
とりあえずそういっておけば、あとはエドワードがなんとかしてくれることをシルヴィアは学んだ。
シルヴィアは公爵家の令嬢だが、当主である母親にも魔術騎士団長の父からも認められず、誰にも世話されることなく屋敷の片隅で生きてきた。断絶がはっきりしたのは7歳の儀式の時だった。発現したスキルは「魔物を倒したら魔力が溜まる」というもので、属性魔術はいかにも使えなさそうな生活魔術。
かくしてシルヴィアは「使えない」と判断され、領地の端にある廃墟と化した城塞だけが与えられて放逐されるのだが、彼女は「契約書ください」とそれだけを強固に主張した……。
生活魔法などというくだらない魔法の才しか無いと貴族の両親に見捨てられ、辺境の朽ち果てた城塞を与えられて放逐された、愛情を知らない7歳児が主人公。彼女の辺境への旅に、さまざまな形で他人に裏切られてきた男女が加わり、不思議な行軍が城塞へと続く物語。魔法でパパッと城塞を再建して経営再建してめでたしめでたし、生活魔法は無敵です……という話ではなく、むしろ人間関係の再構築がテーマ。たとえるならヤマアラシが互いに心地よい位置を試行錯誤しながらたしかめるような話でした。
魔術騎士団長はなんとなく「生活」という言葉に、使えないと即断しましたが、実は彼女が「生活に必要」と思えば魔物退治から魔法契約、結界までなんでも使えるというボーダーレスな魔術だったのです。
【城塞幼女シルヴィア〜未知のスキルと魔術を使って見捨てられた都市を繁栄させます〜】【サエトミユウ】【ハレのちハレタ】【ハガネ文庫】【小説家になろう】【カクヨム】
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