付け焼き刃の覚え書き

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「暗黒神のくちづけ」 C・L・ムーア

2017-09-01 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 平成29年のNHK大河ドラマは『おんな城主 直虎』でしたが、女城主ものといえばC・L・ムーアの「処女戦士ジレル」のシリーズです。

 中世ヨーロッパの小国ジョイリーは、ギョーム将軍の軍勢によって征服された。
 捕虜として引き出されてきた甲冑姿の女王ジレルは、ギョームによって唇を奪われ、地下牢に閉じ込められたが脱走。復讐に燃えるジレルは城の地下から、暗黒神の支配する地底の奥底へと続く道へと姿を消した……。

 16世紀のヨーロッパの小国ジョイリーを舞台に、武勇と美貌で知られた処女戦士ジレルによる、怪奇と幻想の冒険譚。
 いつも周囲の国や邪悪な魔法使いに狙われている小国ジョイリーに君臨するのは、兜の面を下ろしていれば男と間違えるほど大柄ながらしなやかな身体に、短く切られた赤毛の美女ジレル。女王ジレルは戦士として自ら幾度となく戦場に立ち、勝ったり負けたり(話としては負けが多い)。そして魔物の跋扈する異世界へも自ら飛び込んだり連れ去られたりと波瀾万丈の活躍を繰り広げます。けれども、1930年代に女性作家が書いた剣と魔法のファンタジーなだけに、ピンチになってもタイトルやイラストから予想するほどの貞操の危機に陥ることはありません。それでも当時としては扇情的なイメージなのでしょうか。ただ野蛮人コナンやファファード&グレイ・マウザーのような無骨なヒーローたちが大暴れしていた横で、こんなヒロインの活躍する話も人気を博していたというのも面白いですね。
 ところで、松本零士のイラストによるジレルは「短く切られた赤毛」どころか長い水色の髪。そりゃないよ!と思わないでもありませんが、「Jirel of Joiry」で検索してみれば海外版だって長髪姿のオンパレードで、ボリス・ヴァレホ版など金髪ロン毛なので、まあ、男は問答無用で長い髪の女性が好きなんでしょうね。

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