付け焼き刃の覚え書き

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「秘密組織」 アガサ・クリスティ

2023-05-18 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「結婚はスポーツよ!」
 プルーデンス・カウリーはきっぱり言い切った。

 1918年、世界大戦は終わったが、街には職を失った退役軍人があふれていた。
 牧師の娘であるプルーデンス・カウリーことタペンスもその1人。好奇心の赴くまま、食堂の皿洗いから将軍の車の運転手まであれこれやっていたが、終戦で無職に。そんな彼女が幼馴染みのトーマス・ベレズフォードと何年かぶりに再会したのだが、彼もやはり退役して無職になっていた。
 そこで2人は意気投合し、「仕事を求む。内容、場所は不問。高額報酬必須」と何でも屋の〈若き冒険家商会〉を設立しようとしたのだが……。

 1915年のルシタニア号撃沈から始まる秘密文書争奪戦に巻きこまれた、幼馴染み2人の冒険譚、ロマンス&サスペンス。
 アガサ・クリスティの作品にはポワロからミス・マープル、クイン氏と多彩な探偵役が登場しますが、こちらはトミー&タペンスのカップル探偵。沈着冷静なトミーと猪突猛進なタペンスとのコンビがいちばん好きかな。若い男女が思惑をすれ違わせたりしながらも、結局は阿吽の呼吸で難題を乗り越えていきます。原書は1922年なので、アクティブな女性主人公の走りかも。
 登場作品は長編が本作含めて4作、短編集が1冊(15編)。2人の個性がいちばん発揮できているのは、ホームズからフレンチ警部まで古今東西の名探偵のパロディ満載の短編集『おしどり探偵/二人で探偵を』だと思います。

【秘密組織(新訳版)】【トミー&タペンス】【アガサ・クリスティ】【ますこひかり】【創元推理文庫】【ミステリの女王が贈る生き生きとしたスパイ小説】【マクガフィン】【ミスター・ブラウン】
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