付け焼き刃の覚え書き

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「幻の恐竜を見た」 ロイ・P・マッカル

2009-12-20 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
……正直に言えば「幻の恐竜を見たかった」もしくは「幻の恐竜を見たという人がいた」。

 アフリカ奥地今後の湖に棲んでいるという謎の怪物モケーレ・ムベンベの正体を探るべくコンゴへの調査団を編成したロイ・マッカル博士1979年から始めた2回の探検旅行の記録。そんな知識が何の役に立つかという疑問はありますけど、序文の恐竜生存説の歴史はよくまとまっているのでありがたいかも。
 著者のマッカル博士はシカゴ大学の動物学者で、ネス湖の恐竜探索でも名をはせた人物らしいのです。結局調査が失敗に終わったのはいまだにそんな怪物が発見されていないことからも明白ですが、探検旅行記としては面白い読み物になっています。過去の伝承から恐竜の生き残りではないかと仮説を立て、スポンサーを探し、トラブルがあってさらに資金集めに走り、メンバーを集め、予備調査に現地に赴き、帰還してさらに本格的な資金とメンバー集めに奔走し、意見の食い違いから探検隊が分裂し、いざ出発したものの厚いコンゴの密林と乾期の前に……。

 正統派の探検隊記録ですね。出るか出るかと期待させておいて、怪しげな証言ばかり登場するところは川口浩探検隊と同じです。
 その後もさまざまな大学や研究者のチームがモケーレ・ムベンベ探しに現地に赴いており、日本では早稲田大学探検部の挑戦が、高野秀行の『幻の怪獣ムベンベを追え』に詳しいです。このときの調査ではモケーレ・ムベンベがいるというテレ湖の水深は何かが隠れるにはあまりにも浅すぎるというソナー探査の結果が出ていますが、それでもどこかに何かが隠れているのではという幻想を消しきれないのが現代の恐竜探しです。

【幻の恐竜を見た】【ロイ・P・マッカル】【南山宏】【UMA】【ピグミー】【ナショナル・ジオグラフィック】【ゴリラ】

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