シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

豪潜水艦受注を逃して日本は残念? 良かった? (2)

2016年05月16日 | 政治家 政治屋?
左はオーストラリアのコリンズ級潜水艦 (米海軍撮影)。 中央は、潜水艦のモデルを高々と掲げるオランド仏大統領とその右は DCNS のエルベ・ギユー CEO (16年4月 パリ)。 右はショートフィン・バラクーダの完成予想図(出所:DCNS)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アボット豪首相 (当時) と安倍首相は緊密な関係でしたが、15年9月 アボット氏の経済政策や指導力に対する疑問が高まり、首相や与党の支持率は低下、ターンブル通信大臣が党首に返り咲き、豪首相に就任しました。 この辺りから日本有利との観測がぐらついてきましたが、日本側も1隻目から豪州で建造する具体案をまとめ、現地に研修所を作って技術者を育成することを10月に発表しました。

この1月のターンブル豪首相就任後の初訪米時、会談で次期潜水艦が話題に上ったらしく、米政府要人は日仏独いずれかに肩入れする発言を控えたそうです (豪メディア)。 それまでは、米政府高官や米軍幹部が日本の潜水艦の採用を望んでいました。 また 受注争いでドイツが後退し、候補は日本とフランスに絞られつつある、と複数の情報筋の話しをロイターが取り上げています (1月22日)。

更に、「フランスは原子力潜水艦 “バラクーダ” の転用案を示し、防衛産業の拠点 南オーストラリア州アデレードで、技術移転を含めた地域の雇用創出効果を豪政府にアピールしている」(1月30日 産經新聞) と、フランスの猛烈な巻き返しが浮上してきます。

そして16年3月 仏はダメ押しとして政府・財界の一団が大挙して訪豪し、仏案を採用した場合の経済的なメリットを訴えました。 最終局面の今年4月 三菱重工がようやく現地法人を設立、海上自衛隊が豪軍との共同訓練にそうりゅう型潜水艦 “はくりゅう” を派遣しましたが ――。
………………………………………………
「フランスの造船大手 DCNS が日独の競合企業を破り、オーストラリア軍向けに12隻の新型潜水艦を建造する 500億豪ドルの契約を勝ち取った。 ターンブル首相は、潜水艦はアデレードで建造されると述べた。 これにより 約 2800人の雇用が維持されることになる。 7月に総選挙を控え、ターンブル首相与党にとってカギを握る南オーストラリア州の連邦政府には歓迎すべき政治的後押しだ」(FT ⁂)。

「首脳同士の絆のもとで日本は勝利を疑わず、途中で変わったゲームの流れについていけなかった。 勝利したフランスは自分たちが劣勢にあることを認識し、現地の事情に通じた人材を獲得、弱点を地道に克服して勝負をひっくり返した」(ロイター ※)。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
『日本敗れ潜水艦 “ごうりゅう” 幻に、仏勝利の裏側』(4月28日 ロイター ※)
『安倍首相に打撃 豪潜水艦、仏が契約獲得』(4月28日 フィナンシャル・タイムズ/日経 ⁂)
『豪潜水艦:日本との関係悪化を危惧する豪識者』(4月28日 NewSphere)
『大本命が一転 “豪潜水艦” 共同開発で日本が脱落した真相』(4月28日 日刊ゲンダイ ♬)

ウィキペディアから __ 海上自衛隊の「そうりゅう型」潜水艦輸出の可能性 ―― オーストラリア海軍は中国海軍のアジアにおける活動の活発化を鑑みて、コリンズ級潜水艦の代替として四千トンクラスの大型潜水艦の導入を計画 (追加1へ)。 潜水艦更新計画 (追加2へ)。

★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
さて ウィキなどで読んでも、そうりゅう型潜水艦が他国のそれに比べて 圧倒的な性能かどうかは直ぐに分かるようには記述されていません。 それは軍事上の秘密項目なので、あえて公表しておらず、従って これが優れた点だと書きにくいのかも知れません。

しかし オーストラリアがノドから手が出るほど欲しがった潜水艦であり、様々な記事もそれを裏付ける内容ですから、日本の潜水艦技術は優秀なのでしょう。 それを同盟国に提供するというのは、完成品輸出であれ 現地生産であれ、政治的決断を伴うものだったはずでした。

しかし 純粋な商業的取引という観点からすると、現地雇用を産み出すか維持を伴うのは、どうやら 日本以外の潜水艦のように思えます。 また 安倍首相はじめ政治家が熱心に取り組む脇で、メーカー側は腰が引けていたようにも感じます。

――「”そうりゅう” 型は特殊な技術が必要で、現地生産となれば赤字は必至。 現場では『採用されなくてホッとした』なんて声も漏れていますよ」(メーカー担当者 ♬)

つまり フランスは官民が一枚岩で受注を目指して活動していましたが、日本はそうではなかったようです。 そして漁父の利を得たのは ―― 最先端技術が採用されなかったことでホッとした中国だったのでしょうか?

