折にふれて

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箸休め   割鮮のむら

2017-11-05 | 舌づつみ

当ブログ、圧倒的に風景や街並みの写真を掲載することが多い。

ところが、この秋は週末になると台風の襲来など悪天候が続き、

会社員の週末限定素人カメラマンの写真在庫も尽きてしまった。

それで今回は金沢で日ごろお世話になっている味処の紹介、

いわば、次の撮影に出かけるまでの「箸休め」といったところか。

 

その店は「割鮮のむら」。

閑静な住宅街の中、こじんまりとした店をご夫婦で切盛りされている。

「割鮮」の名があらわすように能登から直送された新鮮な魚介を中心とした和食料理の店だ。

そこで料理紹介ということになるのだが、料理については食べるのが専門。

したがって評論やウンチクには自信がないので

その一端を写真に添えて簡単にご紹介することにした。


まずはオニエビの刺身。

 

北陸のエビといえば真っ先に甘エビを思い浮かべるが、

ひとまわり大きいオニエビはよりしっかりした歯ごたえで甘みも強い。

のむらでは能登の漁師から直接仕入れているので、

小売の店先には並ばない魚介が出てくることも珍しくない。

北海道ばかりと思っていた毛ガニが能登でも獲れることや

江戸前という印象のコハダやアナゴがわずかながらとはいえ北陸の海で揚がることもこちらで教えていただいた。

いずれも鮮度抜群、そして当然ながらうまい。


そして、秋から冬にかけての北陸といえば... 

タラの白子の石焼き。

金沢の店で生の白子を出す店は多いが、

もともと魚屋がご実家のご主人が選ぶ魚介は新鮮、塩をすこしつけるだけで素材のうまみが引き立つ。

 

すこし毛色の変わったところでオススメなのが新鮮野菜のバーニャ・カウダ。

金沢近郊でとれた野菜をディップソースにつけていただくイタリア料理の定番だが、

のむらのソースは鯖のへしこを使ったご主人の特製。

季節によってはカニやエビの味噌も使うという。

創作和食というジャンルを耳にする。

ご主人の創意工夫という点では、のむらの料理も一部そのジャンルに入るのかもしれないが、

素材や味付けの基本は純和風、「創作」というどっちつかずの印象はまったく感じない。


そして最後に鯖の棒寿し。

浅く酢でしめた身厚の鯖がのったこれもご主人の特製で、

造り置きではなく、注文の都度その場で造ってくれる。 


さて、のむらとのご縁はかれこれ20年近くになる。

月に一度は必ずおじゃましているが、けっして飽きがこない。

同様の固定客も多く、現に弟夫婦や妹夫婦もよくのむらを利用している。

特に妹のダンナはイギリス人でありながらのむらの和食の大ファンである。

その人気、季節ごとの素材をご主人の確かな腕と創意工夫で料理していることが理由だが、

それに加えて、ご主人の明るい笑顔、奥様の軽妙な語り口など

お二人のあたたかい人となりもファンが多いことの由縁に違いない。


この日、店内に流れていた一曲がマイルストーン。

最近はスムースジャズを流す店が多い中、

しかも和食の店でと一瞬意外に感じたが、

すぐに、小気味良いマイルス・デイヴィスのトランペットに惹きこまれてしまっていた。

Miles Davis - Milestones

 

...ということで、おいしい料理と酒、ご夫婦との楽しい会話のうちに、

軽快に週末の夜は更けていったとさ。

 

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