした。
ちなみに私は以前、酔っぱらって「3丁拳銃とダッチワイフ」というタイトルだけが先行した20分くらいの脚本を書いて、撮影当日にキャスト来なかったことがあります。良い思い出です。


脚本の構造ばかりに頭をひねる温度を感じない作品よりもこっちが好き。
映画は難しいモノです。
その日の気分だし。

映画【ニューヨーク1997(Escape from New York)】

2008-03-15 02:34:43 | 映画


ニューヨーク1997
1981
John Carpenter(ジョン・カーペンター)


ゾンビ映画の監督がSF作品をやるとこうなるのか、という作品。
基本的にホラー映画の監督だと思っているのでディテールが笑いになってしまうのは申し訳ないところ。
80年代初頭のポストモダン全開っぷりは今観ると完全に一つの世界を創っていますね。
言い訳無用の世界観。
変なハイテク感と退廃がミックスされた未来像は、多分、後にも先にもあの世界観はあの時代にしか存在しないのでは。

本作での見所は、なんと言っても「アメリカ大統領が情けない」というところでしょうか。
もはやタブーと言っても良い大統領いじり。
プライドを傷つけられた大統領が敵をマシンガンで敵を撃ち殺す姿を観られるのは多分本作だけでしょう。
これは愉快。

マンハッタン島が全て刑務所になっているという無茶苦茶な設定、しかもそこにテロリストに乗っ取られたエアフォースワンが墜落。
さらに大統領を助けに行くのは元エリート兵士でワルの世界でも超有名人のスネーク。
プロットを聞いただけでラストシーンが容易に想像できそうなお話ですが、そこは80年代の無茶が無茶を呼ぶ映画。下手な伏線はありません。

一見の価値はアリです。
ジョン・カーペンター監督作品では恐らく最高傑作でしょう。

映画【天才マックスの世界(Rushmore)】

2008-03-14 00:07:09 | 映画
 
 
天才マックスの世界
1998
Wes Anderson(ウェス・アンダーソン)

これは好き。
ジャケットからするに、ドタバタのおバカコメディかと敬遠されそうですが(私もそう思っていました)が、細かいセンスが気持ちいい名作です。
上品なコメディをやらせたらこの人かウディ・アレン監督か。


決して勉強が出来るわけではないけれどあらゆる課外活動に精を出しまくり、特殊な才能を発揮しまくる、というか何でもやりたがる、年上に恋する名門私立高校に通うマセたクソガキのお話です。
身近にいたら鬱陶しいこと間違いなしの主人公。
しかし、自分の想うままに行動する彼の姿には清々しさすら感じます。


主演のジェイソン・シュワルツマン(コッポラの甥っ子)の存在が素晴らしい。この明らかにモテなそうなマセガキは彼にしかできないでしょう。
うさんくさいオッサン役には終始困った顔(キメ顔)のビル・マーレイ。


派手ではないけれども丁寧に人間を描いた作品です。
おかげで情報量が随分多い。
主人公の半径5メートルだけを追った映画。
生き急ぐ中、思い通りに行かない人生の中のささやかとは言い難い、本人にしか理解できない幸せ。
なんとも言えない全体のセンスの良さ。
サントラもバツグン。

ラストの良い話感全開は蛇足かとも思いますが、これも彼の人生の通過点と考えると「若いうちは良い想いもしないとやってらんないよな」と変な上から目線になってみたり。

ところで本作の原題である「Rushmore」というタイトル。
主人公の通う名門高校の名前ということになっているのですが、こっちのラシュモアよりもサリンジャーの小説(「ナインストーリーズ」とか)の何篇かに出てくるの主人公の名前:シーモア(See more)と、なんだかダブります。


どうしてこれがまたも日本未公開作品なのか。
よく分からない世界です。

映画【プライベート・ライアン】

2008-03-13 01:46:04 | 映画


プライベート・ライアン
1998
Steven Spielberg(スティーヴン・スピルバーグ)


戦争映画の一つの終着点と言っても過言ではないかもしれない本作。
スミマセン、初見です。

ビックリしました。
冒頭の20分近くに及ぶ圧倒的なオハマ・ビーチ上陸作戦(ノルマンディ上陸作戦)の中に丁寧に描かれる人間。
徹底的に俯瞰しない視点。
戦争をゲームとしてではなく、そこにいる人間を描いた傑作。
細々入るハリウッド的な気の利いた台詞が珍しく無い。
ちょっといい話としてのライアンの母親を想う司令官は全く別次元。
現地で起こっていることの悲惨さ。

