
日本のスペースオペラ界にも宇宙海賊が登場する作品は小説なら『敵は海賊』から『クラッシャージョウ』まで、コミックなら『マップス』から『コブラ』まであれこれありますが、これこそ代表作品。海賊というのは夢とロマンと恐怖の存在であって欲しいので(個人的には現代のマラッカ海峡に出没するモーターボートとサブマシンガンの集団だって「海賊」とは呼びたくない)、レジスタンスだったり冒険者だったり犯罪シンジゲートだったりするような存在を宇宙海賊とは呼べません。
この『星のダンスを見においで』に登場する海賊たちは、皆、自由で、卑劣で、裏切り者で、欲深で、戦いに生き甲斐を感じる乱暴者ばかり。そいつらが活き活きと罵りあいながら、伝説の海賊船長が隠した秘宝を争奪するため、艦対艦から艦隊戦、電子戦、衝角戦、白兵戦に焼き討ちと多彩な戦闘を繰り広げます。そんな海賊や正規艦隊が入り乱れる戦いに巻き込まれた日本の女子高生唯佳の運命や如何に!?
ただ難点は、文庫2巻の作品に書き足して新書1冊にしたため、やや分厚くて持ちにくくなったことと、2段組になっているのでエピローグ部分の見栄えが悪くなっていること……かな。個人的には海賊船やデンデロベイバー級打撃戦艦の三面図を希望。
アニメ版『宝島』のフレーバーを漂わせつつ、最後は『お祖母ちゃんと宇宙海賊』かい!?と思ってみたりして読後感も上々。みんなが争って探していた秘宝の正体も「なんだかなー?」あるいは「結局、なんだったの?」という感想になりがちだけれど、まあ、欲にかられた海賊どもの話なんで別に空き缶1つでも「友情・努力・勝利」の紙切れ1枚でもOKな話ではありました。
海賊物だもんね。
【星のダンスを見においで】【笹本祐一】【宇宙海賊】【女子高生】
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