じゅんむし日記

心は急いでいる。それなのに、何も思い通りの形にはなっていかない。がまんがまん。とにかく、今できることから始めよう。

「火花」又吉直樹

2017-10-29 | 
話題作なので読みました。(中古まで待ってスミマセン)
又吉さん、好きですよ。

その風貌だけは目を引きながら、どちらかというと相方の綾部さんが目立っていた昔も、
ポツッと言うひと言にセンスを感じていたワタクシです。
感覚は通ずるところがあるのだと思い、小説のほうも期待値大でした(^.^)



しかし…
正直、小説を書くってやっぱり難しいんだなぁと思った次第です。
読書家の又吉さんでも、やっぱり書くとなると別物なのかなぁと。

いえいえ、私の感覚こそ一般の方と何か違うのかもしれません。
芥川賞ですもんね。
私にはわからない良さがあるんでしょうね。

漫才では天才肌の神谷(24歳)
神谷を師匠と仰ぎ、同じく漫才コンビを組んでいる徳永(20歳)
それから約8年ほどの交流を描いた物語です。

題材はおもしろいと思いました。

でも天才肌と呼ばれる神谷さんが全くしっくりこないため、物語の中に入ってもいけません。
「天才肌」と文字にして言い切ってしまっていますが、
これが「破天荒」とか「傍若無人な」までに止めておいたら、もっと素直に読めたかも。
(漫才の天才を表すエピソードとか、難しいですもん)

笑いの天才なら、その時代の世相を切り取る器量を持ち合わせていそうなものなのに、
世の中をちっとも理解しておらず(最後のオチまで)、痛々しいだけです。

笑いの哲学を語りたかったとも思いますが、
ここを言いたいんだなぁとはわかるものの、
それが私の中には入ってこない、という感じでした。

途中の、<漫才コンビの掛け合いや神谷さんと“僕”の掛け合い>と、<全体の小説のトーン>との違和感も感じました。

この小説を書く前に太宰を読み直したのかな、という印象です。
読み直すまでもなく、太宰が沁み込んでいるのかもしれませんが。
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