付け焼き刃の覚え書き

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「北洋船団 女ドクター航海記」 田村京子

2008-02-24 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 昭和57年(1982)、函館港を出港したサケマス業母船<明洋丸>には女医が乗り込んでいた。商船大学すら女人禁制の時代としてはこれはまったくもって前代未聞なこと。
 船医として乗り込んだのは麻酔科医の女性。昔は船員になりたいという夢を持っていた著者が簡単な仕事といわれて引き受けたのは、総員で1000人を超える船団を1人で面倒見る船医の仕事だった。直前に内定していた医師にキャンセルされた船団としても、麻酔科医だろうと女医だろうと「いないよりはマシ」と前例のない女医を受け入れたのだけれど……。

 史上初の女船医として2ヶ月の北洋漁業に同行したドクターの奮闘録。手術台を含めて6畳ほどの診察室とベッドが七床の入院室が職場のすべてという環境に、せめてこれだけはと持ち込んだ最新式の麻酔設備と道楽半分の鍼治療の用具一式が意外な活躍をする一幕もあり。なにかあっても容易には病院に搬送もできない北洋で、歯痛や盲腸から鮭の頭突きで肛門が腫れたとかアレルギーでショック状態とかさまざまな症例に立ち向かいます。そして仕事の合間に卓球を楽しんだり釣りをしたりという、男1000人に女1人の航海……。
 読んで愉しい航海記でした。

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