付け焼き刃の覚え書き

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「レリック2~地底大戦」 プレストン&チャイルド

2011-11-07 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「どんな秘密の願いが人の心の中に燃え続けているか、それは誰にもわからない」
 ペンターガストの言葉。

 ニューヨーク自然史博物館の事件から1年。ハドソン川で発見された異形の首無し死体は、悪魔<ンブーン>の再来を思わせた。
 謎の怪物がマンハッタンの地底に住むホームレスたちを殺しているという噂に、FBI捜査官ペンダーガストは……。

 FBI捜査官ペンダーガストのシリーズ2冊目で、モンスター・パニック小説『レリック』の続編なのだけれど、映画『エイリアン』と『エイリアン2』くらい違います。どちらかというと、怪物そのものよりはマンハッタンの地下に広がる廃墟群を描写したかったんじゃないかなと思います。『モグラびと』とか『パリ地下都市の歴史』で語られていたアレです(というか『モグラびと』はネタ本の1つらしい)。
 欧米の大都市の地下には往々にして大空洞があります。地下から石材を切り出し、それを使ってそのまま真上に都市を作ってしまったパリが有名ですが、ニューヨークにもマンハッタンの地下に放棄された地下鉄の駅や線路、放置された高速道路の地下バイパスやら下水管やガス管・石炭採掘跡……そういったものによって形作られた広大な地下迷宮があるのです。日本でもないわけではないけれど、この大陸的スケールの大雑把さはなかなか信じられません。
 そして、そこに住み着いたホームレスの地下社会があり、排除しようという警官隊がいて、そこに繁殖していた怪物がわらわらと出てきて三つどもえの戦い。前作で残されていた謎が解けたら、今度は戦争だ!
 うん。きっとこの頃は自分の中で地下都市ブームが来ていたに違いない。

 このシリーズは、怪物がどうして存在し、どうして襲ってくるのかにDNAレベルで理論的な説明をつけているところが特色。ハマーフィルムのお約束「古代の呪い」とか、クトゥルフ神話のお約束「邪神の呪いで眷属が」で済ませても良いのだけれど、きちんと説明しながら怖さが薄れないところがお見事。

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