付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「おにぎりスタッバー」 大澤めぐみ

2024-03-03 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「都合はつくものじゃない。つけるものよ。自分のちからでね」
 それはご都合主義だという梓の指摘に松川さんは開き直る。

 中萱梓ことアズは高校デビューを失敗したらしい。
 彼女はクラスで孤立している。援交だか売春やって男を喰ってると噂され、つきあいがあるのは「自分は魔法少女だ」と言い張るサワメグくらい、つまり2人まとめてアンタッチャブルな存在と認識されているのだ。
 もともとは、クラスのカーストトップに君臨する松川さんが気になっている吹奏楽部の穂高センパイがアズのことを気にしているという、アズ本人はまったくうかがい知らぬあたりが発端らしいのだが……。

 主に夕陽の川っぺりの土手にターニングポイントが転がっている、連作短編形式の恋愛小説。
 自由に生きろと言われながら、その自由に生きろといった母親本人が自由すぎて日々家事に追われる地味な少女が、放蕩過ぎるパチカスの女が母親の少年と出会い、互いの進むべき道を見つけるまで……とまとめると普通の青春小説っぽいけれど、久々に対面する、マシンガントークあるいはモノリスの大群のような文章に圧倒されます。主人公の心情や状況を語る地の文に会話のやりとりが紛れ込み、一文の間で激流のように歳月は流れ、あり得ざる物語がその合間に挟まって流れていきます。
 敵はクリスマス。

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