
水木しげると聞くと反射的に第34回日本SF大会はまなこんを思いだし、不機嫌になります。
そのときオークションがあり、そこに水木しげるのサイン色紙が出品されたのです。そのとき、オークショナー(競売人)は何を言ったか?
「もうすぐ死んじゃいそうだから価値が出るかも」
言うに事欠いてそれかい!?
ゲスト参加していた中山星香のサイン色紙(確か『花冠』のカラーイラストだった)も出品されました。
「誰か知らないけど、こんなの欲しがる人、いますか?」
好き嫌いはあるだろうけれど、日本にファンタジー・コミックを根付かせた功労者の1人だぞ。そしてちょうどその時間に本人自らファンタジーをテーマにした座談会企画をやっていたはず。知らなくても仕方がないとは言わせません。
それから、やはりゲストに来ていたソ連のSF作家の単行本も出品されていました。
「いまどき、ソ連SFの原書なんてねー」
仲間内でのことなら、どんな野卑な発言をしたって自由です。
でもオークショナーってのは、イベントを盛り上げるためにもオークションにかかるアイテムの口上で会場を沸かせるのも仕事。それはアイテムの価値を貶めて下卑な笑いを取れということでもないし、純粋に好意からアイテムを出品してくれたゲストや協力者のプロ作家(たかがシロウトの1ファンが束になってもかなわないキャリア)の人たちを笑い物にするというのは、大会の看板企画の進行係としてどーよ? アイテムの価値も知らなければ、売り込み方も知らない、礼儀も知らない。何も知らないオークショナー……。
このオークション企画1つで、僕にとっての「はまなこん」の評価は最低になりました。企画不十分といわれた大会は他にもあったけれど、不快になったのはこの大会だけ。
結局サイン色紙はそれなりの価格で落札され、ロシアSFは(売れ残ってオークショナーに揶揄されるのも面白くなかったので)僕が勢いで落札した。当然、ロシア語なのでいまだ1行とて読んでない。読めない。本棚に並んでいながらタイトルさえ不明なのであった。
【神秘家列伝 其ノ弐】【水木しげる】【角川ソフィア文庫】
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