「８歳から始める魔法学３」 上野夕陽

「それは……ルールだから」
　子どもが泣いている時は誰か抱きしめてやるのは、世界の仕組みが定めたルールだとエルザは言い張る。

　謎の怪人クインタスの被害者が新たに増え、現場に駆けつけたロイ・アヴェイラムは魔力の残滓を視ることで警官たちと共に痕跡を追うが、それはグレイリッジ精神病院近くの通りで途切れていた。犯人らしい男が患者である少女に面会には来ていたというところまでは突き止めたが、正体も居場所も不明なままだ。
　その頃、クインタスの被害者であるリビィ家当主の娘であるルビィ・リビィを苛めていた少年グループの２人が、互いに殺し合ったような状況で発見され、グループのリーダー格であったリアム・ドルトンが犯人と疑われていたが、そのリアムともう１人の少年が衆人環視のもとでまたしても……。

　謎に謎を上乗せしての３巻。ミステリならそろそろクライマックスで……というタイミングで新たな事件の発生。過去にいったい何があったのか、これから何が起こるのか、派閥の対立を抱え込みながらクインタスの正体が露見するまで。
　陰惨な事件と微笑ましいエピソード、友情や思い出と憎悪と因縁と緩急のつけかたが巧いので、ついつい先を読んでしまいます。今回は今まで以上に血の流れる量が増えてます。むむむ。続きが気になります。

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