
シコルスキーに語ったフェルベールの言葉。
ヘリコプターの着想の始まりから、飛ばないヘリコプターが続々と開発された試行錯誤の黎明期を経て、それがついに実用化され、普及し、現代に至るまでの物語。
ヘリコプターというのは、人類がその存在を思いついたのは飛行機に負けず劣らず古いのですね。途中で派生したオートジャイロの方があっという間に実用化され、普及し、あっという間に廃れてしまったというのも栄枯盛衰で印象的なエピソードです。
数学者としてはアインシュタインに論破されてパッとしなかったけれど、技術者としては成果を残したボテザ。政府の閣僚を父に持ちながら祖父の影響で大空に興味を持った、スペイン人発明家のシエルバ。そのシエルバのオートジャイロ技術に影響を受け、固定翼機の開発を嫌ってナチスににらまれたフォッケウルフ。そのフォッケウルフが開発したヘリコプターで初の本格的大陸横断を成し遂げたハンナ・ライツュ。亡命ロシア人たちと身を削ってアメリカの航空業界に踏みとどまり、ついにはヘリコプター業界の魁となったシコルスキー。16歳のときには一大事業を展開していた若き天才技術者スタンレー・ヒラー……。
開発史といっても技術史メインではなく、実際の内容はあくまで人物主点。ヘリコプターをテーマにした人物列伝みたいなものです。だから素人でも面白く読めます。
戦場でヘリコプターが普及したのも、原爆の実用化と小型化により従来型の上陸作戦ができなくなるという認識が前提としてあったというのもチェックしておきたいところです。
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