付け焼き刃の覚え書き

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「地獄の門(上)」 ビル・シャット&J・R・フィンチ

2023-12-22 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「宇宙はわれわれが想像する以上に奇妙な場所であるだけではない。われわれが想像しうるよりも、はるかに奇妙な場所なのだ」
 ホールデンの言葉をエディントンが語り直した。

 枢軸陣営の終焉が見えてきた1944年。アマゾンの奥地、シングー川の上流で日本軍の伊400潜水艦が座礁しているのが発見された。
 乗員の姿は既になく、艦載機を格納できる倉庫に荷は何も残っていない。最新兵器である伊号を使い捨てにしてまで、日本軍は何のために、何を南米にまで送り込んだのか? 連合軍が送りこんだレンジャー部隊は間もなく消息を絶ち、新たに動物学者でもあるマックレディ陸軍大尉が派遣されることとなった。向かう先は凶悪な原住民シャヴァンテ族もいるらしい密林の奥地。しかし、奥地にはチュパカブラと呼ばれる怪物が出没すると噂され、家畜が殺されるばかりでなく、全滅する村さえあった。
 その頃、「地獄の門」と呼ばれる地に到達したナチスドイツと日本の連合部隊は、密かに有人ロケット計画を進めていたのだが……。

 『城塞~ザ・キープ』とか『凶鳥〈フッケバイン〉』とかと同じく、敗戦間近なナチスドイツが怪異と遭遇し、それに連合軍の部隊が巻き込まれるミリタリーホラーっぽい上巻。『城塞』同様、尻すぼみに話の流れが変わらないかドキドキしながら読み進めます。
 いろいろ人種差別的な非道を押し進めるナチスドイツですが、アメリカだって似たように人種差別が悪化していて、マックレディもそのために家族を失っています。どっちもどっちという状況ですが、そこに満州から引き上げてきた日本軍が加わって天秤が大きく揺らぎます。ダメだ、こりゃ……。

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