大須にある百老亭は説明不用なほどの名店で、私はこの本を読む前から度々訪れた。いつも開店と同時に満員になる。
池波正太郎の名文をここでは紹介
・・・。そこで裏通りに入り、灯と酒の香りと、人の声をもとめることになるのだが、名古屋の大須新地にあるギョーザ屋の[百老亭]が、いまも健在なのは実にうれしい。
二十年前の、そのころ、名古屋に滞在中は、この店へ三日に一度、
「行かなくては気がすまない……」
ほどだった。
その後、火事のために改装したが、いまもむかしのままのスケールをまもり通し、決して手をひろげない。
数種類のギョウザのほかにできるものは、スープ、野菜いため、焼きそば、これだけである。なればこそ、昔の味が落ちない。
いくらか小さめのギョウザを、二十年前の私は白乾(パイカル)をのみながら五人前は軽く食べてしまった。
(中略)
たらふく飲んで食べて、さて勘定をはらうときになってはじめての客は、きっと、
(こんなに安くて、いいのだろうか……?)
と、おもうにちがいない。
池波正太郎の名文をここでは紹介
・・・。そこで裏通りに入り、灯と酒の香りと、人の声をもとめることになるのだが、名古屋の大須新地にあるギョーザ屋の[百老亭]が、いまも健在なのは実にうれしい。
二十年前の、そのころ、名古屋に滞在中は、この店へ三日に一度、
「行かなくては気がすまない……」
ほどだった。
その後、火事のために改装したが、いまもむかしのままのスケールをまもり通し、決して手をひろげない。
数種類のギョウザのほかにできるものは、スープ、野菜いため、焼きそば、これだけである。なればこそ、昔の味が落ちない。
いくらか小さめのギョウザを、二十年前の私は白乾(パイカル)をのみながら五人前は軽く食べてしまった。
(中略)
たらふく飲んで食べて、さて勘定をはらうときになってはじめての客は、きっと、
(こんなに安くて、いいのだろうか……?)
と、おもうにちがいない。
故池波正太郎が書き残した名エッセイ「散歩のとき 何か食べたくなって」の中の名古屋編に載っている店をシリーズで紹介する企画をたてました。第1回は餃子の「百老亭」
写真右は文庫本。左はサライ通巻第372号。画像をクリックしてください。
写真右は文庫本。左はサライ通巻第372号。画像をクリックしてください。