付け焼き刃の覚え書き

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「魔術師の城塞~ベルガリアード物語(4)」 デイヴィッド・エディングス

2009-06-10 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「いかなる戦いにおいても複数の指導者に導かれた軍隊が成功したためしはないわ。軍隊が成功するか否かはそれを構成する兵士たちの戦意によるところが大きいのよ。そしてかれらはただ一人の指導者を必要としているの。--かれらの想像力を駆り立てる誰かをね」
 それは愚かな虚栄心による行動ではなかった。

 魔法使いクトゥーチクによって奪われた「珠」は再びリヴァの玉座へと戻り、予言は成就されたかと思われた。しかし、同じ予言によってそれが終わりの始まりに過ぎないことを教えられる。
 リヴァの女王は西方諸国を糾合して挙兵する。それは何万何十万という軍勢がぶつかり合う戦いの始まりであり、多くの者が戦場に血を流し還らぬ者となること意味していた。それでも西方軍は、侵攻する竜神トラクの勢力を迎え撃たねばならない。たとえ、それが単なる陽動に過ぎないとわかっていても……。

 最後の冒険が始まり、新たな戦いの軍が興るところまで。
 感情の起伏の激しい王女セ・ネドラが、単なるわがまま娘ではないことが明らかになり、女性キャラの強すぎるエディングス作品というイメージをますます強化していきます。

「一国の政治を取りしきるのは、家庭を取りしきるのとたいした違いはないのよ」
 魔女ポルガラの言葉。男たちの留守を守る女性たちも、男たちが考えるほど愚かではありませんでした。
 男尊女卑のキャラクターはいくらでも登場しますが、世界そのものは男尊女卑ではなく、男でも愚かな者は愚かだし、女でも愚かな者は愚かで、恋に落ちた途端にわずかばかりの知性が吹き飛んでしまうのは男女いっしょ。そういう話ですね。ジェンダー論的に分析してどうこういうのがいたら金切り声をあげちゃうぞ。

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