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付け焼き刃の覚え書き

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「砂漠の狂王~マロリオン物語(2)」 デイヴィッド・エディングス

2009-10-03 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「わたしが世界をつくったわけじゃありませんのでね、陛下。わたしはこの世界で生きようとしているだけです」
 宦官が皆堕落していようが、人身売買で女性が売り飛ばされていようが、それは自分のせいではないと主張する宦官サディ。

 謎の敵ザンドラマスによって誘拐された息子を取り戻すため、ベルガリオンとセ・ネドラは仲間と共に追跡を開始する。その旅で、<光の子>と<闇の子>の戦いにいまだ決着がついていないことを知る。これまでの戦いは、間近に迫った最後の戦いの前哨戦に過ぎなかったというのだ……。

 タイトルは『砂漠の狂王』ですが、原題と中身は旧版の『マーゴスの王』が正解。宮廷内の生存競争を生き抜いて王座に就いたものの、血筋から遠からず狂気に陥ることを確信し、また戦力で5倍差の隣国マロリーの皇帝ザカースによって滅亡の危機にあるマーゴス王ウルギットのことですね。これがなかなか面白い人物で、彼に限らず『ベルガリアード物語』で名前だけとかチョイ役とか敵役で登場した人物キャラクターが一気に掘り下げられているのも『マロリオン物語』の特徴でしょう。
 今回も、ウルギット王の変貌ぶりはもちろん、新たにパーティに加わったリセル辺境伯令嬢の「シルクの天敵」ぶりとか蛇の国の前宦官長サディのペットの可愛がり方は読んでいて愉しいもんです。バラクやマンドラレンなど前作レギュラーの姿が一時見えなくなって寂しい分をしっかりカバーしてくれます。
 考えてみれば『ベルガリアード物語』でのパーティー構成は、戦士・騎士・弓使い・盗賊・魔法使いとけっこう基本に忠実な編成でした。ところが『マロリオン物語』は抜けた戦士や騎士の穴埋めに入ってくるのが暗殺者・盗賊系。剣士1名に棒使いが2名。魔術師2名、盗賊・暗殺者系3名と戦力外2名。戦力的には十分ながら、10人パーティーとしてはかなり偏った編成ですね。上級者向けのパーティーです。
 ストーリー的には予言に翻弄されているだけのような気がしますが、キャラの魅力を掘り下げながら状況説明する巻ですね。さて、シラディスは女予言者ですが預言者ではありません。つまり、神から預けられた言葉を代理として語るのではなく、自ら(民族全て予言者ともいうべきダル人が)予知した結果に基づいて行動するので、神の弟子たるベルガラスたちにもどうにもならないのでした。

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