「何かを生み出すことのできる人間は、みんな神様だ」「価値を決めるのは作者ではない。いつだって、観者が自由に決める。それが創作だ」
セレーネ・パパスタソプーロスは己の哲学を語る。絵であろうと文であろうと同じことだと。
今上月子は日本一の大病院の娘で将来は医者になることが確定していると言われている才媛。そんな「院長」と呼ばれる彼女が放課後の教室に下着姿でいるのを、部活帰りの黒松治は出くわしてしまった。
実は彼女は医者の卵であるだけでなく、既に小説家として本を出しているらしい。しかし、彼女は恋愛が分からない。人の心が分からない。そもそも人の顔が判別できないから声で聞き分けているだけだ。人の姿にその裏側の肉や骨や血管の塊まで見えてしまう彼女には、肉の塊に恋愛感情など湧きようもないのだ。
作品にリアリティをもたせるため教室でイメージ作りに励むものの成果があがらない彼女は、自身が書いた小説のキャラをフィギュア化してほしいと黒松に依頼した。裏側に血も肉も骨も脂も詰まっていないフィギュアなら、その気持ちを想像できるかもしれない。自分だって青春したい……。
美少女フィギュア作りの達人なのにその技を封印している主人公と、恋愛感情が分からない才女と、オタ絵師なギャルに塗装ＬＯＶＥなギリシャ美少女による美少女フィギュアに賭けた青春の顛末である創作者たちの日々。
〈色神〉セレーネ椎竹がいちばんキャラ立ちしてますよね。ギリシャなまりというか、まさに哲学的先輩。
【美少女フィギュアのお医者さんは青春を治せるか】【芝宮青十】【万冬しま】【電撃文庫】【変人な彼らの等身大〈フルスケール〉な青春ラブコメ】【《エロス大魔神》と偽る少年と、変人少女たちとの造形ラブコメディ】【青春ができない病】【バレンタインデー】【ホワイトデー】【パルテノン神殿】
「でもご安心ください。可燃ゴミが毎週月曜日と木曜日、プラスチックごみが火曜日だという法則には気付いたので」
「大事な人と対等になるには自分が変わるしかないと思ったんだ」
「あなた、女友達に恵まれてるけど－－女友達で苦労するわね」
ときおり挨拶だけするマンションの隣人が、雨に濡れた姿で玄関前にうずくまっていた。鍵を忘れたわけではないらしいが、中には入れない様子。つい声をかけ、タオルを渡してシャワーを使わせただけ。それだけの関係だったのに、翌日、急に学校に姿を現したかと思えば弁当を手渡された。
「この世に男って、いらなくないか？」
「責任者がいないとなにも動かない組織はダメだ。個々の個性、能力に応じて、適材適所、それぞれが向かう方向さえ間違わなければ、物事は動く」
「武士の嘘を武略と呼ぶならば、女子高生の恋の駆け引きは、卑怯は恋愛そのものと呼ぶべきです」
「か～！ 甲斐性がない男だね！ 女のひとりやふたりや３人くらい抱えてみせろってんだよ！」
「この物語に登場する大学生は皆成人しているからお酒もたばこもエッチなシーンも問題なし、だっけ？」
「失敗しない人間なんていない。今日の反省は明日に活かせる。独りじゃ難しいかもしれないけど、誰かとのつながりがあればできる。絶対にな」
「麦って、いるだけで風紀を乱しているよ！」
「アタシに勝てたら、ご褒美として彼女にでもなってあげようか？」
「相手に合わせて気を使いながらコミュニケーション取るのって（窮屈じゃないかな）」
「大人は『バカ』の代名詞だ」