戦争では人が死ぬ。
この当たり前のことを忘れている人なんていないと思いますが、戦争をやめろ。
こんなところに行きたくない。

映画【ビッグ・フィッシュ】

2008-03-08 23:30:03 | 映画
 
 
ビッグ・フィッシュ
2003
Tim Burton(ティム・バートン)


面白可笑しい作り話だけを話す父と、それに困惑し続けた息子。
それがきっかけで息子は父と距離を置く。
父は空想のお話を話し続ける。
しばらくの時間が経ち。
死にかけた父は息子を前にしていまだ作り話を話す。
息子が父の死の淵で父をと話す言葉とは。

傑作です。
問答無用です。

本作をしてファンジーと現実の境界線を求めるのは全くの愚問。
ファンタジーとは人間の中にあるモノで、それは想像力がもたらすもの。
もしかしたら人との関係の中で初めて生まれるモノかもしれません。
人間関係で最も重要なのは『相手のことを感じる』という想像料。
誰かへ届けたいという想いこそがファンタジーであって、一人で夢想する空想は幻想に過ぎない。
そう考えると、誰かへの到達を想った作品は全てファンタジーであるということになる。
表現=ファンタジー。
コミュニケーションの手段は全てファンタジー。
結構良いこと言えた感アリですが、如何でしょう。



ティム・バートン節のグロテスクなクリーチャーが舞い踊る映画。
決して幸せなファンタジーではないはずのファンタジー場面。
しかし、この物語を終曲で素晴らしいファンタジーにしてしまうラストの素晴らしいシークエンス。

本作は、実は1シチュエーションでの物語だったのだと最後に気付きました。
父と息子の人生の回顧録であって、死の淵にある父への冥土の土産の様な息子の言葉が本作の全てです。
映画としての画面の作りは全く違いますが。そこにそれまでの画面が結実する感覚は凄まじい。

ある種の伏線回収モノと言ってしまっても過言ではありません。
しかし、この回収の仕方は尋常ではないグッと来る話に帰結。

この映画のラストシーンはそれまでの豪華な映像に比べて異常なほどに地味。
しかし、父が息子に語ってきた人生(生き方)を観てきた本作の鑑賞者にとって、これほど素敵なラストはありません。


お涙頂戴モノかもしれませんが、いくらでもくれてやりましょう。


恥ずかしながら初見でした。
未見の方、これは『xxxx年最高傑作』とか煽ってくる凡百の映画を観るより先に是非ともご覧下さい。

映画【華氏451】

2008-03-08 02:23:57 | 映画
 
 
華氏451
1966
Francois Truffaut(フランソワ・トリュフォー)


禁書焚書が徹底された近未来を描いたレイ・ブラッドベリ原作のSF小説をトリュフォーが映画化。
ただの大げさなSFに走らず、センチメンタルな作品です。
ラストシーンは「これは本当にSF作品か?」と思うほどの美しさ。
しかし、この美しさをもってこそのSFなんですね。
ちなみに、本作のタイトルである「華氏451」というのは紙に火が発火する温度。


あるはずのない世界を見せてくれるのが映画です。
その中でもSF作品が最も映像に比喩的な美しさが求められるものです。
これは好き。
傑作です。

お話としてテーマの面白さも、映像のクオリティも昨今の映画に全くひけをとりません。
もちろん、「トランスフォーマー」あたりの無内容アクション映画と比べてではありません。
見た目の派手さということではなく、物語の突拍子の無さ。
しかし、そこにいる人間の想いで映像に色を付ける。
これが映画というものですか。


66年制作と言うことで、ロケは全て当時の建物だと思うのですが、それが何故か焚書の世界が似合うモダン建築。
ポストモダン以前の全てを合理化しようとしていた世界の片鱗が垣間見えます。
ゴダールのSF作品「アルファヴィル」も同じく65年のパリで撮影されています。
SFには既に過ぎた世界への回顧という趣も持つという発見がありました。


それにしてもラストシーンは美しさと言ったら・・・。