付け焼き刃の覚え書き

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「浜村渚の計算ノート」 青柳碧人

2015-01-19 | ミステリー・推理小説
「0で割っちゃ、ダメです」
 それは悪魔と交わした重要な約束の1つを破ることになると浜村渚。

 天才数学者・高木源一郎はテロリストである。
 彼は「黒い三角定規」を名乗り、数学教育を軽視する日本政府に鉄槌を下すべくテロ活動を開始した。
 彼の武器は数学教育ソフトとして普及していたプログラムに予備催眠をかけ、己が手先とすることにある。少なくとも高校教育で数学を学んだことのある者は、なにかしら「黒い三角定規」の走狗になる可能性があるのだ。
 これに対抗できるのは、ある程度の数学能力を身につけていて、かつ留学などの理由で日本の数学教育を受けていなかった者でしかない。
 手詰まりになった捜査本部は、塾にも通ったことのない数学好きの中学生、浜村渚。の助けを借りることを余儀なくされるのだが……

 「頭の悪い文系どもは、数学の美しさ、完璧さの前に恐れおののき、ひれ伏すがいい」という挑戦に立ち向かうマイペース女子中学生と若手刑事の事件簿で、のほほんとしているのは中学生だけで、周囲は死屍累々の連続殺人事件。
 いろいろなテーマをミステリに組み込む話は幾つもあるけれど、これは数学テーマが上手く1つ1つの短編の謎に違和感なく組み込まれてます。あえていうなら、ここまで数学軽視の教育にシフトした日本なんて、テロなんか関係なく、10年経たずに滅びるんじゃないかということでしょうかね。

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