最後に気になる記事を紹介します。 これに依ると 日本は最初から “負け犬” だったのかも知れません。 すると 安倍首相は豪政治家の手のひらで1人で踊っていただけだったのでしょうか。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
『素人には歯が立たなかった国際武器取引マーケット』(5月5日 北村 淳/JB Press) ―― 潜水艦取引のエキスパートたちの間では、三つ巴が始まった当初から、「フランスが筆頭候補、やや遅れてドイツ、そして日本は選考過程のお客様」といった解釈が常識的な見方であった。

豪政府 (前政権) から日本政府に、『ぜひとも日本はオーストラリアの次期潜水艦選定過程に名乗りをあげてほしい』と依頼してきたのに …

★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
私自身 若い頃、あるシステム製品 (A) を取り扱う商社で営業をしていましたが、石油探査事業系の大掛かりなシステムにAを検討したく、ぜひ数十システム 数千万円の見積もりを作って欲しいとの依頼を受け、せっせと検討企業 (C) のもとに通いましたが、最終的に競合メーカー (B) が落札しました。 選考過程では、Aシステムの電源を担う重要なメーカーにも同行してもらったり、その工場を視察したりと数ヶ月で何度もあちこちの関連企業にも足を運んだりしました。

後日 つらつら思うに、当初から “本命はB” で、Aは採用候補を複数検討したという実績のためか、もしくはBの納入価格を下げさせるために、あえて見積もりに参加させたのではないかと、考えるに至りました。 勿論 C担当者はそうはいいませんでしたが … (真相は薮の中)。

以上


追加1_ ドイツの 216型潜水艦の他にスペイン、フランスの潜水艦を調査していたが、2011年に日本が武器輸出三原則政策を緩和したため、そうりゅう型も検討対象に加えられた。

計画の責任者を務めているモフィット海軍少将は、海上自衛隊の杉本正彦海上幕僚長と会談しており、そうりゅう型が有力な候補であるとコメントした。 2013年2月には、防衛省が情報・技術供与の可否も含めて検討に入った。 同年3月 オーストラリアの軍関係者が、そうりゅう型に使用される特殊推進機関などの技術を、オーストラリアに供与する可能性が高くなったことを明らかにした。

ただし オーストラリアのアボット政権は、公約で次期潜水艦を国内で建造すると表明したため、そうりゅう型の完成型を輸入することは、この公約に反することになる、しかし アボット首相は地元経済への影響という観点から判断することはないと強調しており、あくまで軍事的な観点から判断するとした。 2014年9月時点のオーストラリア政府内では、日本の潜水艦は高い評価を得ているとされていた。

他方 日本政府にも、機密性の高い潜水艦を他国に輸出することに慎重論があったが、2014年10月 オーストラリアのジョンストン国防相は、江渡聡徳防衛大臣との会談で、オーストラリアが計画する潜水艦建造への協力を正式に要請した。

しかしながら 2016年4月26日 オーストラリアのターンブル首相により、フランスとの共同開発が正式に発表されたため、オーストラリアへの輸出の可能性はなくなった。
………………………………………………
追加2_ コリンズ級潜水艦更新計画 (2) ―― 当初は最有力候補であった日本が敗れた原因として、日本案を支持していたアボット首相の退陣などの豪州政治の変化や、日本が現地製造や技術移転に消極的で、また兵器の国際共同開発経験が乏しいことが懸念材料として受け止められたことが報じられている。

また 中国が日本の受注阻止に動いていた可能性が指摘されているが、中国はフランスの受注が正式決定したとの発表後、共産党機関紙の環球時報は「米国の西太平洋戦略を後方から支える戦力になる可能性が非常に高く、中国の安全保障にとってマイナスだ」と批判している。

潜水艦12隻全てをオーストラリアで現地建造する方針となり、これはオーストラリアの雇用の創出になる。 しかし 人件費の高いオーストラリアでは海外での建造よりもコストが3割高になるため、オーストラリア国内の一部では「人気取り」「選挙対策」「税金の無駄遣い」との批判が出ており、公共放送の ABC が「国でなく議席を守るための潜水艦か」と否定的に報じている。 ターンブル首相は「安全保障上、国内生産が重要だ」と反論。 現地建造に伴うコスト増は「予想ほど巨額でない」と主張した。

以上

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。